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できるとは何か

採用面接にて「〜ができます」という言葉を聞きます。どのようにできるのでしょうか。「できる」という言葉について考えてみます。




1. できるの状態

例えば、3ポイントシュートを打つことができる人が現れたとします。打つことができる。それを聞いただけで「凄いですね」と返すのはまだ早い。

ステフィン・カリーは当然打つことができます。ただ、シャキール・オニールも打つことはできるのです。10本中何本入るのか、成功率を質問すべきでしょう。どれくらいの確度で「できる」のでしょうか。

また、あらゆる状況下でも同確率を維持可能か。指導者や補助役が近くに居る状態でできるのか。できるようになって何年経つのか。「できる」の状態を確認します。


2. できるを確認する

過去の案件にて、あるフリーランスの方に「コーディングができます」と言われました。私はその言葉を信じ、安心してその方にwebサイトの実装を依頼しました。

しかし、納品されたのはカンプとは大きく異なるデザインでした。あの時の「できる」という言葉はなんだったのか… 愕然としました。

一方で、私は彼の「できる」を事前に確認しなかった。私にも落ち度がありました。何事も自責によって学びます。それ以降、質問する事・疑問を持つ事を意識しています。


3. できるを評価する

「できる」を評価することは難しいです。仮に「◯回できたら体得したことにする」というルールを設けたとします。では「言語化ができる」というスキルを、回数で評価可能でしょうか。

何回なのか。3回に設定する。なぜ3回なのか。1回目でできる人もいるだろうか。被評価者と評価者は議論になります。「私は既にできている」「私はあなたができていないように見える」

両者の「できる」が完全に一致する事は無いでしょう。それが目的化してはいけません。例え一致しても、その頃には信頼関係が崩れています。


4. できるのコンテクスト

そのプロジェクトは1人で遂行してできたのか。誰かと一緒に伴走してできたのか。誰かに依頼し自身がディレクションすることでできたのか。チーム体制の把握も重要です。

「できる」に到達するまでの経緯・背景・課題・事実・解釈・感情。できるのコンテクストを探索していきましょう。その人はなぜできるのか。どこまでできて、どこからできないのか。

できるまでに何があったのか。過去のどのような経験からできると明言しているのか。自分の「できる」と、相手の「できる」は定義が揃っているか。探索します。


5. できるの再現性

その人は「できる」と自覚するまでに何があったのでしょうか。実務で、プライベートで。どのような道のりを辿ってきたのか。そのプロセスは、我々の業務プロセスのどこに当てはまるのか。照らし合わせてみます。

我々のチームでも再現可能でしょうか。過去にそれができた際のスタンスはどうだったか。誰かの指示を受けてその行動をとったのか、または自分で考えて行動したのか。

過去、指示通りに動き成果を出したのであれば、その方と協業する際は指示が必要となるでしょう。どのように再現可能かを見極めます。


6. できるデザイナー

仕事ができる人。デザインができる人とはどのような人の事を指すのでしょうか。「デザインができます」と、言う事は誰でもできます。

私はデザインスキルを15項目に分解し等級ごとに定義・言語化しています。また、デザインプロセスを5段階にて定義・言語化しています。その全てを満たす人のみが「できるデザイナー」なのか。そうではない。

では、できるデザイナーとは誰なのか。自分が求めている「できるデザイナーのペルソナ像」を言語化する必要があります。何をもってして「できる」と判断するか。「できる」に向き合います。


まとめ

できるとは何か。できるは曖昧でありながら強い言葉です。できるを定義する事は難しい。しかし、自分が求めている「できる」を知る事が大切です。

私の目の前に居る人は、私とは全く異なる人生を歩んできました。私はその人と1時間会話しただけです。何が分かるというのでしょう。その人は何が「できる」のか。真剣に理解しようとする質問力が必要です。

「できるを知る」それは「プロセスを知る」ことです。相手のプロセスを詳しく知ることに専念する。すると、理解と判断が可能になります。




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