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日本の伝統音楽とつながる新しい音楽の作曲方法を求めて~研究を始めたきっかけ

はじめに

こんにちは。kengoshimizです。
去年の暮れごろから、日本の伝統音楽の研究を始めました。
現在は個人で研究を進めています。いわゆるインディペント・リサーチャーってやつです。

具体的に今の研究内容を書くと、日本の伝統音楽の音高理論やリズム論を今使うにはどうしたらいいのか、という研究です。

今まで何度もnoteでの連載には失敗してきましたが、研究の道筋をまとめていくのに丁度いい感じがするので、ちょっと本腰を入れてnoteを始めて行こうと思います。どうぞよろしくお願いします。

自己紹介

早速研究のきっかけを書いていこうと思いますが、その前に簡単な自己紹介を。

基本情報/
名前:kengoshimiz
出身:埼玉県
年齢:26
学歴:武蔵野美術大学 空間演出デザイン学科 ファッション専攻 卒業(学位)
趣味:自転車、APEX(最近趣味が出来てホッとしました)

今までやっていたこと/
楽曲制作:2014~現在
服作り:2012~2021(一旦停止中)
編み物:2007~現在(たまにやっています)
映像制作:不定期(仕事貰ったことが数回あります)

できること/
作曲(一番お仕事もらっています)
服作り(停止中)
編み物(最近ぼちぼちやってます、好評なので売ろうかなと)
adobeのソフトのオペレーション(ほぼ全部使っている)
3Dモデリング(必要な時にやる)
web制作(プロみたいにはできないけど自分のページは自分で書いてる)

自分のことを書いてみると意外となんでもやっていてスーパーマルチパーソンな感じがしますが、
今ではほとんど作曲と編み物しかやっていません。

研究のきっかけ:研究以前の私

絶望しまくってた時

研究する前まで、色々悩んでました。
何をやっても結果が出ない。結果の出し方もわからない。服作りもやる気が出なくなった。金もない。なぜか仕事も行けなくなってしまった。

いわゆる人生のピンチです。
その頃、編み物や3Dプリントやなんやらかんやら、色々なものに手を出しまくっていました。

編み物で作ったdoge。今見るとこんなもの作れる自分すごいのかもって思う。1mくらいある。
3Dプリントした試作。モデリングも自分でやった。

NFTもお金がないから始めたりしてました。
全部失敗しました。というか続かなかったという感じでしょうか。
ちなみにCombiesについてはちょっと考え直していけばまたいけるなという印象があります。

その前にも現代アートの勉強のために30~40万円分くらい資料を買ったりしていました。アーティストになってやる!という勢いでやってました。
すぐに結果が出ないのはわかっていたはずですが、コンペも通らず、多分この頃に一気にメンタルがやられていた気がします。

この頃に買った本は、会社に行けず支払いがヤバくなってしまったのでほぼ全部売りました。他にも色々全部売り飛ばしていました。

なんかMaxでちょい盛り上がった時期

まあ他にも色々とあったんですが、ある時ずっと触ってなかったmax/mspを久々に触りました。

このツイートが今までより反響が大きく、それで一気に調子が出てきた私は、ほぼ毎日シーケンサーを作ってました。この頃AMCJさんから出演依頼を貰って、シーケンサーについてレクチャーする事になりました。

その頃maxで色々作っていた時に大いに参考にしていたのは、Rian Treanorさんの作曲についてのインタビューや、Mark Fellさんのパッチでした。

幸運にも私はムサビの特別講義でMark Fellさんから直々にMaxを教わることがありました。
私は彼のように「自分のコンセプトを形にするために技術を使いたい」と考えてMaxを使っていましたが、根本的な問題に直面します。

今俺がやってる事って、MarkさんやRianさんの後追いじゃないか?

