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一般人が本気でアボカド栽培に挑戦してみた③ [アボカドとSDGs]


1、はじめに

今回は、何故私がアボカド栽培を、しかも庭で自家製アボカド収穫なんて大それた事まで(あくまで趣味です)考えるようになったのかについて書いてみようかなと思います。
ちょっと話が長くなります。
あと、考え方は人それぞれですので私の意見を皆さんに押し付ける気もありません。

2、アボカドとの出会い

キッカケは10年以上前、とある事からメキシコの文化に興味を持つようになり、更にメキシコ料理が好きになった事です。
そして、当時足しげく通っていたメキシコ料理屋のタコスやワカモレ(アボカドディップの事です)が大好物となり、とうとう店主にレシピまで教えてもらい自作するようになりました。

今では、ワカモレのみならず色んなアボカド料理を作るようになるくらいアボカドとは切っても切れない関係になっています。


メキシコにも行った事ありますよ!

3、アボカドとSDGs

そんな中、世の中にはSDGsの潮流が押し寄せてきました。私もビオトープ管理士の資格を取り、学校の授業等でSDGs関連の活動をする機会が出てきました。
そして、アボカドに関しても持続可能な開発とは程遠い現状である事を知るのです。

近年のアボカドブームによって、原産地のメキシコではますますアボカド生産に拍車がかかるようになりました。
その結果、多岐に渡る問題が出てきました。

まず一つめは、水問題です。
アボカドを育てる為には大量の水が必要になります。決して水が潤沢ではない場所でアボカドを大量に育てた結果、現地では深刻な水不足が起こっているそうです。

二つめは、温室効果ガスの問題。
メキシコ等中南米からわざわざアボカドを日本等に輸出する為には空輸する必要があります。
その為には、大量の燃料が必要になってきます。
その結果、大量の温室効果ガスがばら撒かれる事になります。

そして三つめは、麻薬カルテルの問題。
メキシコでは、麻薬カルテルの存在が社会に暗い影を落としています。
メキシコ政府は、長年麻薬カルテル撲滅の為に「麻薬戦争」とも呼ばれる取締りを行ってきました。
ですが、大勢の犠牲者を出しただけで麻薬カルテルを撲滅するには至らず、現政権はとうとう麻薬カルテル撲滅を諦めてしまいました。
その麻薬カルテルが新たな資金源として注目し始めているのがアボカド農家です。
アボカドがお金になると知ってからというもの、麻薬カルテルはアボカド農家からみかじめ料を脅し取るようになったのです。

自分の行為が知らないうちに色んな問題に加担していた事になるわけです。

4、課題との向き合い方

こうした問題に気づいた人達の中には「私はもう二度とアボカドは食べない!」と宣言していらっしゃる方が多数おられます。
エシカルな問題を意識し自己を律した行動でとても立派だと思いますし、それはそれで構わないと思います。
ですが、私は事はそんなに単純では無いと思っています。

もし、それで全世界が一致団結してバッシングや不買運動を行えば、確かに麻薬カルテルはアボカド農家から手を引くでしょうし、大量の水を使ってアボカドを生産する理由も無くなりますし、大量の温室効果ガスを吐き出しながらアボカドを空輸する事も無くなるでしょう。

ですが、肝心のアボカド農家さん達はどうなるでしょう?
急激に収入が減れば、一気に路頭に迷う事になります。
そうした人達が新たな犯罪に手を染めるキッカケにもなってしまいます。

この手の問題は、当事者の生活を保護しながら解決する方法を探らない限り新たな問題を生むだけである事は、これまでの歴史が幾度も証明しています。

それに、そもそも日本の食糧自給率自体が低過ぎるわけで、問題を抱えているのはアボカドに限った事ではありません。

日本人のアイデンティティである醤油や味噌の原材料となる大豆の大半は、何処の国で作られたのでしょうか?
そこは畑になる前、どんな場所だったのでしょうか?

生きる上で欠かせない食塩も、CMでお馴染みの国内トップメーカーが使う原材料の海水は、アボカドと同じくメキシコから運んでいますよね?

社会問題や人権問題にしても、みんな大好きコーヒーやチョコレートは、誰がどのように働かされた結果生み出されている物でしょうか?それはフェアトレードと言えるでしょうか?

言い出したらキリがありません。

そして、個人的な気持ちとしても、こんなに大好きなアボカドをいきなり未来永劫断ち切るというのは悲しい事です。

…こんな感じで何だかんだ理由を付けてみましたが、要はアボカドが食べられなくなるのが嫌なだけなんですけどね(苦笑)

私としては、「アボカドは悪」と断罪して不買運動を行うのでは無く、どうしたら少しでも持続可能な形でアボカドを食べ続ける事ができるのか、という視点から考えていきたいと思ったのです。
こうして目をつけたのが、国産アボカドです。

5、地元に根付き始めた国産アボカド

近所のスーパーで地元産アボカドが買えるなんて夢のよう

私が住む地域では、地元産アボカドをブランド化し、本気で国内一のアボカド産地を目指しています。
初めは「そんなの何処で売ってるの?」というくらい希少で、まるでツチノコのような存在でした。
それが、今ではようやくその辺のスーパーにも並ぶくらいの生産量になりました。

国産アボカドなら、外国の水を消費する事はありませんし、私の住む地域の場合、主にミカンからの転作なので、水の消費量がさらに増えるわけでもありません。
輸送に使われる燃料も、空輸に比べれば本当に微々たるものです。

そして国産アボカドのシェアが拡大していけば、その分中南米産アボカドへの依存が減る事になります。
バッシングではなく穏便に中南米産アボカドのシェアを減らしていく事ができるのであれば、現地のアボカド農家を過度に困窮させる事なく社会構造の変革を促す事もできるかもしれません。

6、そして自家生産チャレンジへ…

しかし、スーパー等で地元産アボカドを見かけたら積極的に購入していますが、国産アボカドはまだまだ外国産アボカドに比べて割高ですし、供給も不安定。
そこで、「だったら自分の家の庭でもアボカド収穫できないのか?」となった訳です。

「何でそこまでしてアボカド食べたいの?」という声が聞こえてきそうですが、そこまでしても食べ続けたいのです!好きだから。
それに、SDGsに貢献できる趣味なんて、素晴らしいじゃないですか!

ここまで熱弁してきましたが、こんな発想に行き着く事ができたのは、私が住む地域のアボカド栽培が盛んであるおかげです。
ミカンが育つ場所ならアボカドもだいたい育てられると言われていますし、その地の利を最大限に活かしてみたいと思います。


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