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プロサッカー選手になるまでの最短距離の道は「自分の常識を疑うこと」だ!

 今日は「プロサッカー選手になるまでの最短距離の道は『自分の常識を疑うこと』だ」というテーマでお話させていただきます。
 僕は、17歳でスペインのバルセロナにあるアカデミーに行ってサッカーを学んできたのですが、そこで、これまで学んできた「サッカー」がすべて間違っていたことを知りました。自分が常識だと思っていたことが、全て違っていたのです。例えば、ボールを止めるというトラップ。僕は日本で「ボールを止めるときには、足と地面で三角形の罠のような形を作って、ボールに触る瞬間に、上から下に足を動かしてボールを止めましょう」と習っていました。それから「パスをするときは、インサイドで蹴るために、体よりも前にボールを出して、前に踏み込んでからボールを蹴りましょう」と教わっていました。ですが、このどちらもバルセロナのアカデミーでは「間違っている」と言われたのです。トラップは、足を少し地面から浮かして足の裏と地面を平行にし、ボールが足に触れる瞬間に足を後ろに引く」と教わりました。ボールを止める位置は体の真下で、パスをするときは、体の真下にあるボールをその場で踏み込んで蹴りましょうと教わりました。「体よりも前にボールをがあると、相手からのプレスを受けてボールを触られる」と言われたのです。
 こういった具合で、幼少期に教わっていたことの全てが「間違っている」と言われたのを覚えています。くれぐれも言っておきますが、これは「日本が間違っている」と言っているわけではありません。たまたま僕が教わっていたことが間違っていたということだと思います。ですが、多くのクラブやスポーツ少年団で同じようなことが言えるでしょう。バルセロナでは、ほぼすべてを否定されました。納得のいく説明を受けて、自分が間違っていることに気が付くことができたのです。
 それこそ、自分は日本にいたころ「ドリブルが得意」「ロングキックが得意」と思っていました。基礎基本のパスやトラップなんて幼少期のころにでできるようになっていると思っていました。ですが、基礎基本ですらバルセロナでは奥が深く、大人になってからも磨き続けるものなのだということを知りました。
 スペインの選手は基礎基本のレベルが高く、無駄を削って削って「シンプルなプレー」をします。基礎基本のレベルの高さがよくわかります。今の自分は「基礎基本くらいできている」とかそのようなことはありませんでした。改善しないと相手のレベルが上がったときの試合で通用しなくなるということを知りました。自分が「できている!」と思っていたプレーの多くは間違っていて、早急に改善しないといけないプレーばかりだったのです。
 バルセロナで間違っていると言われたときはかなりショックでした。ですが「自分はできていなかった!」と受け入れて、「0」からスタートする気持ちで改善していったのを覚えています。
 今となって思うのは、スペインで「キミは間違っている」言われて良かったということです。バルセロナで「間違っていること」を教わりましたが、説得力のあるバルセロナの有名監督からの助言だからこそ納得できたのかもしれません。もしこれが日本の名もない監督からの助言で「キミは間違っている!」と言われたら「いやいや、僕は間違っていない!」と反論していたでしょう。改善する気にもなれず、気付いた時にはもう手遅れだったかもしれません。
 
 「できていないこと」や「間違っていること」を認めるのは正直しんどいことです。ですが、自分をアップデートしていくためには「自分の間違い」や「改善点」を受け入れて努力することが大切です。「自分はできている!」とか「今のままの方がやりやすい」と思っている間は、絶対成長しないと思います。
 
 余談ですが、日本に帰ってきたときに「パスの蹴り方は、ボールを体の真下に置いた状態で蹴らないといけないよ」とチームメイトに教えたことがありました。すると「体の前にボールを置いた方が速くプレーできるし、強いボールを蹴られるからやりやすい」と言う選手が多かったです。これは覚えておいてほしいのですが、体の前にボールを出した状態でプレーできるスペースは、スペインにはありませんでした。
 「キミは間違っているよ」と言われたときに「今のままがいい」「今のままがやりやすい」と言う人がいます。それは、今までその方法でやってきたから、やりやすくて当たり前です。教えている側は「そのままじゃ成長しないよ?」という話をしているのであって「やりやすさ」の話をしているわけではないということが伝わらないのでしょう。まず自分の常識を疑うことが大切だと思います。
  例えば、カラオケに行ったとき「いつも聞いている歌」か「初めて聞く歌」どちらが歌いやすいか聞かれたときに、誰もが「いつも歌っている歌」が歌いやすいでしょう。今までの「やりかた」や「癖」が自分に馴染んでいるのは当たり前です。ですが、新しいことを始めることで自分自身がアップデートされていきます。今の自分を壊して新たに創り上げていくことが大切です。
 今日は「プロサッカー選手になるまでの最短距離の道は『自分の常識を疑うこと』だ」というテーマでお話させていただきました。
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