KBC Summit 2019 ~ 組織編 ~
noteをご覧頂きありがとうございます。
KBCという起業支援団体で副代表を務めていた岡本真季と呉逸帆と申します。
昨年末に開催したKBC Summitは、イベントの企画をしながら、組織づくりも目的の一つとして行いました。
イベントの準備と同時に組織づくりも行った経緯を発信することで誰かの参考になるのではないかと思い、noteを書くことにしました。
KBC SummitはKBCの中で1年の集大成イベントとして位置付けられており、今年は「結」をコンセプトに、「人生が変わる繋がり戦略」をテーマにイベントを企画しました。
7人の豪華なゲストの方々にご登壇いただき、当日は定員150人だったところ、増枠を繰り返し300人ほどの参加者が集まり #KBC2019 はトレンド入りするほど大変盛り上がりました。
イベント当日は、名札や演出にもこだわりこのような反響をいただきました。
メンバーの協力もあり無事開催できたと言えるKBCSummitですが、Summit開催前のKBCの組織は決して良いとは言えない状態でした。
そのため、組織体制の再構築も目的の一つとしてKBCSummitを企画しました。
KBCには、起業家、起業したい人、起業に興味がある人など様々な方向にベクトルを持ったメンバーが所属しています。
様々な方向を向いている人々を一つのゴールに向かってベクトルをそろえなくてはいけない状況は、起業や、プロジェクトの推進などチームで動いていく際に必要になることが多いのではないでしょうか。
起業家、プロジェクト運営に携わっている人、チームで何かを成し遂げようとしている人たちに向けて、私たちがどのようにしてその壁を乗り越え、一丸となって無事イベントを開催できたのかを書き記しておきたいと思います。
少しでも参考になれば嬉しいです。
今回は特に組織体制の立て直しについて書いていきます。
イベント企画については後編で書きます。
組織崩壊に至るまで
先ほど、「Summit開催前のKBCの組織は決して良いとは言えない状態でした」と言いましたが、どのような点で組織が良い状態とは言えなかったのか、時系列に起こったことを軽くまとめたいと思います。
- アクセラレータープログラム開催に対する内部メンバーのモチベーションの不一致
→年間活動方針が定まらないまま新学期がスタート
- 幹部のみで意思決定を強行
→組織の不透明性が顕著に。内部からの反発。
- 所属メンバーの倍近い数の新入生が入り、組織をまとめるのがますます難しくなる
- 代表含む幹部の5/8が抜ける→幹部体制の崩壊
→モチベーションを失うメンバーが激増
→アクティブメンバー数の激減=組織体制の崩壊
- 人手が圧倒的に足りないままアクセラレータープログラム開始
- Summit企画途中で停止。何も進捗がないまま9月に突入
- Summit直前に1/3ほどの協賛金が着金しないことが発覚
→一気に財政難に
今考えても本当に不健全な組織だったと思います。
なぜこのようなことが起きたのでしょうか。
・幹部メンバーと、その他所属メンバーの情報の非対称性
・幹部内をはじめとしたKBCメンバー内のタスクの偏り
・組織のキャパに合わない新入生の受け入れ
これらのことによって、様々な問題を抱えながら見かけ上進めていた活動の限界が明らかになり、物理的にも心理的にもフェードアウトするメンバーが続出してしまいました。
改めてこの状態について反省するならば
・オープンな情報共有ができていなかった
・メンバー同士の関係づくりに力を入れられていなかった
・責任の所在が明らかじゃなかった
これらの点が改善できたと思います。
この状態からSummitまでの3ヶ月間、Summitの準備を猛スピードで進めながらどのように組織の立て直しを測ったのか振り返っていきたいと思います。
全員が2番目に踊り出した人
みなさんこの動画はご存知でしょうか?
