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【保存版】報酬制度 設計方法②

今回は、前回に引き続き報酬制度の設計方法について、基本給に焦点を絞りご説明をさせていただきます!それでは、よろしくお願いいたします。


1,評価の報酬への反映方法

まずは、報酬制度と評価制度の繋がりについて検討していきます。
評価結果の報酬への反映方法としては大きく2種類あり、①それぞれの評価対象に対して異なる還元を行う方法と、②評価対象の結果を総合的に判断して還元する方法の2パターンがございます。

一般的には成果と行動の両方のコミットメントを引き出すために、両方の評価結果を総合的に反映させる形で、基本給や賞与へ還元させる方法が多く取られます。

というのも、スタートアップの場合、十分な賞与の原資を確保することが難しく、左側のようにバラバラに反映させた場合、賞与の魅力が小さく(上の例ですと、)成果よりも行動を重視する人が増えてしまう、といった事に繋がりかねないためです。

そのため、どちらかの行動を求めたいといった想いが強くない場合には、右側でご設定される方法を推奨しています。


2,報酬制度の考え方

それでは、実際に基本給の設計についてご説明していきます。
基本給の報酬制度において、考えるべきポイントは以下の画像の通りです。


報酬制度の検討ポイント

上記画像の通り、基本的には等級ごとに下限値と上限値(レンジ幅、箱)を設定する形で報酬額を検討していきます。

報酬制度の設計では、
①等級ごとの給与レンジの箱をどのように設定するのか 
②それぞれのレンジの箱内をどのように動かすのか
の2点について検討します

①等級ごとの給与レンジの箱の設定方法

これには、重複型・接合型・開差型の3つの考え方があります。どれを採用するかによって、昇格・降格時の給与変動の大きさや昇給幅が決定されます。

ここで、全等級同じレンジ内で変動させることはしないのか?といったご質問をいただく事があります。

回答としましては、上限値を設定しなかったり、全等級を同一の給与ピッチでご設定する会社様もいらっしゃいます。
ですが、そうしてしまうと、昇格せずとも一定成果を出し続ければ昇給し続けることができるため、昇格することへのインセンティブが薄れてしまいます。そのため、等級制度を設定している場合には各等級の上限値を設定されることを推奨いたします。

例外として、大企業や中堅企業などのような、ある程度成熟し一定規模の会社様の場合、ポストの空きがないために昇格が難しくなっている場合がございます。その場合には上限を設定しない、あるいは重複幅を多くご設定されることもございます。

②昇給レンジの箱内をどのように動かすのか

こちらは、アナログ式・デジタル式・シングルレート式の3パターンございます。

モチベーションを高めつつ、公正かつ納得感を持てるようシンプルで分かりやすい人事制度にアップデートするため、シングルレートではなく、昇給ピッチを作成し、評価者の恣意性を排除するためデジタル的に昇給することを推奨しております。

続いて、箱の中での上下(昇給・降給)についての考え方を検討します。
こちらも大きく、積み上げ式・洗い替え式・ノーレーティングの3パターンございます。

被評価者の心理的負担や減給の際の10%ルールなどを考慮し、一定下がる可能性もありつつも一度に大きく変動することの無い積み上げ式を推奨しております。

なお、ノーレーティングを採用する場合には、評価者の恣意性を排除するために、運用にリアルタイムフィードバックを盛り込むことを推奨しております。


3,報酬制度設計時に意識するポイント

以上の内容で、全体的な算定ロジックを設計/検討しましたら、次は実際に金額を設定していきます。

金額をご設定される際に意識するポイントには大きく①外部競争性、②内部公平性の2つございます。

①内部公平性

社内においては役職間・職種間において不公平が生まれる可能性があります。

役職間の例だと、管理職になったことで残業代がなくなり、実際の受け取り額が非管理職の方が大きくなってしまうといったことがあります。
このように、意図しない逆転現象が発生しないか注意が必要です。

職種間においては、同じ等級でも職種によって業務難易度が高くなっていたり、②外部競争性でもご説明する通り転職市場での給与水準が異なる場合があります。

その場合、同じ給与だと不公平に感じてしまい、外部へ流出してしまう可能性もあるため、職種間での差異にも注意する必要があります。
※一方で差の根拠がないと不満を招くこともありますので注意が必要です。
※こちらの差の根拠として、等級制度において職種別にコースを分け、説明が可能なように設計する方法が一般的です。

特にスタートアップだと、エンジニアの市場での給与水準が高い傾向にあるため、エンジニアと他職種で給与レンジを分けることが多くなっています。



②外部競争性

続いて報酬額を設定する際には前述の職種間の差異にも通じる通り、外部競争性を高めていく上で他社水準(市場)との比較を行い水準を決定する必要があります。

特に競合他社が多い業界では、報酬水準が著しく低いと採用時に不利となってしまうため、一定の検証が必要になってきます。

他社水準と比較する方法としては、以下の4パターンが考えられます。

下へ行くほどより精密なデータを得られますが、工数や金銭におけるコストが大きくなっていきますので、パターン②の求人票や口コミサイトなどから水準をリサーチする方法が一般的かと存じます。

企業によっては、報酬体系を一部公開しているところもございますので、ぜひ調査してみてください。

以上の「①内部公平性」「②外部競争性」を意識しつつ、金額を決めていきますが、実際決めようとするとどこから手を付ければ、、といった事になる場合が一般的ですので、具体的な手順を丁寧にご説明していきます。


4,基本給の設計方法

まずは、「①内部公平性」「②外部競争性」どちらをベースにご設定されるかを選択いただき、以下のような形で各等級の下限値や上限値をざっくりと決めていきます。

※採用時に負けないようにされたい場合や、外部流出を抑制される事を重視されたい場合には「②外部競争性」をご選択いただくことを推奨いたします。

報酬レンジイメージ(数値は仮入力、あくまでイメージです)

そうしましたら、本記事の2-②にてデジタル式に算出される方法を選ばれた場合には、それぞれの中身を細かく切り分けていきます。

切り分ける際の検討ポイントは
①年間昇給額をいくらにするか
②定期的に昇給していった場合、何年で上限額に行きつくようにするのか
の2軸から検討していきます。

①年間昇給額をいくらにするか

年間昇給金額については、厚生労働省より「令和〇年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況」といった形で公文書が出ておりますので、そちらをご参考としつつ、等級定義表と照らし合わせながら、実際どの程度の金額を還元されていきたいかで金額をご決定されることを推奨しています。

②定期的に昇給していった場合、何年で上限額に行きつくようにするのか

年間昇給金額をある程度ご決定されましたら、上限値までたどり着くのに何年程度かかるのかを確認していきます。
もちろん、上限値に達する前に昇格をし、次の報酬レンジへ移行する事もあるため、全員が上限値に達する訳ではありませんが、早めに上限に達するように設計することで、早い昇格を促すことが可能となります。

そして①と②で上限や下限値を調整しつつ、給与額を決定し、報酬レンジを完成させます。




以上、報酬制度のうち、基本給の設計方法について詳しくご紹介させていただきました。
次回は新たに設定した金額をどのように現組織へ当てはめていくのかや、賞与の支給方法についてご紹介できればと考えております。

それではまた次回もよろしくお願いいたします!


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