米国株マーケット考察 2020.10.9

マーケットサマリー

米国株式相場は、続伸。ダウ工業株30種平均は前日終値比122.05ドル高の2万8425.51ドルで終了し、ナスダック総合指数は56.38ポイント高の1万1420.98で引けました。

相場に影響する材料難な中、昨日の買いネタは相変わらず経済支援策の合意観測でした。

トランプ米大統領は、協議停止を表明した新型コロナウイルスの追加経済対策の交渉再開し、航空会社への雇用維持支援策と1人当たり最大1200ドル(約12万7000円)の現金給付策について「何かできる可能性は非常に高い」と発言しました。

これを受け、「一部の合意が見られるのでは?」「共和党がいくらまで金額を譲歩するのか?」と言った楽観的思惑が株式市場を席巻しました。

しかしながら、ペロシ民主党下院議長は「米財務長官と合意が出来ると確信している。」と言及しながら、同時に、「航空会社だけの支援はない」と主張し、包括的なコロナウイルス救済策無しには合意する姿勢はないことを明らかにしました。

つまり、両者は口先だけで本当に合意に至るか否かは未だ闇の中にあるというのが現実です。

昨日に続いて、相場は上がりたい雰囲気感に包まれていますから、これに関して、ポジティブな解釈により相場は上昇したと言って良いでしょう。

経済指標について、最新週の新規失業保険申請件数は84万件と、市場予想の82万件を上回り、労働市場の低調さが示されましたが、相場への影響度は軽微でした。

確かに第4・四半期は相場が上下動する要因を抱えているものの、市場はそれを確実に織り込みつつあります。

また、新型コロナウイルスの追加経済対策に関して、トランプ大統領が再選しようが、バイデン候補が大統領に就任しようが、近未来に実行されるのは確実で、それは相場にとってプラス要因になるのは間違いないです。

その観点から俯瞰しますと、投資家は、短期的には新型コロナウイルスの追加経済対策との相関性がない資産に投資する分散投資ポートフォーリオを構築すべきと言える一方で、中期的には保有株を持ち続けることで相場変動を乗り越えるのではないかという考え方も有り得ます。

それは背景にダウ工業株30種平均が史上最高値を更新したいという市場の圧力が存在しているからなのです。

用語解説


-新規失業保険申請件数ー失業者が失業保険給付を始めて申請した件数を集計し、季節調整を加え発表するもの。

本指標は景気の動向に敏感に反応するといわれており、景気先行指数として用いられています。米労働省雇用統計局が毎週集計し、集計期間の翌木曜日に発表。米雇用統計の基準日である12日を含む週の結果は、それ以外の期間よりも注目度が高いです。

-分散投資ー商品、国・地域、タイミングを変えて投資先を複数に分けることです。

なぜ分散投資をするとリスクが低くなるのでしょうか?手元に10万円の資金があるとしましょう。投資先は株価500円のA企業の株式、と株価1000円のB企業の株式があるとします。

分散投資ではなく、10万円全額をA株に投資という集中投資をしたとしましょう。もしA企業の業績が悪くなって株価が250円になったら、資産は5万円に半減します。倒産してしまったら、10万円は0円になってしまいます。

次に、A株とB株に5万円ずつ分散投資をした場合を考えましょう。A企業の業績が悪くなって株価が半減しても、5万円から2万5000円に減るだけです。B株の株価が変わらなければ5万円のままなので、合計で7万5000円です。

また、A企業が倒産して5万円が0円になったとしても、B株の株価が変わらなければ5万円は残ります。もしB株の株価が1000円から2000円に上がっていれば、A株による損失の埋めて10万円残ることになります。

投資をすれば投資先の業績などに連動して株価は変動しますが、分散投資すれば個別の銘柄の価格変動リスクを薄めることができます。

この例では、2社の株式への分散投資を例にしましたが、一般的に分散投資と言うと、5銘柄以上の投資を指すことが多いようです。

-ポートフォーリオー分散投資を目的とした金融資産の組み合わせ


立沢 賢一(たつざわ けんいち)
元HSBC証券社長。
会社経営、投資コンサルタントとして活躍の傍ら、米国宝石協会(GIA)会員など多彩な活動を続けている。投資戦略、情報リテラシーの向上に貢献します。

・立沢賢一 世界の教養チャンネル
http://www.youtube.com/c/TatsuzawaKenichi


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