いつのまにかMaxを使う事に意識が行っていて、ではどうやって使うかの部分が欠けていました。

さらに言えば、今まで新しいものを作りたい!という一心でものづくりをしていました。
しかし自分が作ろうとしたものは既にあるものの中で「自分が新しいと感じるもの」であって、新しいものではなかったような気がします。
個人での音楽制作も、よくよく考えるとただ西洋音楽の後追いみたいな印象がありました。

村上隆さんの本で目覚めた時

そんな時に、現代アートを勉強していた頃に読んでいた村上隆さんの本を読み返して、大きなヒントを得ました。この本です。

この本は何度か読み返しましたが、あの時にこれを読まなければ辿り着きませんでした。何度か読み返して、最も大きなヒントになった文を引用します。

戦後の日本の美術の世界は「醤油くささ」の隠蔽と外国料理の模倣に明け暮れたようなものです。(省略)日本の文化を欧米に伝えるには、西洋の味の模倣をするのではなく、日本の味のまま濃くするべきなのです。
芸術起業論 (幻冬舎文庫) 
村上隆 著
kindle位置No.1377/2393

この本のおかげで1年ほど前から歴史を勉強する意識にはなりましたが、
日本人としてできる事への意識が欠けていました。
ところがどっこい。この文章をこのタイミングで読んで、私は自分が何をすれば良いかがわかりました。

日本の伝統音楽の歴史の調査と作曲された結果から構造を研究して、西洋の歴史と相対的に見える部分を発見し、同時期に違う理論で行っていた音楽からの発展を世界に伝えよう。

そんなこんなで、この研究が始まりました。
この大きな題材に辿り着くまでに、ものづくりを本気で始めて10年かかりました。短いのか長いのかは良くわかりませんが、10年っていい区切りですよね。
でもでも、よく考えてみると、最後に作っていた服のシリーズが、服の構造そのものに着目して、誰もがいろんな服を作れる布製品を開発する、という内容でした。

そう考えてみると、私は割と一貫して構造に興味があった事もわかりました
Maxを使っているときも、作曲する構造を作っていましたし、現代アートの勉強も、アートにするにはどういう構造があるのかに興味がありました。
この題材は私向きのものだなと思ったのも、全体を見て構造を把握しようとする私の興味が大きく出ているなという確信があったからです。

研究のきっかけ:研究を始めた私

右も左もわからなさすぎた時

研究を始めたは良いものの、最初はどうしたらいいかよくわからなかったのでインターネットで色々調べていたところ、多分日本の伝統音楽の音階論で最も大きな影響を与えた小泉文夫さんが出てきました。

マジでこれだけは言いたいんですが、、、
日本の音楽のついての資料は、ほぼ絶版or結構値段がやばいかのどっちかです。
結構マジで手に入れて読み込みたいのに読めないとか普通にあります。
神保町とかにあるかもですが、
digが大変すぎるので国会図書館に行くようにはなりました、、、(お金もない)

彼の音階論はその後大塚拝子さんという方と、私が勝手に師匠だと思っている宮内基弥さんに批判されている事を後になって知ったのですが、まずは彼の音階論についての論文を読みました。

彼のテトラコルド理論は私にはものすごい衝撃であったのと、それらを支えるための理論もわかりやすく、宮内さんとお会いしてコンタクトを取るまではテトラコルド理論やその他小泉文夫さんの理論を参考にしていました。

実際に宮内さんと話すうちに、テトラコルド理論やその他の理論が全て正しいわけではないと考えられる事がわかりました。

ところで私は伝統音楽を研究しどのようにそれらとつながる作品を作れるか、という観点で研究しています。
現在は音階に関しては宮内基弥さんの陽音階(陽音階というのは半音を含まない音階です)についての研究の音階と、大塚拝子さんの臨機音高理論を参考にしています。

リズムについても小泉文夫さんの著作がありますが、それ以外にも能の謡にもリズム体系があるのでその本を読んだり、他にも色々リズムにはパターンがありそうなので(打楽器やらなんやら)ここは私の下調べが本当にまだ足りていない部分が大きいので未知数です。

今の所わかっていること

日本の音楽はとりあえず和声はないらしいけど選択される音階によって主音と導音の機能があって、転調もあるという事です。
ちなみに大塚拝子さんは三味線音楽の音高理論について書かれていますが、私が解析した長唄の二曲は1800年代にはあるとされていて、それらは転調がえぐいほど起こっています。半音階も使われています。

