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人生いろは 『た』 建て前、他人事にしない人生が素敵。

『本音と建て前』は日本社会ではなくてはならないものです。 『本音』は自分の中の本当の気持ちで、『建て前』は人とのコミュニケーションの中で相手の立場や気持ちを考え、不快にさせないために使う原則や基本となる方針、表向きの意見です。『建て前』は人間関係をスムーズにして、角が立たないよう、対立を避け、穏便に物事を進めるために使われます。
 
仕事場や社会活動ではなくてはならない『建て前』ですが、本当に普段の人生で必要なんでしょうか。 時と場合によると思いますが、人生はきれい事では済まない事が多いです。 建て前が中心になって自分の本音がどんどん押しつぶされてしまう事があります。 または、建て前が当たり前になって、それを本音と勘違い、自分の心が迷子になってしまうことも。
 
だんだん物事を斜に構えて、すべて『他人事』にしてしまう。 『他人事』は、本来『ひとごと』が正しい読み方らしいですが、ここではわかりやすく『自分』と自分の外の意味で『他人』をつかいます。
 
全てきれい事ですまして、角が立たないように、自分が傷つかないように、対岸の火事、他人事に考える。 本当に外の人からいい人だと思われたいから。 でも、それって、本当の自分ですか。
 
建て前中心で物事を考えていると、自分の心の奥の本当の気持ちではないので、何でも他人事にしてしまって自分がなくなる。 いつも会話を交わしている人なら、行間を読んでくれて分かってもらえます。でも、例えば、義理の両親、兄弟など、自分の周りには本音を出すのが難しい人がいます。 当たり障りのない、建て前のお付き合いをしていると、そのうちだんだん疎遠になってますます距離ができてしまう。 最後には、他人だからどうでもいいやと言う事になるけれど、やっぱりそうはいかない状況もでてきます。
 
日本には「自分の本音を秘め、相手の気持ちを大切にする」ことをよしとし、同時に「言葉や行動の裏側に隠された本音を読み取って行動する」ことを尊いとする独自の文化があります。 大なり小なりどこの国の人でも同じですが、日本の人はそれを一番大切な事だと教えられていたんですよね。
 
「本音」と「建前」を使い分ける最大の理由は、相手のプライドを傷つけないためです。いくら正しいことであったとしても、そのまま相手に投げつけると、相手のプライドを傷つけてしまうことがあります。そうならない方がいいと思いますが、それを避けるために距離を置いてしまうと、何にも育たないことになるんではないでしょうか。 それに、どこまで自分を抑えられるかの限界もあります。
 
誰もが大切にされ、信頼されたいという気持ちを持っているものです。まずはその気持ちに寄り添い、それから自分の思いを伝えれば、相手も自分の話に耳を傾けてくれることが増えていくでしょう。 「建前」は「人間関係をスムーズにする潤滑油のようなもの」だと理解し、心地よい人間関係のためにある、必要悪です。
 
自分の心を人に押しつけるんではなく、行間を読んでもらえる環境が理想的です。 でも、いつもそれを人にそれを求めるのは難しいし、 ある意味で自分勝手だと思います。ですから、周りの人のことを他人事にしないで、自分の本音を言えるような関係を作ることが大事なんじゃないでしょうか。本音を出すと、ある一瞬、対立することもあると思います。 それは、人生の一瞬、修復できることだと思うんです。 対立しないのが理想です、でも、対立を怖がっていつも穏便に、自分を殺して建て前中心で生きていくのではなく、自分に正直に、でも人間関係が密な人生が素敵だと思います。

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