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【小説】JK芹沢千絵理はかく語りき

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クラシック大好きな女子高生・芹沢千絵理が周囲の人間を巻き込んでいくライトノベル風小説です。
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記事一覧

【小説】JK芹沢千絵理はかく語りき Op.7『私のソナタⅣ』

 会長の協力を取り付けた翌日の放課後、生徒会副会長の天原さんという人に呼び出された。  …

有馬 慶
1年前
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【小説】JK芹沢千絵理はかく語りき Op.7『私のソナタⅢ』

 ツヴァイクの『復活』を聴いたときに青井輝が言ったことが気になっていた。  「友達と音楽…

有馬 慶
1年前

【小説】JK芹沢千絵理はかく語りき Op.7『私のソナタⅡ』

 例年より早く梅雨が明けた頃のことである。  私がいつも通り校門へ直進しようとしていると…

有馬 慶
1年前
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【小説】JK芹沢千絵理はかく語りき Op.6『私のソナタⅠ』

 私の名前は芹沢千絵理。県立明ヶ丘高校に通う16歳である。  父と母、妹と一緒に東京近郊に…

有馬 慶
1年前
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【小説】JK芹沢千絵理はかく語りき Op.5『レントより遅く』②

(①はこちら)   「うーん…これはちょっと難しいかな」  早速、生徒会主担当の吉田先生…

有馬 慶
1年前
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【小説】JK芹沢千絵理はかく語りき Op.5『レントより遅く』①

 この春、私の英語教師としての生活が始まった。  大学で教員免許を取得後、地元の教員採用…

有馬 慶
2年前
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【小説】JK芹沢千絵理はかく語りき Op.4『ラ・ボエーム』②

(①はこちら)  世の中はクリスマスを1か月後に控え浮足立っていた。高校生ともなれば、当然異性のことが気になる時期だが、俺には関係ないとすっかり諦めていた。  この半年、まったくろくなことがなかった。芹沢千絵理の件をきっかけに俺はクラスのカースト最底辺へと落ちた。元カースト最上位の俺が陰キャに受け入れられるわけもない。また仮に受け入れられたとしても、俺自身のプライドが許さないだろう。  休み時間は机に突っ伏して、なるべく気配を消していた。遠くから聞こえる明美たちの笑い声が耳

【小説】JK芹沢千絵理はかく語りき Op.4『ラ・ボエーム』①

 こんなはずじゃなかった。俺の高校生活がめちゃくちゃになったのはあいつのせいだ。  俺は…

有馬 慶
2年前
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【小説】JK芹沢千絵理はかく語りき Op.3『白樺は野に立てり』②

(①はこちら)  「…で、安請け合いしちゃったわけ?」  「や、安請け合いっていうか…断…

有馬 慶
2年前
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【小説】JK芹沢千絵理はかく語りき Op.3『白樺は野に立てり』①

 私の名前は「会長」。  もちろん本名ではない。生徒会長だからそう呼ばれているだけだ。 …

有馬 慶
2年前
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【小説】JK芹沢千絵理はかく語りき Op.2『間奏曲』②

(①はこちら)  彼女のすすめるままに、あれこれ録音を聴きながら過ごしているうちに15時に…

有馬 慶
2年前
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【小説】JK芹沢千絵理はかく語りき Op.2『間奏曲』①

 16歳になったばかりの私の心は完全に腐っていた。  中学時代の3年間は、吹奏楽部でトロン…

有馬 慶
2年前

【小説】JK芹沢千絵理はかく語りき Op.1『復活』②

(①はこちら)  芹沢さんに付いていくまま、エントランス脇の列に並び「当日学生券」という…

有馬 慶
2年前
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【小説】JK芹沢千絵理はかく語りき Op.1『復活』①

 オルフェオ・ホール。東京・銀座にあるクラシック音楽専用のホールであり、東京のオーケストラや国内外の有名アーティストによる公演が毎日のように行われる。その音響の美しさときらびやかな内装によって、音楽ファンのみならず文化人からも注目を集める施設だ。  また、ホールの構造は「ヴィンヤード(ぶどう畑)型」と呼ばれ、段々畑のように客席が舞台を囲む形となっている。どの席からも舞台全体が見える工夫がなされているのだ。  そんなオルフェオ・ホールの、チケットに印字された文字によれば「LA