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Fit in 10:忙しい人々のための迅速かつ効果的なエビデンスベースに基づく筋肉成長トレーニング【第1回目】

Fit in 10:忙しい人々のための迅速かつ効果的なエビデンスベースに基づく筋肉成長トレーニング【第1回目】



Ⅰ.イントロダクション



はじめまして!KEN's muscle&diet magazineへ訪れていただきありがとうございます!


このマガジンを書いているKENです。


最初に私の自己紹介を簡単にさせてください。私は、フィットネスインストラクター、パーソナルトレーナーとして25年活動し、フィットネスコンサルタント、起業、出張パーソナルトレーナー、スポーツクラブへのフィットネスプログラム提供、セルフブランドのダイエットプログラム開発などをしてきました。


25年間のフィットネス、ウェルネス関連の仕事の中ではたくさんの経験をし、その中で最も印象的だったのは、みなさん忙しすぎて、トレーニングやダイエットの時間をなかなか取れない、という事です。おそらく、多くの人はトレーニングもダイエット(健康的な食事)の大切さを知り、不健康な生活は病気になるリスクを高める事は、充分わかっています。でも、時間がなくてできないのです。私も、それが良くわかります。仕事に、家の事、子供の事、趣味の時間まで含めると残りの時間は、寝る時間と食事、会社への出退勤時間だけなのです。


忙しい毎日の中で、10分間だけ。10分間だけなら運動やダイエットに使えるなと思ったりします。でも…たった10分間で何ができるのだろう?たった10分間で筋肉を成長させたり、キレのあるボディメイクができるのだろうか?そんな疑問があると思うんです。


だから、私がその疑問を解決したい!と思い、このコラムを書いています。


結論を先に話すと、10分間の筋トレ、ダイエットでも筋肉を成長させる事は可能です。あまり強度の高くない、長時間のworkoutと比較して、超短時間、高強度のHIIT(ハイインテンシティ・インターバル・トレーニング)はプログレッシブオーバーロードの概念と、高強度トレーニング中の、TYPE Ⅱx、およびタイプ Ⅱa線維の動員による筋肉肥大の成長ポテンシャルを最大限に活かしたプロセスにより、短時間での筋肉成長は現実的で可能である事を示す研究が増え続けています。これら以外にもいくつかの要素が効率的に筋肉を成長に導きます。それらは、後の項で説明します。




【FIT IN 10のメリット】




これから、何回になるかはわかりませんか、複数回に分けたシリーズ物として、この10分間で筋肉を最大限成長させる、サイエンスとエビデンスに基いたトレーニングプログラムFIT IN 10についてお送りします。トレーニング知識を増やしたい方、もっと成長の機会を伺っている方、プラトーに陥っている方、などの力になれたら幸いです。


また、ここで取り上げるトレーニング内容は、できるだけ自宅でできるように設計しています。



Ⅱ.筋肉成長のサイエンス:なぜ、筋肉は大きくなるのか?




①最大限の効果と怪我予防のための、生理学と機能



「生理学」。フィットネスインストラクターも、パーソナルトレーナー、美容専門家に至るまで必ず通る道であり、基礎を固め、安全と効果をクライアントに提供するために、そして自分自身の健康、安全、効果のために不可欠な分野です。


しかし、少々退屈な生理学知識をここで並べる事はしません。


ここでは、FIT IN 10を実行する際に、必要になる知識と、安全上注意するべき事を説明します。具体的には、以下の3項目です。


1.HIITの基礎
2.HIITの背後にあるサイエンス
3.注意すべき事項


早速、「1.HIITの基礎」から見ていきましょう。









HIITはフィットネスプログラム、サービスとして現れてからまだ比較的新しいですが、競技の世界では、1950年の陸上5000m選手「エミール・ザトペック」は、HIITトレーニングによって、その時のオリンピックのゴールドメダルを獲得した、と話しています。さらに、エミールは10000mとマラソンでもゴールドメダルを獲得しています。この時、エミールが行ったHIITは世界中の科学者やアスリートの関心を集めました。


HIIT(高強度インターバルトレーニング)は、高い強度の短いエクササイズと、短い低強度、または休息時間を交互に行うトレーニングプログラムです。HIITはカーディオエクササイズと自体重エクササイズを組み合わせて、またはその両方を同時に行うのが一般的です。



