見出し画像

TOEIC900までの道のり#1(TOEICの価値、リスニングの勉強法)

純ジャパから米国、中国で働くようになったキャリアを知った後輩から「海外で働きたい、海外関連の部門で働きたいけど、どうすれば良いか?」という相談を受けることがあります。私が勤めている金融機関は、まだまだドメスティックな社員が多いこともあり、だいたい「とりあえずTOEICを頑張ろう」という話になります。今回はTOEICについて書いてみたいと思います。

1.「TOEICで高得点=英語ができる」ではない。

TOEICで高得点を取ることを推奨しておいてヘンな話ですが、これは紛れもない事実です。私自身TOEICではじめて900を超えたころは、仕事で支障なく使えるとは到底言えず、日常生活でも大変苦労していました。米国に渡ってから3カ月くらいして受けてみたときに、確か950とかでしたが、それでも会話について行けないことばかりでした。しかもこれは私に限った話ではなく私以外にも似たような日本人が多くいました。

つまり「TOEICの高得点=英語ができる証」ではないのです。ここでいう「英語ができる」というのは、ビジネスにおいて問題なく意思疎通できるレベルです(ショップ店員か、オフィスワーカーかによっても違いますが)。

逆に、私の観測範囲では、英語ができてTOEICのスコアが低い人は滅多にいません。つまり、ある程度のレベルを超えると、TOEICのスコアは「英語ができることを示す指標」ではなくなり、「英語ができないことを示す指標」として機能することになるのです。

2.それでもTOEICには価値がある。

これからTOEICを頑張ろうという人には厳しいことを書きました。ただ、これは極一部の世界の話です。多くの企業、組織においてはTOEICで高得点を取ることには未だに大きな価値があると思っています。

私の勤務先は日系金融機関ということもありますが、TOEIC700で「頑張っているね!」、TOEIC800なら「本当にすごい!」、TOEIC900を取ろうものなら「帰国子女だっけ?凄すぎ。」という感じです。一応、利益の半分近くは海外事業で稼いでいますし、グローバル企業と言えると思いますが、それでもこんなものです(グローバルを謳う金融機関の悲しい現実です)。

こういう環境ではTOEICの高得点には大きなシグナリング効果があります。TOEIC700でも「あいつは頑張っているなぁ。」となり、海外事業に関わる可能性が上がりますし、「頑張っているアピール」もできるのです。結果として、社費でのMBA留学、昇進、転職等、将来の可能性を広げるケースも多いと思います。

しかも、TOEICというテストは、出題傾向をしっかり分析して、学習を継続すれば、確実に成果が出るテストです。学習参考書も山のようにあり、学習方法も確立されたテストです。筋トレやダイエットと同じです。あとは「いかに継続するか」だけです。継続すれば結果がでるし、周囲からも評価してもらえる、非常にコストパフォーマンスが良いテストなのです。

3.リスニングにセンスは必要か。

私はリスニングにアレルギーがあります。はじめて受けたTOEICのリスニングは、ほとんど聞き取れなかったものの、運良く250が取れましたが、とにかくリスニングが苦手でした(今も苦手です)。センター試験のリスニングも苦労していましたし、私は日本語の聞き取りも苦手ですので、そもそも、音声情報の処理が不得手なのかも知れません。

ちなみに私が米国時代に通った語学学校の先生は「音楽センス(音楽経験)と語学力は深い関係にある。」と常々仰っていました。私は昔からリコーダー、鍵盤ハーモニカも苦手で音痴でしたし、一方、ピアノを習っていた姉はリスニング、発音は抜群でした。同僚を見ていても、元バンドマン、カラオケがうまい人は英語が上手な傾向がありますし、きっと先生の言う通りなのでしょう。そういった意味では、私は無縁でしたが、リスニングは、センスおよび、人生における各種経験がモノをいう部分があるのかも知れません。

4.1年半でリスニングパートのスコアを250から450まで上げた方法

そんな私もTOEICで950を取得し、英語を使って仕事ができるようになりました。その過程では、とにかく色々な方法を試しました。「聞き流すだけで聞き取れるようになる」からはじまり、「英語〇」、「〇語喉」、「超速〇〇」、「〇〇ヘルツの~」など、あらゆる教材を藁をもすがる思いで試しました。

最終的に辿り着いたのは、「ディクテーションするように集中して聴く」というかなり地味な学習方法でした。同じ文章を何度も繰りかえし流し、一つ一つの単語を聞き分けるつもりで聴くことを繰り返しているうちに、聴き取れる英単語、センテンスが増えていきました。

具体的には、「これ以上は聞き取れない」と思うまで何度も繰り返し聞いたら、スクリプトを見て答えあわせする、それだけです(もちろんディクテーションのように、実際に書き写すのも良いと思いますが、私は面倒くさがりで、かつ書くのにも時間が掛かることから、書き写すことはしませんでした)。

一文一文が正確に聞き取れるようになると、長文も、より正確理解できるようになります。3~4割しか出来ていないセンテンスを積み重ねても、聞き終わったあと、ぼんやりと、ピントが合っていないような感覚が残りますが、6割理解したセンテンスを積み重ねると文章全体をかなりクリアに理解できます。解像度が上がっていく感覚です。

テスト本番では文全体から何の話をしているか理解した上で、細部を推測することもありますが、日々の学習においては、一文一文を理解できることを目指すのが王道だと思います。

教材ですが、私はTOEICの公式問題集を使っていました。本番の問題形式、ストーリー展開、単語の傾向も似ていますので、公式問題集でやってみることをお勧めします。このスタイルで勉強していると、問題集一冊を終えるのにもかなりの時間が掛かりますが、それで良いのです。一冊終えた頃には既に実力が伸びているはずです。

リスニングはテスト前に本番スタイルで解いてみる以外、基本的にこれしかやっていません。できる限り一日30分、それすら勉強できない(しない)時期もありましたが、それでも約一年半で、リスニングパートが250から450まで伸ばすことができました(1年半だから別に大したことありませんね)。

今回はTOEICというテストの現実や受験意義、そして、私のようにリスニングで苦しんでいる人向けに、リスニング学習のエッセンスを書いてみました。今後リーディングについても、少しずつ書いていきたいと思います。

ではでは。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?