見出し画像

自立するための一歩(中学年)

2021.7.1【66限目】

信じてじっくり待つ

私は、中学年を担任することが多い時期がありました。中学年は面白い学年だと思います。それぞれの学年で面白さはありますが、1年生・2年生と学校生活にも慣れ、いよいよ自立するための 一歩を踏み出すのが3年生だと思います。

子どもたちは一人ひとり生まれ持った性質に加え、育った環境、育てられ方で性格・学習能力・運動能力も違います。このころになると自我に目覚め、自ら行動する中で、仲間に出会い、一緒に物事に関わりながら活動し、喜んだり、辛い経験をしたり、助け合ったり、力を合わせたりすることで、自分自身を発見していきます。

教師はその子の良さを知り、良い所を褒め自信をもたせて、やる気を出せるように心がけます。ただし、まだ一歩を踏み出せずにいる子たちにどうしても子どもが動きだす前に指導してしまう事が多いです。

手や口を出すのは簡単ですが、自立するために大丈夫、大丈夫自信を持って頑張れという気持ちで、待ってみます。手を出さないで、その子が立ち上がり、一歩が踏み出すことが出来ると信じてじっくりと待つことが大切です。


判断力を育てる

小学校の中学年の頃は、ギャングエイジと言われるほどわんぱくざかりです。(【15限目】ギャングエイジの始まり(3年生)を参照)

自分の考えで行動する事が多く、失敗も多いですが、その失敗を経験することで、この方法がダメだったら次はどうしようという事を考える。それを繰り返すことで、物事を正しく認識し、考える力が付き、判断力が育っていきます。

子どもたちは、時にはケンカもします。私はそんな時、横で見ていることが多いです。周りに寄ってきた子たちは、「先生。何で止めへんの?」という子や、どちらかの言い分に味方する子やケンカを止めようとする子も出てきます。ケンカがおさまって、心が落ち着いたら話を聞きます。

中学年になると、相手の気持ちになって考えることが出来ます。自分の事をゆっくりと振り返ることも出来ます。

ケンカの原因があいての体に傷をつけたときは、その危ない行動に注意をします。心に傷付けた言動があれば相手の気持ちになることを教えます。(叱る時もあります。)

【7限目】 授業で大切にしたいことの中で、子どもたちへの接し方について書きました。

子どもたちにあまり普段叱りませんが、先生がオニになる時がありますと、学年の初めに子どもたちに話しています。

① 出来るのにやらなかった時。
② 人の体や心をキズ付けた時。
③ 命にかかわる事をした時。

そんな時は思いっきり叱りますと話しています。

ケンカは、自己表現がいっぱいできる場だと思っています。教師が子どもたちの言い分をよく聞いておくことも大切です。


体と体を触れ合って遊ぶSケン

スポーツ(サッカー・ラグビー・バレーボール・野球 等)観戦をしている時、そのゲームの中で、一瞬一瞬の判断がゲームの流れを変える場面が多くあります。

その一瞬で、どう動いて、次にどうつないでいくかの判断が大切です。それが身に着くためには、たくさんの失敗と練習があります。

子どもたちにも遊びの中で、体と体がぶつかり合うSケンという遊びを子どもたちに紹介してよく遊びました。Sケンはかなり激しい遊びなので、保護者に前もって説明します。

《学級通信の例》

Sケンを始めました。Sケンをご存じのおとうさんお母さんもいらっしゃるかもしれませんが、宝ふみゲームで相手の陣地の宝を踏んだら勝ちです。

相手の宝を踏むまでに、敵を倒したり、ひっぱったりとかなり激しい動きをします。陣地と島だけは両足を着いて移動しますが、その他の場所は、ケンケンで移動します。

ケンケンの場所で両足を着くか、体のどこかが地面に着いたらアウトになり、コートの外に出ます。宝を踏んだチームが勝ちです。1回戦が終ったら、また外に出ていた子も全員が陣地に入って最初から始めます。 

かなり激しい運動量です。服が伸びたり、擦り傷を作って帰ることもありますが、広い心で受け止めてください。

画像1


Sケンは楽しい

回数を重ねていくうちに子どもたちは大好きな遊びになってきます。最初はこかされて、泣いている子もいましたが、次のゲームに参加したいので涙を拭いてコートに入っていきます。

だんだんチームワークも出来て、守る人、攻める人、指示を出す人、それぞれの得意なことで活躍が出来るようになります。作戦も出てきます。敵の陣地に切り込んでいく勇気と判断力、陣地を守るため頑張る子、自分の持ち場を守る子、頑張った場面で褒めていきます。宝を踏むのは格別の喜びです。

ジャッジは私がします。途中で作戦タイムの時間をとります。子どもたちはそれぞれの意見で盛り上がっています。だんだん逞しくなっていくのを見るのも嬉しいです。チームワークや判断力を育てるのに良いゲームだと思います。

Sケンはどの学年を担任しても、楽しい遊びとして、実践していました。高学年になると、自分達でコートを作り、ジャッジが出来るようになります。

ただ、今はコロナ禍で、体と体がぶつかるようなSケンはできませんが、中学年の自立するための一歩を踏み出す時期に、人と交わって運動したり、遊んだりする機会が失われている事は、とても残念です。

早く体と体がぶつかり合うような運動や遊びがのびのびできるようになりますように。


【編集担当より】
Sケンというのは、昔やったのでしょうか。初めて見た気がします。いまやってもレクリエーションとして面白いかもしれませんね。

大人になってからやる遊びやゲームは、童心に帰ることができ、また純粋にゲーム性がシンプルで、意外と面白かったりします。最近では、ボードゲームが流行っていたり、脱出ゲームなども同じ文脈でしょうか。

サッカーチームの合宿をしていた時に、宿泊先で温泉卓球にムダに熱くなったこともありました。また逃走中と脱出ゲームを併せたような企画を友人が催した時にも、公園を走り回った思い出があります。

やるからには、本気で遊ぶ。仕事を全力ですることと併せて、人生において大事なことだと思っています。早く身体やアタマを駆使して、いろんなところで遊びまわりたいものです。

この記事が参加している募集

オープン学級通信

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?