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素敵なクリエーターさん達の作品をお勧めしたいマガジン

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私の心が素直に動いた、他の方の素敵なお勧めしたい作品の掲載。 最近は、作者の方にきちんと許可を得て掲載してます。
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#現代詩

【詩】どうしようもなく螺旋の渦

これは静止した世界で起こる 何時でも側にいてくれる人なんていない あなたがどうなんて言葉は出てこない 孤独で 孤独で 孤独で でも孤独で死んでしまう事もない 只生きてるだけの屍になる 空中に浮かぶ霧のようになり 誰かの息になるなんてことはない それが世界中でいちばんの孤独だなんて いったい誰がわかるだろう すぐに見渡してみて 周りにある堤防が決壊しそうで 怖くなる 唇から出る黒いものは何? それは澱のようなもの 孤独という名の澱のようなもの

【詩】嫌い

嫌い という二文字は たったのこれぽっちで 人を 泣かせることが できる なんと 豪華な捨て台詞であることか なんと 痛々しい響きであることか それだけで 血にまみれる廃人が うようよしていることを あろうことか 当に放し飼いしている君は 知らぬまま 嫌い という二文字は たったのこれぽっちで 人を 死に追いやることが できる なんと 効果的な技であることか なんと 原始的な武器であることか それだけで 人生をさまよう人が 数多となくいることを まさかまさか

【詩】堤防にて

防波堤の突端で猫と一緒に 波の浮き沈みを くつろぎながら 眺めている 隣で魚を釣っているおじさん 小魚を釣ると 猫の前に置いて 美味しそうに 猫は魚を食べる 釣り人がくれる魚を のどかな空気の中で 猫は毛づくろいをして 昼寝をして 気長に待つ サンダルを持って ゆっくりと歩いていると 猫もまた 後ろを追いかけるように ゆっくりと歩く 都会の喧騒はそこにはない 汚れたとは言わない ズルくなったとも言わない ただ都会の生き方に 慣れてきただけ 無邪気だったあの頃 都会

第10篇『酔生夢詩』

定まらぬ焦点 回る世界 口の戸は開け放たれ 意識が宙を飛び回る 緩み切った赤ら顔 混迷する夢現 錯綜を続ける言葉の群衆 歪な形に並べて笑う 日々の多くは生き辛く 明日は嫌でもやってくる 逃げるつもりはない これは挑むための酩酊だ 臆するな 四行の最中で単語と踊れ 恐れるな 嗤っているのは路傍の石だ 恥じるな その言葉が己の全てだと 酔っぱらえ 今日を足掻く自分自身に さあ、格好良く酔おう 悲喜こもごもを生き抜くために 身の丈に合わぬ夢を見て 奮い立つための詩を詠むの

自分らしさ (詩)

愛が重いの? でも、これが私なの 重くない愛ってあるのかしら? 適当に愛することなんてできない 想いが、ぎゅっと詰まってるから 重いのよ 目に見えないものは 尊いの あなたを心配しても 眉をひそめないで 安否が気になるのは 私には当たり前のこと (xに投稿した詩に、加筆しました。詩のお題は 自分らしさでした)

【詩】銀河系

止めてしまえば楽なことを 僕はなぜ続けているんだろう 追い立てるのは 人ではない 時間でもなければ 考えてみれば 僕は追い立てられていない 誰からも 自分からも 追い立てられなければいけない世界 追い込まれる世界 追い込む世界 追いつめる世界 人工的に出来た円の中で 喜び悲しみ つついて笑い泣かせても 見てるだけ 僕はそれを黙って見ている 円の中を 重みを得た球は円の外に はじき出される 球の重さなんて人それぞれで きっとかまわない 円の外に出そうな男の子を

【詩】確かめる

どうぞ一人にして どうぞ一人にしないで ありがとう ケーキに恋と飾って 雨のように降る好きの数 嬉しいのに時々空虚になる 本当に欲しいものは違うけど 似ている そう 似ている 好きの押し売りは 嫌いじゃないけど 自分の本当の気持ちが わからなくなる そうしてるのか そうされてるのか 自分の気持ちさえ曖昧 そうかもしれないと 圧力でもない 強力な思いが迷わせる たくさんの好きが 愛と結びつかない 欠損した何かの 代わりのモノ 欲し

sketch 「bubble」

彼女は、年より随分と幼くみえ まだ子供のようだった 数か月前から 同僚の男の子と付き合っていた その頃から、顔を腫らすようになった 顔が腫れあがり もう誰かわからないほどだった 近頃は、ニタニタしながら 独りごとをいうようになっていた 何度か、声をかけてみたが 別れるという選択肢はないようだった これまで生きてきた 孤独の方がよっぽど辛かったんだろう

【詩】させない

こんな言葉を見るとは LINEの文字にキエタイの文字が浮かぶ 即答するほど簡単ではない 冗談の雰囲気はない 笑って済ませる問題じゃない 間のあいた返事 もう一度見る メッセージは消去 見なかったことにする 君の心は荒れ狂う涙じゃなく 何かを諦めた凪 一億キロメートルの距離 僕が出来ることは何だろう 途切れることないメッセージ 垂れ流してると言われても 続く返信 進む時間で疲労が 自分では取り除けないほど 張り付き 耐えられなくなり スマホを壁に投げつける

【詩】ないという希望

起こらなければと 広い大地に火の玉と プロペラのついた 火薬を持った目だけ持つ飛行物 キャタピラのついた 黒い四角の前方には棒がある 敵陣に向けお互いが 火球に飲み込まれていく 札束を掲げたものだけがもらえる 片道切符 遥か遠く海と山を越えた画面の向こう側の 天気予報のように聞く情報 あるはずのないことに慣れた日々 火種のないところに 火種を作るたった一人の指名手配犯 火種のあるところに ガソリンを降らす愚か これも海と山を越えた先の話 不可思議な火種に降らす