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発達障がいの子どもの不登校(8)

発達障がいと不登校の根本的な問題

いつ頃から不登校という問題について、大人達が考えていくようになったかということをお話ししました。

この不登校の根本的な問題を考える時に、「学校に行かせるか、行かせないか」ということが、いつも大きな問題になります。

今日では、「無理に行かせない」というのが基本的な流れになっています。

一方で、それでいいのか、という議論は当然あるのです。

このことは、とても重要な問題なのです。

簡単な話ではありません。

少し、堅苦しくなりますが、こういう考え方もあるということをお話ししたいと思います。

以前、勤めていた高卒認定試験予備校兼フリースクールのようなところで、塾長先生がおっしゃていたことは、

「不登校するというのは、日本国のメインカルチャーの中からはみ出すことをしている。逸脱者だ。」

学校というのを「子ども達の社会」だとすると、そこから逸脱しているのですから、その見方もある意味では正しいと思います。

しかも、日本の国の社会が求める人物を作ることを求められるのが、「学校」であるとしたら、まさに、学校はメインカルチャーなのです。

しかも、このメインカルチャーである「学校」で身につけられることを、不登校をした逸脱者は最低限、身につけていかないと、メインカルチャーには出ていけない、やっていけないということになります。

それもある意味では事実です。

なぜなら、例えば、学力なしに、学校に戻ったところで何も学習的なことはわからないのです。

徹底的にメインカルチャーからはみ出して、サブカルチャーで生きていく、言い換えたら、日本の社会では生きていけないから、日本以外の社会で生きていく、ならメインカルチャーで身につけられることが、身についていなくても、問題はないのです。

ところが、メインカルチャーに戻らず、サブカルチャーのまま日本の社会で一旦、休憩をして、メインカルチャーに出ていく、戻ることがあります。

その時に所属するのが「学校外教育機関」としてのホームスクール、フリースクール、放課後等デイサービス、児童発達などです。

ここで学習塾は、教育機関とは言い難いので、議論はあるかもしれませんが、学校外教育機関からは省きます。

その休憩している間に、メインカルチャーで学ぶべきことをしっかりと身につけておかなければならないのですが、この学校外教育機関で身につけられることが、それぞれ限られているのです。

しかも、いろいろな意味で傷ついた子ども達も多くいるために、学校外教育機関には厳しい指導をしないことが大前提であり、ほとんどの場合がそうなのです。

ここが、実は、そんなところに行っても意味がない、という方がいらっしゃる原因です。

なぜなら、日本国のメインカルチャーとして、現実社会を考えると、そんな生やさしいものなのか!というご意見が当然あるからなのです。

特に平成不況から続く、実質賃金の50万円近い低価、先進国ばかりか発展途上国も含めても、かなり厳しい経済の0成長。

全く経済が成長もせず、他の先進国の全ての国の中でも最低の経済成長しかしていない状況で、なんとなく株価がいいから良さそうに見える景気ですが、国民の生活は、コロナ禍に加えて、コストが上がったことによる急激な物価の上昇で、これからもっと厳しくなってきます。

このような中で、不登校の子ども達に、良いかどうかは別として、「厳しい競争にさらされるのに、そんな生やさしいこと言っていてどうするんだ!」という方もいらっしゃるのです。

このことから見えてくるものは、不登校の子ども達を学校に行かせることは、学校が子どものメインカルチャーであり、そこで厳しい競争にさらされても生き残っていくことが、子ども達が現実社会で生き残っていくために必要である、ということです。

しかし、学校が現実社会に則しているかというと、疑問に思うところがあることは、多くの方が納得いくところではないかと思いますし、現実的ではないことも間違いないところなのです。

こう考えてくると、学校に行かせるか、行かせないかということには何の意味もなく、

「不登校の子どもにとって社会に出るために、何を学ぶことが必要か。」

ということを大人が真剣に考えることが必要であり、考えた結果、そのことが学べる場所を考え、環境を選んでいくということが必要なのではないかと思うのです。

特に発達障がいの子ども達にとっては、「どこで学ぶか」よりも「何を学ぶか、何を身につける必要があるか」ということをしっかりと考えていくことが求められるのではないでしょうか。



谷 圭祐
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