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組織変革に必要な3つの感~ 危機感・使命感・一体感

コンサルタントとして、さまざまな変革をご支援しています。事業そのものやそれを実行するための組織・個人が対象です。

ただし、私たちコンサルタントが直接変えることはできません。当事者が変わろうと思わない限り、その行動は変わりようがないのです。

テクニカルな問題というより、心や態度、志の問題です。
変わろうと勇気づけること、向き合うべきことに向き合っていただくことが私たちの使命だと考えています。考えや思いを深掘りする問いを投げかけ、モヤモヤしていただくことを大切にしています。

そもそも私たちは変わるのが苦手

私たちは、変わることが苦手です。いつもと同じ方が安全だし、コストもかかりません。だから、変わらなくて良い理由を知らず知らずに探していることがあります。

イソップ童話の「すっぱい葡萄」のキツネをご存知でしょうか。高いところになっている葡萄を獲ろうとするキツネの話です。キツネはいくら跳んでも跳ねても葡萄が取れません。結果、「あの葡萄はどうせ酸っぱいんだ」と決めつけてその場を後にするという話です。

私たちは、現状維持で満足したがります。しかし、現状を維持しようと思っても、周囲の状況が変わっていきます。そうなると、変われないと衰退し、生き残れなくなるのです。

これについては「ゆでガエル」という言葉もあります。カエルを熱湯に入れたら、びっくりして飛び出すはずが、水から徐々に温めると、熱くなっていることに気づかずにゆであがってしまうことを言います。ぬるま湯につかっていて、危機感がない状態です。

2つの不安に着目する

ここで覚えておきたい言葉として、Survival AnxietyLearning Anxietyという言葉があります。

Survival Anxietyとは、生き残れるかどうかに対する不安です。ぬるま湯につからずに、生き残るための危機感を持っている状態です。

一方のLearning Anxietyは、学習することへの不安です。学ぶことは、これまでうまく行っていたやり方を手放すことでもあります。明確な目的を持たないと学ぶことは苦痛なのです。ポジティブな言い方をすると、使命感を持っているから、学ぼう、変わろうとするのです。

危機感・使命感に加えて一体感

「危機感」と「使命感」。どちらも変わるのに必要なものです。私たちは、段階によってこの2つを使い分けていくことが求められます。その段階を示したのがジョン・コッターによる「変革の8段階プロセス」です。

ジョン・コッター「変革の8段階プロセス」

最終的に「新しい方法を組織に定着させる」には、段階を踏んでいく必要があります。変わるのが得意ではない私たちは、いきなり新しい方法を取り入れても3日坊主で終わります。危機感から初めて、使命感を醸成し、成功体験を重ねていくことが必要です。

加えて、「一体感」も大切です。「危機感」や「使命感」には個人差があります。このため組織を変えるのには時間がかかります。一方、個人差があるからこそ互いを刺激しあうことにもなります。時間をかけて危機感と使命感を育て、成功体験を積み重ねていく仲間がいることが大切です。

8段階プロセスでも、最初の3段階で、この3つの「感」を作ろうとしていることが分かります。これが変革のコアになる部分です。

最も大切なのは、人間だけが持つであろう「使命感」

先日、私たちのチームの合宿で「危機感」と「使命感」が話題になりました。危機感を持たないと変われないが、より大切なのは使命感だろうという話になりました。

実際のところ、変革をデザインするには両面必要です。
ただし「使命感」がより重要です。なぜなら、危機感や一体感は他の動物にもあります。ある種の本能です。一方、「使命感」は人間だけが持ち得るものであるように思います。

  • 何のためにそれをするのか

  • 何のための事業なのか

  • 何のための組織なのか

  • 何のための自分なのか

そうした存在意義に向き合う問いを自らに問い、お客さまにも投げかけていきたいと思います。

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