勧進帳の三味線の解析をした時の画面。
スクリーンショットの都合上、全ての範囲が含まれて撮影されてはいないが、
F以外の11音が使われている。

1800年代といえば、西洋ではロマン派音楽が起こっているわけですが、実際に半音階や転調がゴリゴリになる時代だと私は認識してます。
同じことが同時期に違う理論で既に起こっていると考えられます。
日本の音階は5音音階とは言われていますが、実際は転調などをするので解析した長唄たちはどちらも西洋の音階で言えば11音使われています。
11
音からその都度5音を選択し作られている、規則のある音楽だと考えられます。
さらには二音のポリフォニー?(ホモフォニー感はないので)とも言えるのかもしれませんが、替手と呼ばれるメロディーを弾く以外の三味線が存在していたり、色々な部分で「こんなにすごかったんだ!」と思う事がたくさんあります。

老松の後半。見にくいのが残念ですが、
二つの三味線が伴奏とメロディに分かれて演奏するパートがあります。
この部分だけ見ると10音ですが、前半にCが何度が確認できたため、
11音と考えてよさそうです。

まあ何が言いたいのかというと、

日本の伝統音楽、西洋に負けないくらいのやばいポテンシャルと激アツなバイブスとエモさがあったらしいぜ!!!これからどうするぅ???

という事です。

この研究のゴール

この研究のゴールは3つくらいあります。

日本の音楽の作曲理論がそこら中の本屋で並ぶこと(和声くらいのノリで)

ショッピングモールの本屋にいくと「和声」売ってるところがあるんですよね。

これが売ってることがめちゃくちゃ驚きでした。めっちゃ専門的な奴!
なので、これが置いてある場所に一緒に日本の音楽の作曲理論が置かれるくらい、私が死ぬまでに日本の音楽が浸透してる世界にするのが一つの目標です。

日本の伝統音楽から発展してきた日本の音楽で私が世界的に無双すること。

これです。ぶっちゃけこれが一番です。私は世界的なアーティストになりたいと思うのでこの研究を始めました
ついでに言えば日本の伝統音楽こんなんになっちゃうんだヤバすぎだろ!!!って世界の全員が熱狂すると良いなって思ってます。
それでみんなが諸外国の音楽も日本の音楽もどっちもヤベエってなるのが一番良いです。

ガチのJPOPを作る。

ガチのJPOPってなんでしょうか。今あるのはガチのJPOPではないんですか?
という質問が来そうですが、私的にはJPOPに対して
それ〇〇(ポップスのジャンル)の日本人バージョンじゃん!」という
ツッコミがどうしても出てしまいます。

ブルースも確かに西洋の和声法とかが変形(というのか)されてきたのはそうなんですが、
日本には他の在り方の音楽があって鎖国でバッキバキに発展してたのに、
それがどうやって発展してったかが多分ちゃんと文章になってなかったりして、こうなっちゃったと思うんです。
(今度ちゃんと引用しますがどこかの人が日本人の絵はいいけど音楽は発展してないから切り捨てた?みたいな判断したらしいことがなんかの本に書いてありましたがなんの本だか忘れました)
だから私はガチなJPOPを作りたい
ポップな音楽自体そんなに好きじゃなかったけど、みんなに楽しんでもらえるものまで作りたいから、ポップな音楽を聴いたりするのが最近楽しくなりました。

おわりに

この連載では、日々解析した日本の伝統音楽の面白いところ(主に構造です)などを少しずつ紹介できればなと思います。
多分この連載を読む人は日本の音楽のヤバさを誰よりも早く沢山知ることができます
さらに言えばこの連載に書いてある音楽理論を読んで何かに目覚めてしまう方もいるかもしれません。まだまだ研究者の端くれですがマジで熱量には自信がありますので楽しみにしててください!
じゃないと2時間でこの分量の記事書けないと思います!(気づいたら4500文字超えてました)

間違えた時は誠心誠意謝ります!よろしくどうぞ!

あと個人の研究だと研究費とかないのでサポートとかマジで喜びます
資料を探すにも購入するにも手間とめちゃくちゃな金がかかってしまうのと、日本の音楽のヤバさを世界に伝える時間がどんどん減ってしまいます!
皆様からのサポートが日本の音楽の今まで誰も知るよしもなかった潜在的なヤバさを早く世界に伝えるためのガソリンになりますので、今後の記事でどんどんもっとやってくれ!!と思ってくださったらどうぞよろしくです!

おわり

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