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抽象的な「まちづくり」、情熱的に語れる持論をもつための思考フレーム「総各主客」

今週から、ぼくらの会社に大学生インターン2名が加わりました。
これで20代社員2名と大学生3名に。

なぜはるばる都農町に?
共通するのは「まちづくり」への興味。
地方のまちづくり会社としてはとてもありがたいこと。

とはいえ、「まちづくり」でどんなことしたいの?
と聞くと
「居場所づくり?」
「地域の人の交流??」
「空き家の活用???」
と、抽象度が高くなり、ぼんやりしがち。

なんとなく興味あってやってみたいけど、じゃあ明日から何すればいいか?がむずかしい「まちづくり」

そんなことを背景に、週一ではじめた「まちづくりゼミナール」

和室に車座のオールドスタイルで、夜ご飯食べながら2時間。

正解のない「まちづくり」について問いを立てて、みんなでフラットに話し合う探究タイム。

ただフワフワと気持ちよく話してても前進は少ないので、参考に出したのが、自分が普段、考えるときのプロセスを、わりと無理やり、4象限に分けて整理をした、まちづくりの思考フレーム。

「まちづくり」というと思考停止になってしまうので、自分なりにはいつも総論と各論にわけて考えてます。

総論は、長期総合計画やグランドデザイン、総合政策の類い。ぼくは「大きなまちづくり」とも表現してます。

各論は、農産品の6次化とか、ゲストハウスつくるとか、商店街でイベントするとかの類い。「小さなまちづくり」とも表現している。

自分がやってきた仕事で言うと、都農町のグランドデザインは、未来の理想を総合的に楽しく描くことに留意しました。

一方で、絵に描いた餅で終わらせないように、目先の課題を解決するアクション100を同時に提案しました。

総論と各論を一緒に考える一つの事例として。

もう一つの切り口が、主観と客観です。

ぼくなりの表現で言い換えると
客観must(やるべきこと)
主観will(やりたい)

言うまでもなく、まちづくりにはどちらも必要です。

must(やるべきこと)は、データやファクトで示されているように、誰がどう見てもやらなきゃいけないこと。

人口減少や少子高齢化、若者流出などの類です。

will(やりたいこと)は、まちのためになる、役に立つ前提で、自分がやりたいこと自分の事業としてチャレンジしたいこと。

特に、ぼくらのような株式会社は、程度の差はあれ、利益を上げ続けなければ存続できないため、willが必要です。

総論⇄各論主観⇄客観に分類して、それぞれの組み合わせによる4領域で考える習慣をつけると、論点がバラつかず、チームで話をしていても整理がつきやすいのではないかなと思っています。

1.総論×客観

この領域で考える際に必要なのは「俯瞰的に構造を捉える」
キーワードはdata|fact|logic|structure

人口減少や年代区分などの人口統計、税収や基金残高などの財政データ、自治体の歴史や文化、風土など、わかりやすい事例。

町長だったら、どう考えるかな?」と首長目線で想像する習慣をつけるとよいかもしれません。

ここはおさえておくべき内容だけど、ここだけ主張しても、一般論の域は超えないため、机上の空論で片付けられる可能性もあります。

【参考】

①まちづくりは、場づくり

まず、町の総論をデータやファクトを見ながら客観的に考えます。

人口減少が著しく税収が減収していく町にとって、観光客や関係人口と言われる町外の人たちの積極的な誘致が必要。そのためには、町外の人を誘致し、地元の人たちも交流できる場が必要

総論を『まちづくりは、場づくり』として各論を考えます。

2.各論×客観

この領域で考える際に必要なのは「具体策を考え現場を知る
キーワードはresearch|must|can

人口減少を総論とするなら、高齢化対策か少子化対策かなど対象年代ごとへの落とし込みや省庁・役場部課に代表されるカテゴリーごとの課題がわかりやすい事例

目線としては、課長や係長。
具体的な打ち手として、現場があるものとも言えます。

一般的には、この領域からはじまる仕事が圧倒的に多いかと。

ここで意識すべき動きは2つ。
・①の領域を意識して全体感を養う
・③の領域に向かって自分ならではの実践経験をつむ

【参考】

②町内外の人が交流するゲストハウス

『まちづくりは、場づくり』の各論について全国の成功事例や町内のワークショップ、アンケートなどで出た要望を参考に考えます。

町内外の人が交流する場として、事例が多かったのが空き家をリノベーションしてつくるゲストハウス。町民を対象にしたワークショップやアンケートを見ても、魅力ある宿泊施設を求める意見はデータとしても高い数値。全国の成功事例を研究して、著名な建築家に依頼、部屋の構成や料金、WEBやSNSのデザインにも力を入れる。ただし、町としては観光地でもなく、普通にやってもゲストは来ないし、差別化できる要素が必要。また、働く人もいないので、オペレーションは無人化できないと難しい。

各論として『町内外の人が交流するゲストハウス』を考え、主観で思考を進めます。

3.各論×主観

この領域で考える際に必要なのは「自分だけのエピソード
キーワードはwill(やりたい)|like(好き)

②の領域で対象を絞った領域について、自分がやりたいことや、好きなことへ展開し、自分なりのアクションをとる。

いきなりこの領域からはじめると、単なる趣味や、独りよがり、世間知らずの仕事になりがち。

ここで意識すべき動きは2つ。
・②の領域を確認、客観性を踏まえた上で独自のポジションをとる
・④の領域に向かって、自分なりのエピソードを最大化させる想像

【参考】

③まちづくりを語れるゲストハウス

『町内外の人が交流するゲストハウス』を、客観的な分析を踏まえて、自分がやりたいことやできることに照らし合わせて、つくってみます。

客観的には厳しい市場で、経営していくために、かつ、自分が関心あってやりたいことは「まちづくり」をネタにゲストが集まってくるゲストハウス。実際に経営をはじめてみて、ゲストの口コミを分析していくと、立地や食、内装デザインより圧倒的に、スタッフとの交流と、地元の学生と話せたりまちづくりに関われたことに高い評価が

主観で『まちづくりを語れるゲストハウス』を実践、思考を発展させ総論を類推します。

4.総論×主観

この領域で考える際に必要なのは「情熱的に語れる持論
キーワードはvision|passion

③の領域で自分なりのアクションをとったからこそわかったこと、そして、そこから最大化させて総論まで想像します。

改めて①で認識した客観的な総論との対比の中で、自分なりの総論を展開。かつ、自分なりのアクションをとったからこそわいてくる情熱をベースに、人に対して熱く語ることで、人を動かし、巻き込んでいくことを可能にします。

【参考】

④人からはじまる、まちづくり

『まちづくりを語れるゲストハウス』を実践してみて、全体のまちづくりにも通じることを想像します。

観光地でもない町のゲストハウスに、想像以上に人がきて喜んでくれた。要因の多くが、町の人や自分たちだとすると、他の分野においても、人が最重要なのではないか。6次化や教育やデジタル化を想像しても、結局のところやる人がいるか?誰がやるか?なのではないか。

主観と総論で、まちづくり全般において『人からはじまる、まちづくり』を持論としてもちます。

5.まとめ

実際にはこんな単純ではありませんが、正解がなく、範囲が広いまちづくりだけに、情熱をもってこうだ!と言い切る持論をもつことは大切です。

なにより、そのような持論がないと、全員一致や多数決、最大公約数的なまちづくりになって、仕事にしても楽しくないんじゃないかと思います。

反論されたり否定されようが、譲れない持論をもつことをおすすめします。

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