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すぐ、やってみる。世界に通じるモノをつくるために必要なこと-都農ワイン 小畑暁さん-

新しいモノをつくる。新しいコトを起こす。
シンプルだけど、地方のまちづくりで一番必要なことだと思ってます。

毎月1回、ぼくらが経営するHOSTEL ALAをフル活用して、新しいコトを起こすためのヒントを、いろんな地域のいろんな職種の人たちと見つけるALAガーデン4回目。

ゲストは、ぼくが2020年に都農町に移住したときからリスペクトし続けている都農ワイン前社長で醸造家の小畑暁さん。

現社長の赤尾誠二さんと、高温多湿でワイン不適の地といわれた宮崎県都農町で九州最大のワイナリーへ「バカぢからで突破」、そして「バカだけでは経営はできない」緻密な計算や地道な現場改善力。

2時間ではおさまらない小畑さんの28年の奮闘記から、5つのエピソード3つのメッセージを紹介します。

小畑さんのプロフィールは

九州宮崎の1万人のまち、都農町発、世界へ

もちろん国内でも!

年間22万本生産する九州最大のワイナリー、都農ワインの概要はこちらで。

いつ聞いても面白くて勉強になる小畑さんの話。一度、体系的に、ワインに限らず新しいコトを起こしたい人が聞いても参考になるような対話の場をつくりたいなと思ってて、5年越しでようやく実現できました。

ぼくなりに、5つの視点からインタビューをはじめました。

1.ビジョン

世界に通じるワインをつくる

1996年、都農町にワイン醸造家として招かれた小畑さんが町長とはじめての面談で言ったこと

『世界に通じるワインをつくる』

1万人の過疎地のワイナリー、なんでここまで言い切れたんですか?

いい加減なやつはすぐ世界とか言うんだよ 笑
でも本気でした。
ぼくみたいなバカなやつが最初の壁を壊さないと、突き抜けられなかったんじゃないか。
ワインは世界商品なんです。ここが普通の商品と違うところ。
調べようと思ったら海外の人は都農ワインを調べられるんです。
当時も。見てる人は見てるという意識がありました。

小畑暁さん

地域資源というと、地域をフォーカスして、地域の良さを引き出すことに終始しがちですよね。
小畑さん自身が、青年海外協力隊からキャリアをはじめたから世界に目が向けられたんですか?

ボリビアやブラジルに7年いた経験は大きかったかな。
ワインの世界地図、「ワールドアトラスオブワイン」には、都農町が宮崎より大きく出てるんです。
以前、都農町の小学生たちにそのことを紹介したんです。
住んでることに誇りをもってもらいたい。

2.商品

いいブドウがいいワインをつくる

小畑さんに、「都農ワイン」はなんで美味しいんですか?って聞くと、いつも都農町のブドウがおいしいからだよとしか答えないですよね。。?

当たり前のこと。
いいブドウからしかいいワインはできない。
正確には、できるかもしれない。必ずしもいいワインになるわけではない。

はじめたてのころ、ブドウ農家さんと取っ組み合いの喧嘩してたとか伝説がありますが 笑、なんで喧嘩したんですか?

ブドウ農家にしてみれば、売れないブドウでいい、と考えていたんでしょうね。ぶつかりあいました。
彼らはワインの原料用のブドウをつくってるわけじゃない、生食用のブドウをつくっていることに誇りをもっています。
一方、ぼくは、ワインのいいブドウがほしい、どうでもいいブドウでワインはつくれない、そんな誇りと誇りのぶつかり合い。
でもお互いの誇りを理解しあえてからは、とても仲良くなりました。

小畑暁さん

役場や議会で怒って椅子蹴って帰ってきた伝説もありますが 笑。

一番頭にきたのは、ブドウが売れるんなら、町外のブドウもどんどん仕入れてつくるべきだ、と言われたことかな 笑
都農のブドウでつくるから、都農ワインなんだと。

小畑暁さん

3.設備

最先端の設備に先行投資する

都農ワインの現場をはじめて見せてもらった時から、1万人のまちのワイナリーにしては、素人目にもすごい機械や設備がいっぱい。なんでこんなに投資するんですか?