リーダーの後に続く2番目の人がいることで一気にエンジンがかかります。
この点でいうと、私たちSummitの核となった4人は全員が2番目に踊り出した人でした。
組織が崩壊している中、毎年12月に開催するSummitを開催することは決まっていたものの、ゲストはもちろん会場や日程すら決まっていない状態で9月が終わりかけていました。
9月25日、2人でKBCについて話していた中で、Summitを開催するなら今から全力で進めないと間に合わないという危機感が一致し、ひとまず私たちで動かして行こうということになりました。
(未だにどっちから誘ったのかはわかりません..)
その直後、同期の友人2人に話したところ、1人がデザインを、1人が演出をやると言ってくれ、Summit開催に必要な主要機能(企画・マーケティング・演出・デザイン)がそろい、一気に完成するイメージを持つことができました。
(なんと話が上がってからここまで、わずか3時間)
4人それぞれ仲が良く、信頼関係が既にあったので、最初から速いスピードで走り出すことができました。
(本当に嬉しかったし心強かったです)
関わる人みんなに楽しんで欲しい
私たちは、前期の組織崩壊の反省から、このような思いで組織体制を決めました。
前期のKBCへのコミットは義務感が大きな動機で、やりたいからやる人が少ない状態でした。
スラックのスタンプの反応などもほぼなく、コミットしている人も他メンバーからの反応がないために発言をやめ、不透明な状態になっていました。
(今なら、それでもどうやって巻き込むかを考えるべきだったと思います。)
仕事をすることが「楽しいこと」という印象は皆無の状態でした。
やはり前期のような状態では今回のイベントを作りたくないし、作れないという話が上がりました。
集大成のイベントでもあり、関わる人皆に楽しんで欲しいという思いは二人とも一致していました。
「関わる人皆に楽しんでもらう」ことを考え徹底的に相手目線を意識して取り組みました。
どのようなことをしたのか、それぞれについてまとめました。
・メンバーの特性を把握する
前期の反省も生かし、どういう組織がKBCのメンバーにとって理想的なのかを考えました。
まず、KBCのメンバーの特性について考えました。
・起業しているメンバーやインターンをしているメンバーが多い
・KBCの優先順位は、自分の事業の二の次。
・時間的にもKBCにコミットする余裕はそんなにない
・どういう仕事だと関わりたいか
・自分じゃなきゃいけない理由がある
・関わりたいと思っているレベルにあった仕事
・自分の力を発揮できている、役に立っていると感じられる
・どういう組織の状態であるべきなのか
・透明性がある(情報がオープンになっている)
・断りやすい雰囲気、義務感がない
・どの仕事を誰が担当しているかが見えている(責任の所在が明らか)
・メンバーとの信頼関係が築かれている
・私たちの在り方
企画責任者を二人で努めることにしました。本来なら一人に絞るべき責任者だけれど、二人で始めたこともあり、責任もプレッシャーも2人で背負うと決め、お互いが責任者としての自覚を持って進めました。
常識的には、肩書きだけでも責任者を1人に決めるべきなのかもしれないが、私たちにはこの制度が合ってたと思います。その時の状況や自分たちの特性を生かすことの大切さを感じました。
・組織体制について
#Summit corecoreの4人を中心にし、それぞれが1部門ずつ責任者を務めるけれど、情報を共有し合いどの部門のことでも意思決定は4人で下すことを決めました。
他のメンバーには、無理矢理関わって欲しいわけではなく、本人が関わりたいと思った分だけ関わって欲しいと思っていました。
そのために、どうやったら関わりたいと思ってくれるのか、その仕組みを考え、実行しました。
・目指す先と想いを共有し、共感を得る
「ビジョン」の共有
まずは、私たちがSummitに込めた想いと、どんなイベントにしたいかを具体的にイメージしてもらえるよう共有しました。
・「関わり方」の提案
そこで少しでも関わりたいと思ってくれたメンバーに「自分がどれくらい関わりたいのか」「何に関わりたいのか」を宣言してもらいました。
