ネガティブ感情の使いどころ
ポジティブになろう、という言葉が多く聞かれるのは、それだけネガティブ感情に苦しんでいる人が多いことの証左だと思います。
ポジティブになったほうがメリットが多いことは分かっているけれど、分かっているからといってなれるものでもない。
感じたくないと思っても感じてしまうのが感情です。ポジティブもネガティブも関係なく。
であれば、ネガティブな感情も有効活用してみる、のは如何でしょうか。
1.ネガティブ感情とは
主な種類としては
怒り
恐れ
不安
悲しみ
失望
羞恥心
罪悪感
などがあるでしょう。
こうした感情を「感じないようにする」ことが難しいのは誰でも知っています。
だから感情ではなくその感情を呼び覚ますような状況や行動を避けようとする。
結果として必要な行動をとることが出来ず、損をしたり目標が遠のいたり孤独が深まったりします。
そして更にネガティブ感情が強まる、という悪循環です。
しかし、ネガティブな感情とは、太古から受け継がれた「自分への危険信号」です。
大昔の人間の生活は常に命の危険と隣り合わせでした。
ストレスもへったくれもない、選択を間違えれば死んでしまうような状況です。
だからこそ、ちょっとした「アラート」を強く認識することが身の安全に役立った。
時が流れて現代になり、常に命の危険を感じ続ける生活をする人は減っていきました。
命の危険から身を守る方法や道具やルール、環境が激増したからです。
それでも、感情とそれに対する反応は生物として保有したままです。
ネガティブ感情本来の役目(命を守る)が、他の道具たちにとって替わられたため、ネガティブな反応だけが残されてしまったのでしょう。
2.ネガティブ感情を避ける理由
即座に命を落とすリスクは減ったというものの、ネガティブ感情が喚起される状況は、自分にとっての何かしらの脅威が関係しています。
何に対する脅威でしょうか。
多くは「未来」に対する不安要素としての脅威、ではないでしょうか。
未来とは不確定です。約束されたものではありません。
明日が予定通りくることを前提として、生活したり、趣味を楽しんだり、目標へ向けて努力したりできるのです。
前向き(ポジティブ)に活動するためには、未来への不安を感じていては動けません。
だから、ポジティブさを確保するために、ネガティブな感情を感じないようにする、感情を無視する・蓋をする、というのも理解出来ます。
活力を保持して前向きに生きていくため、なのです。
3.ネガティブ感情の使いどころ
とはいっても、あくまで未来は不確定です。
「~~になるだろう」と想定するものの、その通りにはいきません。
自分が想定に向かって努力しても、外部環境や要素によって変動します。
自分の想定だけで未来を固定させようとしても、どうしても「穴」が出来てしまうのです。
その「穴」を埋める役目を果たすのがネガティブ感情です。
例えば今の仕事に不満や問題が積み重なって、転職を決意したとします。
求人を探し、面接を受け、採用の連絡をもらいました。
あとは転職の意思を上司に伝えて手続きに入るだけです。
しかしここで「転職先でも同じ問題が起きたらどうしよう」と不安を感じ始めました。
この不安を、どう有効活用するのがいいと思いますか?
色んな反応があると思います。それぞれにメリットがあります。
大事なのは、ネガティブ感情を悪者扱いせず、耳を傾けることです。
4.セットになるのは「価値観」
①~④のどれか(またはもっと他の選択肢)を選ぶとき、どうやって選べばいいでしょうか。
出発点がネガティブ感情なので、選ぶのも楽しい作業ではありません。
どこか逃げ腰になって、ネガティブ感情と早く手を切りたいがために思い付きで選んでしまうことも少なくないと思います。
このとき、おすすめしたいのは「価値観」を基準に選ぶ、という方法です。
この価値観とは、「自分がどういう人間でありたいか」という価値観です。
新しく作ることもあるだろうし、今まで持ち続けてきたものがある人もいると思います。
いずれにしても、自分の行動の軸になるものです。
今回の事例では、「仕事」と「生活」のどちらの価値観で判断するのか、によって選択肢が変わってきます。
何か一つ正解がある、というわけではありません。
自分の価値観に沿って生きていく中で選択をするとき、ネガティブ感情は、その選択肢が本当に自分にとって利益があるものなのか、を、再考するための機会を与えてくれるのです。
いつ、どんなところで、どんなものからネガティブ感情が喚起されるのか、は、人それぞれです。
そしてそれに対してどう対処するのか、も、さまざまです。
だからこそ、たとえネガティブなものであったとしても、気づきを与えてくれるものは有効に使ったほうがお得です。
あくまでこちらが「使う」側です。
ネガティブ感情に「支配」されることの無いようにしましょう。
支配されないようにするためにも「価値観」は有効です。
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