まんまるなみだ

2021.8.25~ 詩/音楽/写真

まんまるなみだ

2021.8.25~ 詩/音楽/写真

マガジン

最近の記事

詩「崩壊」

腹筋は崩壊しないし 涙腺も崩壊しない 感情が震えれば仰々しくなく笑い 縺れることなく泣く 建物は崩壊するかもしれないし 家族も崩壊するかもしれない でも世界は崩壊しないだろうし 不安は煽られないだろう お好み焼きをひっくり返すように 言葉をひっくり返してみればいい 崩壊しそうになったら 感情を解放してみればいい

    • 詩「根拠」

      根拠のない まかせて と 根拠のない 大丈夫さ に 根拠のない 自信を携え 根拠のない 初恋をする 根拠のない 涙を流して 根拠のない 朝を迎えた それでもさ もとになる 理由を問う ている時間 は、もった いないよね

      • 詩「目的」

        物干し竿にぶら下げられた烏よけのCDと、地面に倒れた猫避けのペットボトルが輝きを失い、役割を放棄している庭のある家の、引き出しにしまわれた写ルンですの中で現像を待つぼくの笑顔は引きつっていなかっただろうか。 もう飽きた。いつまでも死んでいたいわけじゃない。 すべてが満たされたお花畑から川にかかる橋をわたって、光ある生。やさしさを押し付けられて、押し花のようにならぬよう夏を真似て笑い合い、大切な人からいちどだけ美しい花束をもらって大号泣するんだ。

        • 詩「躊躇」

          泣くまい 泣き出す まい 躊躇に 躊躇を 重ねる 涙が一粒 サイダーの泡 に落ち 躊躇なく 泡が包み込み おしまい

        マガジン

        • なみだのある風景
          259本
        • モノクロスクエアな風景
          40本
        • 音楽を着がえる
          14本

        記事

          詩「加減」

          母の塩加減  おにぎりの 父の手加減 キャッチボールの 僕のいい加減  別れる理由になるくらいの 君のうつむき加減  涙が美しく落ちる角度の

          +4

          写真「オレンジ」

          写真「オレンジ」

          +3

          詩「いつかどこかで」

          いつ どこで 無くしたか わからない 恥じらい いつか どこかで 取り戻せたら いいね 恋も いつ どこで 無くしたか わからない 合鍵 いつか どこかで 取り戻せたら いいね 彼も いつ どこで 無くしたか わからない 悲しみ いつか どこかで 取り戻せたら いいね 涙も

          詩「いつかどこかで」

          詩「気配」

          気配がする  夏の ライラックが咲いている  色とりどりの 気配がする  涙の 雨が降る前のにおいのような  あなたの 気配がする  死の 懐かしい色やにおい  隣で静かに待つ

          詩「埋める」

          校庭と空がいつもより広い テスト最中に眺める窓の外 空白は埋めたくなるけれど 空欄は埋めたくならないね 君が泣き顔を見せるくらい の確率なんだけど、テスト を中止させるほどの大きさ の隕石が近所に落下して、 僕の退屈を埋めてほしいな

          詩「春の終わり、そびれる」

          寝そびれた 子供が 泣きそびれた 大人を 見つめている 春の終わりを 憂うかのような 眼差しで 聞きそびれた 告白と 言いそびれた 告白が 春の終わりに 鬩ぎ合い 夕刻

          詩「春の終わり、そびれる」

          詩「抱く抱きしめる」

          君を抱きしめられなくなって 散り際の桜の幹を抱きしめてみた まださみしかったから帰り道 陽を浴びた電柱を抱きしめた 広くなった部屋でぽつんと泣きたくなる 絶望を抱くことができてしまうから

          詩「抱く抱きしめる」

          写真「換気口と骨」

          写真「換気口と骨」

          詩「嘘つき」

          記憶は 嘘つきで 涙もまた 嘘つきだ 泣いてる わたしを 傍観してる わたし 背面跳びで バーを越えるとき 空を見る余裕のある わたし

          詩「虹の源」

          土砂降りの雨は森のにおいをむせるほど濃くし、モノトーンの空間をつくりだす ぼくは湖面のあたりで雨粒が激しく踊り狂っているすがたを静かに見ている やがて空が泣き止み、気温が上昇する 湖面から沸き立つように虹が弧を描き、それをパレットにして誰かがまわりに色を塗るように色彩が戻ってくる そんな虹の源は生前、虹だったころを忘れられない虹鱒であってほしいと願う

          詩「青い光のみ反射して」

          あなたの肉体が青い光のみ反射して夜桜の下、病人のように浮かぶ 触れたいものがなくなったから、もう肉体はいらないとか言わないでほしい傷ついたことすら忘れるくらい傷ついていたことはわかるよ でも、人間とか異性とか友人とか抜きに、肉体としてわたしに触れてほしい肉球のように愛おしい部分とか誰にも触れられたことのない部分など そして夏に向かって、いっしょに細胞を作り変えていこうよ あなたの涙は青い光のみ反射して、そのなかに春の痛みを全て閉じ込める

          詩「青い光のみ反射して」

          写真「ギャップ」

          写真「ギャップ」