HIITはあなたの運動経験のレベルと相関する、最適な高強度時間と休息の比率で効果は最大化します。トレーニング経験が豊富、または長いほど一般的に休息時間は短くなり、トレーニング経験やフィットネスレベルが低いほど、休息時間は長くなります。自分のフィットネスレベルや健康度の進歩によって、高強度時間が長くなったり、休息時間が短くなったりします。


例として


・フィットネスレベルが高い個人は、100mスプリントを1分間の休息時間で5セット実行できる。


・初級者は、100mスプリントを、2分間の休息時間で5セットトライしてみる。


無理な休息時間と強度は、安全性にとって脅威となる可能性が高いです。健康への安全性は、最優先されるべきで、初級者は低い強度からはじめて、徐々に強化し、ベテランも、心拍数や体調をモニターし、マキシマムHRを超過しないレベルをコントロールする必要があります。





ACSM(アメリカスポーツ医学会)を含む、多くの研究でHIITの効果が認められています。心肺フィットネスやその他の心臓代謝プロセス向上のための中程度の強度のトレーニング(MICT)よりも大きな生理学的刺激と適応を可能にします。


高強度インターバルトレーニング(HIIT)は、高強度パートが5 秒〜8 分間の長さで、推定最大心拍数の 80% ~ 95%、つまり最大努力で行われます。
回復時間は高強度パートと同じくらいの時間を設定し、通常は推定最大心拍数の 40% ~ 50% で実行されます。ワークアウトは、合計 20 ~ 60 分間、高強度パートと回復時間の時間を交互に繰り返しながら続けます。



有酸素能力とは、運動中に体が利用できる酸素の最大量を指します。それはあなたの心血管のフィットネスと全体的持久力の尺度です。一方、無酸素性能力とは、嫌気性(酸素消費なし)代謝を通じて筋肉が生成できるエネルギーの最大量を指します。 


HIITのエビデンスに基づく利点は数多くあり、以下が含まれます。


・有酸素性および無酸素性能力の向上:研究によると、HIITは有酸素フィットネスと無酸素性の両方のフィットネスを大幅に増加させることができることが示されています。例えば、Gibala et al.(2006)による研究では、2週間でわずか6回のHIITセッションで参加者の有酸素能力が2倍になったことが示されました。


・体脂肪燃焼率の増加:研究は、HIITが有酸素運動と比較して脂肪の燃焼に効果的であることを示唆しています。Tremblayら(1994)による研究では、HIITに従事した参加者は、中程度の強度のトレーニングを行った参加者よりもかなり多くの皮下脂肪を失ったことがわかりました。


・時間効率:HIITトレーニングは、従来の有酸素運動よりも短い時間で完了できます。これは、忙しいスケジュールを持つ個人にとって魅力的な選択肢になります。


・インスリン感受性の強化:HIITは、健康な血糖値を維持するために重要なインスリン感受性を改善することが示されています。Babraj et al.(2009)による研究では、わずか2週間のHIITが参加者のインスリン感受性を有意に改善したことがわかった。


・運動後の酸素消費量の増加: HIIT ワークアウトは、特にワークアウト後に、従来のワークアウトよりも多くのカロリーを消費する傾向があります。運動後の酸素消費期間は「EPOC」と呼ばれ、運動後の過剰な酸素消費量を表します。これは通常、運動後約 2 時間で、身体が運動前のレベルに回復し、回復に要するエネルギー動員のため、より多くのエネルギーを消費します。 HIIT ワークアウトの激しい心臓の収縮により、EPOC は一般的に若干大きくなる傾向があり、ワークアウト全体のエネルギー消費量が 約6-15% 増加します。






HIITは、従来のトレーニングプログラムよりも短時間で多くのエネルギーを消費し、様々な恩恵を提供します。楽しく、効果的なフィットネスライフを送るために、安全性に考慮してほしい点が5つあります。


1.あなたの限界を知る:HIITは激しく心拍数が上下します。あなた自身の限界、または閾値を知る事で、トレーニング限界がどこにあり、どこでマウンテンクライマーのスピードを緩めるべきか?休息をあえて短くせずに、しっかりとるか?を知る事ができます。安全性を確保できる最大心拍数は個人によって差がありますが、アメリカスポーツ医学会のHIITガイドラインによると、高強度インターバルは、通常、最大心拍数の80〜95%で5秒から8分間行う事を推奨しています。


