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なみだのある風景

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「詩」の置き場です
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記事一覧

詩「いつかどこかで」

いつ どこで 無くしたか わからない 恥じらい いつか どこかで 取り戻せたら いいね 恋も い…

詩「気配」

気配がする  夏の ライラックが咲いている  色とりどりの 気配がする  涙の 雨が降る前の…

詩「埋める」

校庭と空がいつもより広い テスト最中に眺める窓の外 空白は埋めたくなるけれど 空欄は埋めた…

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詩「春の終わり、そびれる」

寝そびれた 子供が 泣きそびれた 大人を 見つめている 春の終わりを 憂うかのような 眼差しで…

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詩「抱く抱きしめる」

君を抱きしめられなくなって 散り際の桜の幹を抱きしめてみた まださみしかったから帰り道 陽…

10

詩「嘘つき」

記憶は 嘘つきで 涙もまた 嘘つきだ 泣いてる わたしを 傍観してる わたし 背面跳びで バー…

9

詩「虹の源」

土砂降りの雨は森のにおいをむせるほど濃くし、モノトーンの空間をつくりだす ぼくは湖面のあたりで雨粒が激しく踊り狂っているすがたを静かに見ている やがて空が泣き止み、気温が上昇する 湖面から沸き立つように虹が弧を描き、それをパレットにして誰かがまわりに色を塗るように色彩が戻ってくる そんな虹の源は生前、虹だったころを忘れられない虹鱒であってほしいと願う

詩「青い光のみ反射して」

あなたの肉体が青い光のみ反射して夜桜の下、病人のように浮かぶ 触れたいものがなくなったか…

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詩「美しい人」

美しい言葉遣いの終わりに嫌いじゃないと言われたら、終わりの見えている疑似恋愛に発展しそう…

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詩「子供のように」

ニルヴァーナをナーバナ、オアシスをオエイシスと訂正されつつ、次のレコードに針を落とす。 …

9

詩「恋を失う午後」

一口も口 つけて ない 珈琲の なかの 目と 目が合う 午後 頷いてる 合間に 零す 涙が 傍観…

10

詩「雨のなかに」

胸のなかに隠しておくのなら 雨のなかに隠しておいたほうがいい 子供と大人なんてたいして変…

7

詩「美学」

「泣いてやってきたこの世を去るときくらい笑えよ。」  「笑わせてやるから。  苦笑い、愛…

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詩「そびれる」

言いそびれた告白と 聞きそびれた返事が そびれのねじれのような 虚空をさまよっていた冬 エンドロールで 泣きそびれた映画のあと 街ですれ違う若者たちの スニーカーの色合いが 僕に春を告げる