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学校は何のためにあるのか?(2)

責任の所在

いきなりですが、円の面積の公式を言えますか?

小学生バージョン、中学生バージョンくらいは言えるといいなと思います。

小学生バージョンだと、半径✖️半径✖️3.14、中学生バージョンだと、πrの2乗、とかが頭に出てくる方も多いと思います。

それは、小学校、中学校で覚えられるまで練習をしてきたから、出てくるのです。

話は変わるのですが、昔、公立高校で教えていたことがあります。

理科の授業だったのですが、高1の1学期の最初に簡単なテストをしたのです。

円の面積を書け、という問題を出しておいたたのですが、πrの2乗とかけた子どもは、40人学級5クラスで0でした。誰もいなかったのです。

小学生バージョンの半径✖️半径✖️3.14をかけた子どもが各クラス5人程度。

公立高校ですよ!

確かに偏差値で言えば、その学区の一番下の普通科高校ではありました。

それでもです。

よく分数ができない大学生がいる、と話題になることがありますが、高校生で円の面積がわからない子どもも本当にいるのです。

私は唖然として、この子ども達に何を教えていけばいいのだろうと、正直に悩みました。

少なくとも、この子ども達に、高校の物理や化学の難しい公式を教えることは、現実的に不可能だと感じたのです。

それと同時にこの子ども達は、なぜ、こうなったのか、疑問でした。

そこで、ヤンチャしていたり、明らかに勉強していないと思われる子どもではなく、真面目そうな子ども達のご家族にお話をお聞きしました。

それぞれ、家庭でなんらかのお困りごとを抱えていました。

これでは、勉強どころではないなと思うところもありました。

それにしても、学校は何をしていたのかと疑問になり、彼らの出身中学に問い合わせをしてみたのです。

これは、中学校にしたら、かなり迷惑な話だったのかもしれません。

それでも、中学時代の様子が分かれば、彼らが今のようになった理由が少しでもわかると思ったのです。

そうすると、彼らの中学時代の数学の先生が、お話をしてもいいとおっしゃって、お話をお聞きすることができました。

お聞きしてみると、とにかく、問題を起こす生徒の対応に追われていて、真面目そうな子ども達が、勉強ができていないことがわかっていても、全員にまでは手が回っていないとおっしゃったのです。

何とかしないといけないことではあるのでしょうが、学校現場としては、どうにもならないことがあるのも理解できるので、そう言われると、そうなんだと納得するしかなかったのです。

ところが、この数学の先生がおっしゃったことで引っかかったことがありました。

円の面積の話をしたところ、中学校に来た時点で円の面積がわからない子どもと、中学受験をしたような良くできる子どもとの差が大きく、どちらも中学1年生の時点で対応に困ることがあるとおっしゃったのです。

ちょっと待てと。

中学に来た時点で、小学校の内容の理解が不十分なことがあれば、高校で私が感じたことと同じことを、中学校の先生も感じていることになります。

そのことを申し上げると、「そうなんです!この子たちに中学校の数学を教えることは、かなり難しいと感じて頭を抱えていましたし、今の目の前の子ども達にも、全く同じ状態があるのです。」とおっしゃったのです。

それは当然なのです。

小学校の積み残しを中学校で処理しきれず、さらに高校に先送りしてきたのですが、子ども達はわからないことを積み重ねてきただけだったのです。

そこで、こうなったら小学校にもお聞きしてみたいと思い、この中学校に通うことになる、校区内の小学校の先生に連絡をとってみたのです。

私が教えていた、真面目な子ども数人の元の担任の先生がいないかと思い、お聞きしたのですが、ほとんどが転勤されていて、お一人の先生だけがいらっしゃったので、お聞きしてみたのです。

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