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大きなまちづくりと、小さなまちづくり

まちづくりに大小、優劣はないけれど、範囲や規模の違いはありますよね。
大きなまちづくりは、範囲や規模が大きく、面と言い換えられるかも。
対象者は、町とか町民とか、あるいは地域やコミュニティのように不特定、もしくは特定多数。

それに対して、小さなまちづくりは、範囲や規模が小さく、点とも言い換えられるかも。
対象者は、個人、個店など特定少数。

どちらが大切、ということではなく、両方抜け漏れなく必要だし、その間をつなぐことが一番大切なのではと感じてます。

1.町全体の未来を考えるまちづくり


ぼく自身、大きなまちづくりと、小さなまちづくりのバランスを目指してます。
都農町では、町のグランドデザインやデジタル・フレンドリー戦略など、比較的、大きなまちづくりの仕事が多いと自覚してます。


都農町グランドデザインのアウトプットのひとつ「つの未来マップ」

少子高齢化や若者流出などの地域課題を踏まえると、少しでも早く、未来に向けてビジョンを定め、町全体で対策・改革の実践が必要、という思いで、大きなまちづくりに取り組んでます。

大きなまちづくりの課題は、言うまでもなく、絵に描いた餅リスクが大きいこと。
もう一つの課題は「みんな」ということばに象徴されるように不特定多数向けだけに、実際に誰のためにやってて、誰の役に立ってるのか?が見えなくなりがち、と実感してます。

そんな課題の自覚もあり、自分の中でバランスをとりたく、町の委託事業以外の直営事業では小さなまちづくりとして、コワーキングスペースや多世代交流サロン、自社直営のホステルなどの拠点を企画・運営してます。

大きなまちづくりか、小さなまちづくりかは、会社経営でいうところの、全社ビジョンか、現場のアクションかにも似ている。

教科書的には、ビジョンを明確に定めて共有し、ビジョンに基づくアクションをしていくかもしれないけど、実際にはアクションありきが多いもの。

小さなアクションを重ねていきながら、なんとなくビジョンが見えてきたり腹落ちしてくるものなのでしょう。

2.個人支援からはじめるまちづくり

このような問題意識もあって、最近、地域の現場に行ってお話を聞かせてもらった人たちが実践しているまちづくりにかなりヒントをもらいました。

一つめは、同じ宮崎県にある三股町。
三股町社会福祉協議会の中に、松崎亮さんを中心に、コミュニティデザインラボというチームを起こし、クリエイティブと福祉を絶妙に組み合わせ、ものすごいスピードで、たくさんのプロジェクトが実践されてました。

松崎さん曰く、

人の興味・関心からアプローチするまちづくりも大切だけど、個別支援からアプローチすることも大切。
困っている1人の問題を徹底的に話し合い、解決策を施せば、確実にその1人は助かるし、喜ばれるじゃないですか。
しかも、話し合いは少数ではなく、みんなで「社会問題井戸端会議」と称していろんな角度からアイデアを出し合います。

このようなロジックで、いままでまちづくりを考えたことがなかったので衝撃的でした。

果たして明確に「この人のためになった、この人の問題を解決した!」って言えるものがあるかなぁ?と振り返ることができました。

松崎さんたちがすごいのは、次から次へと、問題が発生したらスピード重視でプロダクトメーカーをつくったり、空き家を改修して居場所をつくる。

とにかく「やる」ってことです!

さらに、必要な資金は補助金・助成金を含めて自分たちで調達。立ち上げたあとは自走を目指してビジネスモデルも描いています。

個人という小さな問題解決からはじめ、結果、その実践が多数重なり合うことで、結果的に大きなまちづくりに発展していくのだろうな、とこれからも注目のまちづくりです。

3.空き家からはじめるまちづくり


鹿児島県南九州市にある、12,000人の町、頴娃町(えいちょう)

今さらぼくが紹介するまでもなく、観光・空き家再生のお手本でよく出てくる町です。

https://www.homes.co.jp/cont/press/reform/reform_00884/

コミュニティ大工の加藤潤さんから、その生きたノウハウを学びたく、今週、現地を訪問してきました。

1件の空き家からはじまったまちづくり

もちろん、その背景には、地域の人たちがまちを活性化しようとつくっていたNPO法人頴娃おこそ会の存在や、加藤さん自身が手がけてきた番所鼻公園を観光地として再生・活性化させた実績などがあります。

ただ、人通りがほとんどないシャッター商店街にある1件の空き家に、人が交流できる拠点を地域の人たちとほぼDIYでつくったことから、確実に頴娃町のまちづくりは変貌を遂げ始めたんだろうなということが、訪問して説明を受けることでよくわかりました。

空き家再生「潮や、」
「潮や、」の夜で、おいしい出汁のおでんを満喫

1件の空き家に集ううちに、地域の人たちが自主的にアクションをはじめたり、空き家改修の経験値が増えることで、少しずつ商店街の空き家に手が入り、いつからか、継続的なオファーが加藤さんのもとに来るようになり。。

加藤さんが移住されてから12年の期間の中で、空き家の改修は10件以上、その作り手や運営者として、全国から若者が移住してきたり、頴娃町全体のまちづくりと連動してきたり。

頴娃町の事例も、1件の空き家という小さな場づくりからはじまり、10件以上の実績が重なり合って、いまや大きなまちづくりにつながってました。


宿泊させていただいたゲストハウス「ふたつや」一棟借りで快適。

4.着眼大局、着手小局のまちづくり

順番はどうあれ、大きなまちづくりも、小さなまちづくりも両方同時に実践していく必要があります。

まちづくりのプレイヤー視点で見ると、大きなまちづくりのプレイヤーは、都市計画コンサルティング会社や大手建設・不動産会社、設計事務所などになりがち。もちろん行政も。
小さなまちづくりのプレイヤーは、個人事業主、地元企業など多士多彩に。

この2つがどう交じり合えるか?
あるいは、大小両方に関われるプレイヤーを増やしていけるか?

ぼくらは、後者に掲げた大小両方に関われるプレイヤーになりたいし、力及ばすの際は、両方のプレイヤーの間をつなぐ役割は果たせるようになりたいな、と。

このテーマを考えていて、会社経営をしていた祖父が好きだった言葉を思い起こしました。

「着眼大局、着手小局」

事を成そうとする人は、いつも大きな目標を持ち、その目標に向かって計画を決めて実行して生きて行くことが大切である。

中国の荀子(じゅんし)(313BC〜238BC)

どんなに小さな案件であれ、大局観をもってやる
大きな絵を描いたら、まずは小局からやってみる

このバランス感を大切にしていきたいものです。


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