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#3財務会計をわかりやすく解説 損益分岐点売上を計算する 🔰初心者向け


損益分岐点売上について

3回目は、損益分岐点売上高についてさらに説明していきます。
損益計算書は、前回でケーキ屋さんの損益計算書を作成していますが、細かく項目を説明してもいいのですが、ふ〜んで終わると思います。
それよりも、経営に役立てる資料として使えるようになるよう、損益分岐点売上高をわかりやすく解説してきます。

前回の問題の答え

前回#2で、このような問題を出しておりました。

① 1個500円でケーキを販売した場合の利益は?
 簡単ですよね!!
  売上高が6,000円→5,000円になるだけですよね
  利益が、2,300円→1,300円に減少するだけです。

② 材料代が25%値上がりした場合の損益分岐点売上(損益トントン)のケーキ1個の値段

材料代は、1個ケーキ作るのに120円→150円(25%UP)となります。
10個販売しようとしていますので、
材料代 150円✖️10個=1,500円

 売 上 高   〇〇円
 材 料 代  1,500円
 売上総利益   △△円

 テナント料  1,000円
 アルバイト代  800円
 光熱費     500円
 小物文具代   200円
 固定費合計  2,500円
 利   益    0円 

では計算してみましょう。
固定費合計2500円 + 材料代1500円 = 4,000円(損益分岐点売上)

ここで、算式を変形させておきます。

材料代1,500円を=の右側に移動させます。ということは、

固定費合計2,500円=4,000円(損益分岐点売上)ー 材料代1,500円
          売上高 ー 材料代は、売上総利益でしたよね!!
最終的に次の算式になります。

固定費2500円=売上総利益2500円 
の時に損益トントンになるということです。

これは覚えておきましょう!!

つまり、1個400円が材料代25%したときの損益トントンということになります。
この売上高を、損益分岐点売上と言いましたね!

これは、材料代が上がればどういうことが起きているかと言いますと

材料代が25%UPすれば、以前は370円以上で販売すれば利益が出ていたものが、400円以上で販売しなければ、赤字になるということです。利益も30円なくなっています。

材料代は上がるけど、コロナ禍で集客は望めない、固定費は変わらないというより、むしろ人件費などは高くしないと募集すらない。。。。
かなり厳しい状況にあるのが、今の飲食店業です。

ただし、この計算方法は一般的な損益分岐点売上の算出方法ではありません!!
理解していただくためにあえて材料費を固定させました。
一般的な算出方法は次の項目で説明します!!

本来の損益分岐点売上の計算方法

一般的な損益分岐点売上の算式は次のようになります。

固定費 ÷  限界利益率 = 損益分岐点売上高

今回の記事の目的は、読者の方にわかっていただくことを重視しておりましたので、あえて違うアプローチから説明させていただきました。
いきなり、固定費だ、限界利益だと言われても、その時点で会計が苦手な方は、閉店ガラガラになってしまうでしょうと思いまして、失礼を致しました。

では、本来の損益分岐点売上の算式に近づけて説明していきたいと思います。

原価率

 損益分岐点売上を説明してきましたが、材料代は本来、材料代の金額を使用せずに、原価率を使っていきます。

 普通のお店では、商品を1種類ということはないでしょうし、材料も例示のケーキ屋さんのように少なくはないでしょう。

 では、どのようにして損益分岐点売上を計算するかというと、材料代、つまり一般的に言う『原価(正確には「売上原価」)』を、金額ではなく、原価率を使います。
 原価÷売上高=原価率で算出します。

材料代(原価)÷ 売上高 = 原価率

 ケーキ屋さんの例でいきますと
  1,200円 ÷  6,000円 = 20%
 原価率は、20%です。
 材料代が25%UPした時は?
  1,500円 ÷  6,000円 = 25%
 原価率は、25%にUPします。 

売上総利益率(限界利益率は違います)

原価率の売上総利益バージョンです。つまり、世間一般では『粗利益率』と社長さん達がよく使う言葉です。

計算式は、原価率と売上総利益を入れ替えればOKです。

売上総利益 ÷  売上高 = 売上総利益率(通称『粗利益率」)

ケーキ屋さんの例でいきますと
 4,800円 ÷  6,000円 = 80%
売上総利益率 80%です。

 原価率も売上総利益率も、売上高を100%としたときに占める割合ですので、

  100% –  20%(原価率)= 80%(売上総利益率)
 と算出することもできます。

原価率と売上総利益率を損益計算書に載せてみましょう!!

ケーキ屋さんの損益計算書

        金額    率
売上高    6,000円  100%
材料代    1,200円    20%
売上総利益  4,800円    80%

損益分岐点売上の算定

損益分岐点売上の算定ですが、通常は、この売上総利益率を使います。
早速計算してみましょう!!

        金額    率
売上高    6,000円  100%
材料代    1,200円    20%
売上総利益  4,800円    80%

テナント料  1,000円   ー
アルバイト代  800円   ー
光熱費     500円   ー
小物文具代   200円   ー
固定費合計  2,500円   ー
利   益  2,300円   ー

先ほど説明しましたように、損益分岐点売上の算式で

固定費合計 = 売上総利益 の時に損益トントンとなります。

損益分岐点売上の算式を変形させましたが、この算式に売上総利益率を使います。

固定費合計 = 売上総利益 ÷  売上総利益率 →  損益分岐点売上
が成り立ちます。
実際に数字を入れてみましょう。

固定費合計2,500円 = 売上総利益2,500円 ÷ 売上総利益率80% 
→  損益分岐点売上 3,125円

#2では、確か損益分岐点売上は3,700円と説明しておりました。
なぜ金額が違うのでしょうか?

材料代を1200円として計算する(第一法)か、売上総利益率80%で割り戻す(第二法)かの計算方法の違いです。

               第一法       第二法
損益分岐点売上高    3,700円 100%   3,125円 100%
材 料 代       1,200円   20%      625円     20%
売上総利益       2,500円   80%          2,500円   80%

会計としては、損益分岐点売上高と言われますと、第二法が損益分岐点売上高です。

では、第一法は間違いなのか?

間違いではありません、状況によって第一法を使う場合もあります。

第一法
すでに10個分の材料代を購入しており、ケーキを10個販売する場合における損益分岐点売上高となります。
つまり、1個370円以上で販売しなければ利益が出ないと言うことです。販売個数がすでに確定している場合です。

第二法
本来の損益分岐点売上は、3,125円÷600円(ケーキの単価)=5.2個以上販売しなければ、赤字になりますという売上高を示しています。
つまり、今の600円の単価で販売しようとする場合、5.2個以上販売しなければ利益が出ないということです。

ちなみに、第一法は、私独自の考え方なので、税理士さんや他の会計を知っている方に伝えても違うと言われますのでご注意を!!

次回は、さらに損益分岐点売上高から、売上目標を設定してけるように説明していきます。

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