#4 税理士が教える財務会計|損益分岐点売上の使い方をわかりやすく解説|初心者🔰向け
これから会計を学びたい、会社の数字に強くなりたいという方で、会計用語をなるべく使わずに、わかりやすく解説しています。
でも難しいし、おもしろくなさそうという方に、まずはの味をもっていただくために損益分岐点売上から、説明してきました。
今回は、その損益分岐点売上の計算方法を使って、売上目標の立て方を説明していきます。
損益分岐点売上の計算方法(復習)
損益分岐点売上では、第一法と第二法があり、会社の状況によって使い分けると説明しました。
第一法
最初にわかりやすく説明するために用いた方法です。材料費などの原価項目を、すでに購入してから損益分岐点売上を求める場合
固定費 + 材料代(売上原価)=損益分岐点売上
第二法
会計学上、本来の損益分岐点売上の計算方法。これから商品を販売するときに、販売価格を決めていく上で使う方法で、一般的には第二法を損益分岐点売上という。
固定費 ÷ 利益率(限界利益率)=損益分岐点売上
注:限界利益率は、ふ~ん程度で大丈夫です。
ケーキ屋さんの事例で説明
損益分岐点売上の計算
ケーキ屋さんの損益計算書(第一回からの損益計算書と同じです)
ケーキ1個600円で、1か月10個販売しました。
材料代は1個作るのに120円かかりました。
金額 売上対比率 単価
売上高 6,000円 100% @600円×10個
材料代 1,200円 20% @120円×10個
売上総利益 4,800円 80%
テナント料 1,000円 ー
アルバイト代 800円 ー
光熱費 500円 ー
小物文具代 200円 ー
固定費合計 2,500円 ー
利 益 2,300円 ー
ここで、損益分岐点売上の計算方法(第二法)に当てはめて、計算してみましょう。
固定費 ÷ 利益率 = 損益分岐点売上
2,500円 ÷ 80% = 3,125円
損益分岐点売上は、3125円と計算できました。
この3,125円を使って、売上目標を求めていきます。
損益分岐点売上の計算された金額の意味
3,125円は2つの意味を持つことになります。
第一回の復習です。
売上を2つの項目で構成されていますよね。。。。
売上 = 単価 × 個数
(1)単価を@600円とした場合
ケーキの単価を@600円とした場合
3,125円 ÷ @600円 = 5.2…個
ケーキを1個600円で販売する場合、5.2個以上販売しないと赤字になる
(2)個数を10個販売するとした場合
ケーキの販売個数を10個販売するとした場合
3,125円 ÷ 10個 = 312.5円
ケーキを1個312.5円以上で、かつ、10個以上販売しないと赤字になる
つまり、単価を固定するか、販売個数を固定するかで、損益分岐点売上の3,125円の使い方が変わってきます。
売上目標を設定
前提条件
ケーキ屋さんでは、ライバル店の出現により販売価格を見直す必要が出てきました。
利益は生活もあるために、最低でも2,000円必要です。
上記(1)の計算方法では、
@600円で販売した場合、5.2個以上販売しなければ赤字になります。
さて、どのようにして、売上目標高を設定していくかです。
売上目標高を計算する
利益を2,000円に設定した場合の売上高を計算しなければなりません。
(利益 + 固定費)÷ 利益率 = 売上目標高
(2,000円 + 2,500円)÷ 80% = 5,625円
損益分岐点売上の計算方法と基本的には同じです。
損益分岐点売上では、利益=0ということになるからです。
売上目標高は、5,625円と計算することができました。
経営方針から販売単価を設定する
ライバル店がケーキを1個500円で販売することがわかりました。
売上目標高5,625円の売り上げをあげようとすると、
5,625円 ÷ @500円 = 11.2個
以上販売する必要があります。
ちなみに@600円で利益2000円を出そうとすると、9.3個以上販売する必要があり
ライバル店より安く@400円で販売しようとすると、
5,625円 ÷ @400円 = 14.0個
以上販売することになります。
単価別にを5,625円の売上高にするための販売個数を一覧にしますと
ケーキ単価 必要販売個数
@600円 9.3個
@500円 11.2個
@400円 14.0個
@300円 18.7個
つまり、単価を安くすれば「薄利多売の経営方針」
単価を高くすれば、その逆になります。
単価設定の決め方
では、どのようにして単価を設定すればいいのか?
売上目標高が、損益分岐点売上の計算方法で算定できました。
ここからは、お店ごとの実務的な動きとなります。
自分の店舗を分析することになります。(外部に頼むとコンサルタントになります。)
(1)環境による分析
①商圏の把握
お客様は、どこから来ているのか?
ポイントカードなどで常連お客様の住所を把握できているか?
②店舗の立地条件
大通りに面している、駐車場がある、駅前、車中心の地域、高級住宅街など、店舗の環境を確認します
③開業してからの年数
開業して6か月は、立地によって影響を受けやすいです
➃競合店
商圏を把握してからですが、商圏内の競合店の場所及び競合店の商圏の把握
(2)内部環境の分析
①原価
現在値上げばかりの厳しい時代ですが、原価を下げる要因はないかを再考していく。
無駄な材料ロス、残った材料の安価販売、包装紙の見直し、新たな仕入れ先の探索など
②固定費
テナント料の値下げ交渉(コロナ渦で言いやすい状況)
人件費の見直し(本当に必要な人員か?1人でできるものを2人でしていないか、一番いいのは奥様に手伝ってもらう)
光熱費の見直し(必要のないつけっぱなしなどはいけないが、昼間店舗の電気を消す、夜の看板灯を消すのは、逆効果なのでよくない)
損益分岐点売上から売上目標を求め、経営方針からどのようにして、売上を上げていくかは、財務会計から離れていきますので、ここまでとします。
実は、勤めている税理士事務所が、歯科の開業支援をしていまして、以前は商圏、売上予測、事業計画、資金調達などをしておりました。
そのときの内容は、また、違う記事に書くことにします。
一旦は、損益分岐点売上の説明はここまでとします。
長い文章、読んでくださりありがとうございました!!
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