瞬く間もない一生に。
カメラを買った理由は、人間らしいものだった。
彼女と別れた事実と、それを消化できない気持ちが
今も僕の心から離れないままでいる。
どれくらいの時が過ぎたのかは、数えれば簡単に分かるけれど
どれくらい、どうすれば気持ちがポジティブに浄化されるかは未だ分からない。
ただ、この混沌とした気持ちがあるうちに、日常に飲み込まれないように、
作品をつくらなければと思った。
そして僕は、またカメラを手にすることにした。
日常を生きることは、慣れれば簡単だけれど
慣れた生活に疑問を持たずに生きるのは、僕にはしんどい。
いつか忘れるかもしれないと思っている、大切なあの子のことを
たぶん僕はまだ当分忘れることはできない。
それでも僕は生きるし、時も過ぎる。
そして美しいものは美しく、苦しいことは苦しい。
もっといろいろなことを知って、少しずつ苦しいことに慣れていって
また新しい何かを、僕は見つけて、大切にしなければいけないのかもしれない。
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