田舎だから、情報を得られないじゃなく、得るように努力すべき。
最先端の技術はどういうものか常に意識している。
毎月、ブドウ栽培と醸造、ワインンビジネスの3つが掲載されているワイン雑誌がアメリカから送られてきます。
ワインは装置産業。タンクがあって、搾汁機があって、量を増やそうとしたら畑もタンクも増やさなければいけない。
ずっと赤尾さん(現社長)と2人でやっていたので、少人数でいいワインがつくれるよう、絶対にいい機械がほしかった。

小畑暁さん

本音?笑

機械は人を裏切らない(爆笑)

小畑暁さん

4.資金

本当のクリエイティビティは収支をつくる

都農ワインのすごいところは、年間22万本売りながら、きちんと黒字化して利益を出しているところ。そのコツはなんですか?

すべて、積み上げで計算してます。
収支予測するときは、ブドウを仕入れてどれだけできて、どれだけ資産に残るか細かく、資材の経費などエクセルで20枚ぐらいの表もつくってる

前職(九州コカコーラボトリング)で、関連会社でブラジル勤務のとき、お金がなく、常に部門別の収支をつくらされてた経験がいきてるのかな。

技術屋って、以外と経理と仲良くなるんですよね。
頭の構造が似てるのかな。
経理に相談したら、仮の損益計算書をつくったほうがいい。
架空でもいいから全体像の損益を理解したほうがいいと。
小さなビジネスだけに、損益計算書はすごく大事です。

小畑暁さん

5.人材

すべてをさらけ出す

都農ワインには創業時から30年近く一緒にやってる社員が4人いて、人がついてくる秘訣はなんですか?

社員にすべてをさらけ出すこと。

社長や工場長、指示する役割、される役割をはずせばすべて平等だと思ってます。フラットな付き合い方が好き。

だいたい、どこの組織行っても、社長とツーツーで情報を隠蔽する役員とかいますよね。ぼくはバカだから知ってることは全部しゃべっちゃう。

コミュニケーションの手段はけっこうベタ。冗談も多いですね。
オーストラリアでいまでも言われる一番受けた話は、自己紹介で
『I am a Winemaker and Troublemaker』って言ったときかな 笑

6.3つのメッセージ

北海道出身同士。3,000人の町、上川町から来てくれた絹張蝦夷丸さんと。似てる 笑

①すぐ、やってみる

すぐやってダメだったら、すぐやめればいい。
理屈はあとからつければいい。
大学時代の実験科学からきてる習慣かな。
実験してから理屈を考える。
仮説を立てて直感で判断する。
いままで生きてきた訓練の上で直感があるから、必ず理屈はある。
なにやりたい?と聞かれたら、迷わず直感を言います。後ろから理屈がついてくると信じてるので。

小畑暁さん

②常識を疑え

製造業は標準化やマニュアルをつくることが大事。
ですが、標準化やマニュアルを壊していくこともしなきゃいけない。
よく赤尾さん(現社長)と、「去年と同じことしかやってねーな、今年新しいことやりてーな」って言ってました。
常識は自分たちが怠惰に過ごしているんじゃないかと思わされることもあるんです。
会社の『チャレンジを忘れない』というスローガンにつながってる
あと権威も嫌い 笑。

小畑暁さん

③設備投資は現場主導で

だいたい会社で設備を導入する責任者や部署は社長にいい顔したいので「安くあげましたよ」とか言ってろくでもない機械を入れたりする。
値切って値切って導入したら、その機械が使えなくて修理、改善の追加工事してたら最初買ったより高くなったり。
下っ端でこの機械使えないって経験してたので、自分が責任者になったらいい設備入れたいって思ってました。
現場が無視されてる設備投資が世の中多いんじゃないかな。
現場の人間はもっとプライドもつべき。

小畑暁さん

あっという間の2時間でしたが、「すぐ、やってみる」が一番印象的であり、日ごろの自分の仕事にも重なるところが多かったです。

直感で判断して理屈がついてくるように、日ごろから世界を意識し、過疎地を言い訳にせず、最先端の情報収集につとめる。

自分だけでなく、会社のメンバーとも習慣化していこうと思えました。

当日、参加いただいたグラフィックレコーダーの小川綾さんが、素敵なまとめをしてくださいました。ありがとうございます!!

北海道の3,000人の町、上川町からALAガーデンのためだけに来てくださった絹張蝦夷丸さん、小畑さんの話も都農ワインに大満足してくださいました。

ありがとうございました!!!

都農ワイナリーにて


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