#33 ローテーターカフの解剖学
皆さんこんにちは、パーソナルトレーナーの古寺健吾です。
北海道札幌市で
「フィットネスで人生を豊かに」をモットーに、多くの方の健康に寄り添うお仕事をさせて頂いております。
このnoteマガジンでは、主に「健康」や「身体」に関する内容の記事を毎週アップしていきます。
第33回目となる今回のテーマは
「ローテーターカフの解剖学」
について。
▼概要
ローテーターカフは、肩甲骨の外側から上腕骨に付着する4つの筋肉(棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋)の総称で、回旋筋腱板とも呼ばれます。
これら4筋は、上腕骨頭と肩甲骨関節窩を安定させるために重要なインナーマッスルです。
肩関節は股関節に比べると靱帯によって関節を守っているのではなく、このローテーターカフによって肩関節を支えています。
可動域は股関節よりも広いですが、安定性が低いのが肩関節の特徴です。
安定性が低い為、筋力が落ちれば姿勢にも悪影響を及ぼし、肩の痛みが生じるケースも少なくありません。
野球やバレーボールなど、瞬間的に大きな力を発揮するような動作が多いスポーツにおいては、細かいフォームのクセや疲労や負担が蓄積する事で肩の損傷に繋がります。
アウターの筋肉ばかり使うような力任せな動きを繰り返す事で、インナーのローテーターカフが正しく使えなくなってしまいます。
一度損傷すると、外科手術をもってしても完全に回復させるのは極めて難しい為、近年ではこのローテーターカフを鍛えるトレーニングは重要視され、それを上手く使うエクササイズとともに野球における近年の科学トレーニングの中核をなしています。
また、この4筋は深層において筋連結を起こしている為、それぞれが独立して筋発揮をするのではなく、4筋が相互に働き合う事で肩関節を安定させています。
▼棘上筋
起始:肩甲骨棘上窩
停止:上腕骨大結節上部
作用:肩関節外転
支配神経:肩甲上神経
棘上筋は、肩関節外転に作用しますが、これは0~30度程度の外転初期動作において最も働きます。
この場面で棘上筋が作用する事でスムーズな外転動作が行われます。
また、棘上筋はローテーターカフの中で最も損傷しやすい筋肉です。
棘上筋の走行は肩峰の下を通る為、不良姿勢が続いたり僧帽筋の緊張が起こると肩峰下に挟み込まれ痛みが生じる事があります。(インピンジメント)
▼棘下筋
起始:肩甲骨棘下窩
停止:上腕骨大結節中部
作用:肩関節外旋
支配神経:肩甲上神経
棘下筋は、主に1stポジション(下垂位)において外旋作用を発揮します。
棘上筋に続き、ローテーターカフの中で損傷しやすい筋肉となっています。
投球時に強く内旋が働く事により棘下筋が過度に引っ張られ損傷しやすいのが特徴です。
▼小円筋
起始:肩甲骨外側縁、下角
停止:上腕骨大結節下部
作用:肩関節外旋、内転
支配神経:腋窩神経
小円筋は、2ndポジション(90度外転位)及び3rdポジション(90度屈曲位)において外旋作用を発揮します。
▼肩甲下筋
起始:肩甲下窩
停止:上腕骨小結節
作用:肩関節内旋
支配神経:肩甲下神経
肩甲下筋はインナーマッスルの4筋の中で唯一の内旋筋です。
この内旋作用は、巻き肩に誘導するような内旋ではなく、上腕骨頭がその場で固定された状態でグルッと内旋される働きが正しい働きになります。
また、肩甲下筋は筋の走行ベクトルが後ろから前に向かって真横の走行で上腕骨を内旋させる点、半羽状筋という出力の大きい筋肉である点から、数ある内旋筋の中でも最も強く働きます。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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