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運動による脂肪代謝とホルモンの関係、そして性差について

身体の脂肪を落としてやりたい。
これは飽食時代に生きる僕たちヒトにおけるひとつの課題であると考えます。
トレーニングや有酸素運動、食事改善によって消費カロリーが摂取カロリーを上回ること、PFCバランスを改善することによって脂肪が代謝されることは皆さんご存じであると思います。また、脂肪が代謝される時には様々なホルモンが関与してきます。

今回は、運動による脂肪代謝に関わる代表的なホルモンやその機能、また脂肪代謝に性差はあるのかどうかを記していきたいです。

まず、脂肪組織は皮下脂肪組織と内臓脂肪組織の二つに大きく分けることが出来ます。(ちなみに皮下脂肪よりも内臓脂肪の方が代謝されやすいとされています)
これらの脂肪を代謝させる役割のあるホルモンは脂肪動員ホルモンと呼ばれており代表的なものとしてカテコールアミン、成長ホルモン、コルチゾール、グルカゴンなどがあり、なかでもカテコールアミンは脂肪分解反応の中心的な役割をしています。

安静時、脂肪組織ではカテコールアミン(アドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミンの総称)の刺激に対してα₂アドレナリン受容体が優位に働いており脂肪をエネルギーに変えることを抑制していますが、運動中ではβアドレナリン受容体が優位に働くため脂肪からエネルギーを得ることが可能となります。

一方、成長ホルモンでは、インスリンの作用を抑えるために安静時に脂肪分解を促進させていますが、運動中ではα₂を活性化するために脂肪分解を抑制してしまうためカテコールアミンと成長ホルモンは安静時と運動時に全く逆の作用を発揮することが考えられます。

また、脂肪分解の反応には性差があり、しかも部位別でその反応に違いがみられます。

臀部(お尻)では、運動によって男女ともにβアドレナリン受容体が活性化し脂肪分解作用が促進されますが、女性のみα₂アドレナリン受容体も活性化されるため、脂肪分解作用が打ち消され反応の変化があまりみられません。

腹部では、運動によって男女ともにβアドレナリン受容体が活性化されます。腹部の脂肪組織では女性の方がβアドレナリン受容体の増強率が高いことや、α₂アドレナリン受容体を介した脂肪分解抑制が弱まるため、運動による腹部脂肪組織の分解反応は女性の方が大きいことになります。

そう考えると、男性は腹部の脂肪が落ちにくく、女性は腹部の脂肪は落ちやすいが臀部の脂肪が落ちにくいということが考えられますね。

やはり、基本的には消費カロリーが摂取カロリーを上回ることが除脂肪(ダイエット)の基礎となります。摂取カロリーを減らす(食事量を減らす)ことで必然的に消費カロリーを上回らせることが出来ますが、運動はダイエットには必須であると考えています。運動は消費カロリーを増やすだけでなく、脂肪動員ホルモンの分泌が増えたりすることで脂肪代謝しやすい身体を作ることが出来ますし、運動不足の状態では脂肪酸のβ酸化(脂肪分解)が不活性な状態なので燃やしたくても燃えません。

痩せる⇔太るを繰り返す一生を送るか、痩せやすい身体を作ってストレスフリーな一生を送るか。

間違いなく後者です。




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