アメリカ心臓協会による2018年の「心血管疾患患者のための高強度インターバルトレーニング - それは安全ですか?体系的なレビュー」では、心血管疾患患者に対する高強度インターバルトレーニング(HIIT)の安全性を評価する体系的レビューを行いました。レビューの結果は、該当するすべての試験で深刻な有害事象が報告されなかったため、HIITが心血管疾患患者にとって安全であることを示唆しています。しかし、著者らは、この集団のHIITの最適な強度、期間、頻度を決定するために、さらなる研究が必要であると指摘しています。


安全な最大心拍数に関しては、一般的に、心血管疾患を持つ個人は、運動中に最大心拍数の70〜85%を超えないことをお勧めします。最大心拍数は、個人の年齢を220から差し引くことで推定できます。たとえば、50歳の個人の推定最大心拍数は、毎分170拍(220 - 50 = 170)です。ただし、この計算は一般的な見積もりであり、誰にとっても正確ではない可能性があるため、医療従事者に相談することをお勧めします。


2.フィットネスと栄養に関するリテラシーを高める:多くのメリットがある、HIITですが、全ての人に対して万能なトレーニングとは言えない可能性があります。心臓病や、心臓の健康に懸念がある場合は、例えばフィットネスクラス、パーソナルセッション中に、あなたをもっと頑張るようにプッシュしないように、事前に懸念事項を必ずインストラクターやトレーナーに伝えてください。フィットネスや栄養に関する基礎的リテラシーを持つ事で、これらを無理にプッシュした際の結果や、自分の状態に合わせた安全で楽しく、効果的な方法を自分自身でコントロールできます。


3.水分補給をしましょう:HIITクラスのような休息時間が短いクラスで水分を補給するのは難しいかもしれません。喉がカラカラに乾いた時にはすでに脱水状態です。脱水は、脱水症状や筋痙攣を引き起こします。すぐに手の届く場所にウォーターボトルを置き、シンプルな形状のキャップを採用し、休息時間に必ず一口水を口に含みましょう。


4.怪我に注意してください:HIITはもしかすると、あなたが今まで取り組まなかったエクササイズを採用している可能性があります。それは、今まで使っていなかった新しい筋肉を刺激する素晴らしい機会につながりますが、例えば肩の痛みや腱炎がある場合には、インストラクターやトレーナーに伝えてください。自宅でやる時も、腰痛、股関節痛、肘、膝、肩、首の状態に注意してください。


5.適切なウェアとシューズで運動しましょう:マウンテンクライマーや、バーピー、ベアクロールなどは体にフィットしたウェアで行うようにしてください。また、シューズは足首が固定されないフィットネス用シューズを選択しましょう。


【まとめ】
ここまで読んでいただきありがとうございました!今回は、「Fit in 10:忙しい人々のための迅速かつ効果的な証拠に基づく筋肉成長トレーニング」というテーマの最初のステップを踏み出しました。簡単なまとめは以下になります。





今回は以上になります。第2回目は、筋肥大のサイエンス、筋肉の成長に最も影響を与える要因を掘り下げます。


【参考文献、データベース、ウェブサイト】
1. Feel the HIIT: The Basics of High-Intensity Interval Training
オーストラリア・フィットネス・研究所

2.ACSM:HigH-intensity interval training

3. Guidelines for the delivery and monitoring of high intensity interval training in clinical populations☆
Author links open overlay panel
Jenna L. Taylor a,David J. Holland ,Jemima G. Spathis c, Kassia S. Beetham ,Ulrik Wisløff ,Shelley E. Keating ,Jeff S. Coombes
science direct

4. Short-term sprint interval versus traditional endurance training: similar initial adaptations in human skeletal muscle and exercise performance
Martin J Gibala,Jonathan P Little,Martin van Essen,Geoffrey P Wilkin,Kirsten A Burgomaster,Adeel Safdar,Sandeep Raha,and Mark A Tarnopolsky
J Physiol. 2006 Sep 15; 575(Pt 3): 901–911. Published online 2006 Jul 6. doi: 10.1113/jphysiol.2006.112094
PMCID: PMC1995688PMID: 16825308














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