マガジンのカバー画像

廬山シリーズ

6
運営しているクリエイター

記事一覧

長月朔日ーー『題西林壁』蘇軾

長月朔日ーー『題西林壁』蘇軾

長月(9月)スタート! 朔日参りに行ってきました。

蒸し暑さは残っていますが、だんだん日が短くなってきていることで、秋の気配を感じます。

さて、今日は、7月の漢詩講座で取り上げた蘇軾の詩をご紹介します。

『題西林壁』は特に夏の廬山をテーマにしている訳ではありませんが、廬山を詠んだ詩として有名な漢詩です。

『題西林壁』 Tí Xīlín bì  

  蘇軾  Sū Shì

もっとみる
【新訳再掲】廬山より暑中お見舞いーー李白『望廬山瀑布』

【新訳再掲】廬山より暑中お見舞いーー李白『望廬山瀑布』

今回の漢詩講座開講にあたり、【桂花私訳】を手直ししてみました。

*******

あっという間に梅雨が明け、今は戻り梅雨のようなお天気になっています。皆さま、いかがお過ごしでしょうか?

それでは、例年より少し早めの暑中見舞いを!

  望廬山瀑布   Wàng Lúshān pùbù    

     李白  Lǐ Bái

日照香炉生紫煙   Rìzhào xiānglú shēng zǐ

もっとみる
廬山シリーズ④白居易『香炉峰下・・・』と『枕草子』

廬山シリーズ④白居易『香炉峰下・・・』と『枕草子』

12月30日、年の瀬もいよいよ押し詰まりましたね。

12月の漢詩講座で取り上げました白居易の

『香炉峰下、新卜山居、草堂初成、偶題東壁』

は、まさに廬山の麓で詠まれた漢詩ですので、「廬山シリーズ④」として、再度アップさせていただきます。(写真はイメージです。)

エリート官僚白居易に訪れた人生の転機の一つが、この廬山の麓への左遷でした。

また、白居易の漢詩は平安時代の日本文学に大きな影響を

もっとみる
廬山シリーズ③陶淵明「飲酒」

廬山シリーズ③陶淵明「飲酒」

前回の「廬山シリーズ②」からなんと4ヶ月も経ってしまいました。何とか2021年のうちに約束(!?)を果たさなくては…と思い、暮れも押し詰まった今日ですが、陶淵明の「飲酒」をご紹介します。

陶淵明については、「廬山シリーズ②」をご参照ください。

  飲酒Yǐnjiǔ     
    陶淵明 Táo Yuānmíng
結廬在人境     Jié lú zài rén jìng          

もっとみる
廬山シリーズ②ーー陶淵明のふるさと「帰去来辞」

廬山シリーズ②ーー陶淵明のふるさと「帰去来辞」

廬山シリーズ第二弾です。

陶淵明のふるさととして知られる廬山、その陶淵明が生まれたのは、六朝時代の東晋、365年のことでした。

陶淵明(陶潜ーー淵明は字)は、廬山の麓、柴桑(さいそう)という所に生まれ、29歳の頃から何度か役人生活を経験しましたが、長続きせず、41歳のときにとうとう役人を辞めてふるさとに帰ってきました。

「帰去来辞」は、この時期に作られたものです。

長い文章ですので、冒頭部

もっとみる
廬山シリーズ①ーー廬山ってどんな山?

廬山シリーズ①ーー廬山ってどんな山?

雨続きの毎日、いかがお過ごしでしょうか?

ところで、「廬山」という山をご存じでしょうか? 聞いたことはあるけれど・・・という方が多いのではないかと思います。

漢詩にもよく詠まれていますし、中国現代史にも登場する地名です。

私は、学生時代に一度だけ訪れたことがありますが、当時は何の予備知識も持っていなかったため、本当にもったいないことをしました。

私自身の頭の中でも「廬山」に関する知識はバラ

もっとみる