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社会復帰①

ここにある統計があります。

令和元年における刑法犯の再犯率は『48.8%』だそうです。
一度検挙された人の約半分は再び検挙されるという驚きの結果が毎年発表されております。

逮捕され、起訴されると、刑事被告人となり裁判にかけられます。
裁判が始まれば有罪か無罪か、そのどちらかです。

有罪ならどれほどの量刑がふさわしいかが法に基づいて決定され、実刑なら刑務所に収監されます。事件の大小を問わず流れは一緒です。

起訴されれば犯人でなくとも無罪になる可能性はたったの0.1%。
無実でもほぼ確実に有罪になります。それがこの国の現実です。

どちらにしても日本の司法制度下であれば、判決が下されると「一件落着」という形で落ち着きます。その後のことは誰も関知しません。

刑期が満了しようと世間の関心が薄れていようと、被告人だった人の人生は困難が続きます。それは無実なのに罪を着せられた人も同じです。

判決にしたがって刑務所で(執行猶予付き判決の場合は社会生活を続けながら)一定期間過ごした被告人は罪を滅したことになり、社会に戻れるというのが日本における司法のルールです。
建前は「反省もしたし、そこからまた人生をやり直すことができる……」ことになっていますが、現実は必ずしもそうではありません。

刑期満了した者が家族や友人に温かく迎えられ、順調に仕事を見つけられる人ばかりではないんです。

その気があっても仕事がない。助けてくれる人もいない。罪を滅ぼしたはずなのに、元犯罪者のレッテルがいつまでも消えない。
社会復帰どころか、たちまち追い詰められ、また犯罪を犯して刑務所に逆戻りする元受刑者がたくさんいるのです。

2人に1人が立ち直りに失敗している。それが現実なのです。
いくらなんでも多すぎだと思いませんか。
前科者の復帰を許そうとしない社会の空気が、新たな犯罪を生む一因となっていることは明白です。

リアルな話を一つしますね。

2年間刑務所にいた人が再就職しようと、ある会社に応募しました。
前職の退職日から間が開いていると、採用担当者は必ずその理由を聞いてきます。普通の人でしたら収入が途絶えると生きていけませんので、ここまで間が開くと何かを疑います。離職期間が長いと言うだけでマイナスなのです。これは、どこの会社でも一緒です。
また、家を借りるにしても、普通は勤め先を聞かれます。収入のない人が家を借りることも相当なハードルです。
そして結局は路頭に迷い、再び犯罪を犯してしまう・・・ということになるのです。

裁判を傍聴していると、裁判官が
「刑務所でよく反省し、二度と事件を起こさないようにしてください」
と言う説論をよく耳にします。

これが、理想と現実のギャップなんです。
そんなことを言われても、無理な人には無理なんです。
身近な人でサポートできる人がいなければ、公務員で働いてもらうなど、国でサポートしても良いのではないでしょうか。

犯罪者にそんな考えは生ぬるいと思う人もいるかと思います。
でも、こうして受刑者の社会復帰をサポートしていかないと犯罪は減らないし、巡り巡って自分がその犯罪被害者になる可能性さえもあるんです。

よく、刑務所に戻りたいから再び犯罪を犯したという話を耳にします。
2度犯罪を起こした人なら「どうせ無理」と思って、すぐ犯罪を犯します。

私の弁護士先生も辛い経験をされております。

ご友人が無実の罪で逮捕され、取り調べ中にあまりの辛さでやってもいないことをやったと自白したそうです。結果は当然有罪。
社会に戻っても社会は受け入れてくれず、結局そのご友人は自害されたそうです。

その話を聞き、私も涙しました。
これが前科がついてしまった人の現実なのです。それは犯罪を犯しても犯していなくても有罪判決が出た以上は結果は一緒です。

たとえ犯罪を犯しても、罪を償えば、チャンスを掴む選択肢は多ければ多いほど犯罪の減少につながるのではないのでしょうか。

犯罪を犯したとしてもきちんと罪を償うことで、人生をやり直す権利はあるべきだと思いますし、手を差し伸べることでゆくゆくは社会の安全に繋がっていくのだと思います。

そして、濡れ衣を着せらていると思われる者に対しても、このような現実があるのですから「推定有罪」ではなく「疑わしきは罰せず」の原理原則を裁判所には貫き通してほしいと切に願います。

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