基本ここで言ってくれた内容に合わせて仕事をお願いしていたので、お互いが良い気持ちで仕事する上でこの宣言は大事だったと思います。
・情報の透明性が信頼関係を築く
基本的なことではあるけれども、前期の私たちができていなかったことをルールを設けて透明性の担保に努めました。
・細かい報告でも個人チャットではなくオープンチャンネルでの連絡を徹底
・どのチャンネルでどんな議論が行われるかを最初に示す
・個人で話したことや決定事項はオープンチャンネルに流す
・ミーティングの議事録など情報は必ずドキュメント化し、ドライブに残す
→責任の所在や担当が明らかになり、誰に連絡したらいいのかわかるよ
うにした
・気持ち良く仕事をしてもらうために
もちろんメンバーだから仕事をして当たり前という認識はあると思うけれど、それでも気持ちよく仕事を引き受けてやって欲しいという思いがあったので、タスクを振る際には相手の目線に立ち、以下のことに気をつけていました。
- 宣言してくれていた内容を見返し、お願いする仕事の量がそれよりオーバ
ーしていたら、その点にきちんと配慮してお願いする
- お願いする時からタスクの全体像や具体的な動きがわかるように細かく具
体的に伝える
- その人にお願いしたい理由を伝える
- 期限の数日前、前日などにきちんとリマインドする
(仕事をアサインした人は、その人の仕事が終わるまでしっかりと面倒を見
る)
- タスクを完了した際は、きちんとお礼を伝える
- チャンネルで誰が何のタスクを担当しているのかを公開し、全体で進捗を
把握する
- できるだけその人の特性や好きなこと、得意なこと、興味があることを頼
む
・感謝の気持ちを全体で共有する
slackにthanksチャンネルを作成し、個人への感謝も全体で共有する文化を根付かせました。
・ゲストにも関わってよかったと思って欲しい
ゲストの方々に登壇依頼をしている中で、一度決まったゲストに断られるということが起きました。
他の用事が入ってしまったという理由だったのですが、Summitが他の用事よりも優先されなかった=ゲストにとって重要性が低い用事になってしまっていたと考え、ゲストとより信頼のある関係を構築することが必要ではないかと考えました。
(知人からの誘い>知らない学生からの誘い、という気持ちはとても理解できるのですがショックでした)
それ以降は、決定事項の報告はもちろん、ゲストに関わる動きが出る際には事前に全て相談し、イベント全体の近況についても随時連絡を取るように心がけました。
関係構築によって、ゲストの方やゲストの周りの広報の方からもSummitの集客に協力していただけたり、嬉しいことに様々な協力を得ることができました。
振り返ってみて
振り返ってみて、特に特別なことはしておらず、当たり前のことをきちんとやっただけだということに気付きました。
「組織体制の崩壊」という状況は当たり前のことができず悪循環を生んでいた
例えば、
・情報がオープンじゃなかった→不透明性→不信感
・責任の所在が明確でなかった→タスクの押し付けあい→コミットがネガテ
ィブなイメージ
自分たちが決めたルールを徹底して守る
例えば、
・「オープンチャンネルで話そう」という声かけ
・自分のタスクだけでなく、頼んだタスクも完了するまで気にかける。
・サンクスチャンネルで感謝を伝える
「私たちの当たり前」を「全体の当たり前」にするために自分たちが意識的にルールを徹底して守っていました。
イベント終了時には、走りきった達成感で「何かすごいことを成し遂げた」という気持ちで満たされていたのですが、今振り返ると、当たり前にするべきことをしていただけということに気づきました。
当たり前のことをするというのは案外難しいことですが、それまで、当たり前にできていなかったものを、当たり前に行動するだけでこんなにも変わるということを身をもって感じました。
もっと複雑な組織の方が多いのかもしれませんが、組織に対して課題を感じている方は、当たり前のことができているかを再度確認し、当たり前を守っていければ少し前に進めるかもしれません。
何か少しでもヒントになっていれば嬉しいです。
後半ではイベントの企画についてまとめます。
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