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蝶の羽たたむにしずかなる力 / Song 『王国の蝶』 横尾渉・千賀健永(Kis-My-Ft2)

最新アルバム『To-y2』通常盤に収録されたユニット曲。

バラエティ番組『プレバト!!』で俳句の「特待生」になっている横尾さんと千賀くんのユニット曲。作詞したのは番組でお馴染みの俳人・夏井いつき先生。なんと全てのフレーズが俳句で出来ているのです。

📕夏井先生のブログ↓

この美しい構成の曲、一句ずつ分解して解釈してみたいな…と記事を書きかけていたら、夏井先生が誕生秘話をYouTubeで教えてくださいました。

横尾嘉信さんという歌詞構成の方は、狙ったのではなく(笑)以前に夏井先生とお仕事された方だったんですね!千賀くんがこの蝶のモチーフを気に入ったこと、先生の句を構成して作られた曲=二人ありきで組まれたフレーズなどではなかったことも初めてお伺いしました。俳句という韻文の奥深さもさることながら、構成の仕方も素晴らしい1曲なのだと改めて思った次第。


私は、この曲の"蝶"とは横尾さんと千賀くん…或いはKis-My-Ft2のことなのかなと思って、ぐっと切なくなってしまうのです。コンサートで演ることがあれば、横尾さんと千賀くんには和服で蝶の如く舞って欲しい。踊りづらいとは思うけど(笑)。メロディーも、雅楽っぽいのにアップテンポでドラムとかも入ってて面白いんです。昔からの文化である俳句を現代のアイドルが歌ってるのと同じ構図だなと。


夏井先生の解説を心待ちにしつつ、私なりに流れを汲み取りながら解釈してみました。全然違っていたらごめんなさい(笑)

『王国の蝶』
作詞:夏井いつき (俳句) / 横尾嘉信 (構成)
作曲:baku

蝶の羽たたむにしずかなる力

飛ぶ為の羽をたたむにも力が要る。
飛ぶことに対する覚悟。

朝星やうすずみいろに蝶の紋

朝星[あさぼし/早朝の空に消え残っている星]。
朝星の様に、そこに居た証拠、生きた証を残す蝶。

蝶の飛ぶ波動どこかの山崩

蝶が飛ぶことでどこかの山が崩れてしまうことがある。トップを獲ろうとする姿と重なる。プレバトで? この世界で?

太陽の恐ろし蝶の口恐ろし

(この句を圧倒的に解説してほしい…難しい!
・口恐ろしい[口にするのも恐ろしい]。
・『虎の口(虎狼)より人の口恐ろし』という故事成語があって、意味は[虎(や狼)に襲われることより、防ぎようのない人の噂の方が恐ろしい]。本物の蝶は太陽を恐れていない(むしろ好きだ)し、蝶の口なんて蜜を吸う以外に怖いことある? 蚊の口なら怖いかもしれないけど(笑)。
・本来好むべきひなた=前に出ることや目立つこと、あるいは明るい存在を恐れて、悪口を触れ回る蝶…いや、それだと「恐ろし」じゃなく「恐れし」…?
・甘い蜜を吸ってる、というのも関係ある? 悪いことしてるから太陽が怖い的な? これだけは綺麗に嵌められない…)

蝶や今
もう戻れない高さまで
王国はもう来ているか蝶の昼

蝶の昼(春の季語)[草花にとまって休む蝶蝶の昼寝]。
ゆったりした王国と、戻れない高さまで飛んでしまっている蝶の対比。そこに辿り着こうと飛んでいる成長中の蝶。

飛ぶのは痛い飛ぶのは痛い
蝶の羽

美しく見える羽だけど、実は飛ぶときの痛みに耐えている。一生懸命飛んでる蝶の健気さが、特に千賀くんに重なってしまうのです。。ここで1番が終了。


蝶は風にもんどりうって光りだす

2番。突然横尾さんがラップする。笑 \ジェッ/
もんどりうつ[空中に飛び上がって回る]。
強い風の中で揉まれて成長する蝶。

この羽に飽きたる蝶のぶっきらぼう

どこか投げやりになる様。風に煽られるまま流されるように飛んでいれば羽も痛まない。

蝶は蝶に身を打ちつける永久(とこしなえ)

プレバトの順位争いのようでもあり、美しい蝶になりきろうとしてる様にも見える。それはアイドルとして理想の型に嵌まろうとする必死さと健気さの様でもあって。

聖痕のごとくに蝶の銀粉は

聖痕[キリストが処刑された痕のようなものが同じ部位に出てくる現象]。
身を打ちつけた先に聖痕のごとく付いた銀粉。ここでまた、生きた証がそこに残る。

蝶や今
もう戻れない高さまで
王国はもう来ているか蝶の昼
蝶や今
もう戻れない高さまで
重力を離るる寂しさに蝶は

飛ぶ瞬間の無重力。ふわふわ漂うのはどこか心許なく寂しい。無重力空間とは宇宙。まだ見ぬ広い世界に向かっていく。

蝶や今
もう戻れない高さまで
王国はもう来ているか蝶の昼

最後は転調して終わり。戻れない高さまで来てしまったけれど、痛みに耐え、王国を目指して飛び続ける蝶。


単純にプレバトで上を目指していくふたりの様を歌っているようでもあるし、もう少し広く、この世界で生きていくKis-My-Ft2のことのようでもあって…何にせよ、飛び続ける蝶のことを愛おしく想わせてくれる歌でした。その羽が千切れないように、銀粉が飛び散りすぎて死んでしまわないように、蝶の飛ぶ様を見守っていたいと思いました。

千賀くんは自担なのでちょっと甘やかした見方もしていますが(笑)私なりの解釈は以上です。改めて、素敵な歌を有難うございました!2匹の蝶が舞い踊る様をコンサートで観られる日が来ますように。


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