マガジンのカバー画像

レア

16
運営しているクリエイター

#物語

可愛い子よ

可愛い子よ

可愛い子よ
恐れないで聞いておくれ
私はお前を待っている
木陰で
あの石の上に座ってる
花稸乙女のように
あの羊飼いはお前に言うだろう
「あなたを待っていた」と
お前の目となり、導き
やがて友と名乗るだろう

嗚呼、可愛い子よ
お前は私
お前の言葉は私の言葉
鋭さと危うさは
やがて友と己を切り裂く
祝宴は終わり
お前は気づく
すべては我が道
己が招き、選んだ事
幼き、愚かしい
それがお前
それこ

もっとみる

祝杯

ああ、可愛い子よ
今日は何を語ろうか
お前が私に触れた時、
その血潮が語ったであろう
汚れのない小さな手で何を感じたのだろう
忘れた?
そう…お前は私を忘れた
だが、その手はちゃんと覚えている
私の冷たさも重さも
吸い尽くした臭いも
この身のすべてを預けた
ああ、私は覚えている
昨日のことのように何もかも
可愛い子よ
お前は私
だから、恐れるだろう
犯した過ちを
奪い取った愛を
さぁ、呑むがいい!

もっとみる

誓い

お前の過去は私にはどうだっていい

私が欲しいのは今のお前
そう。目の前にいる男
私に触りたい?
唇に触れたい?
あそこに入れたい?

それもいい
だが、本当にそれだけで私を呼んだわけじゃないだろう
寄ってくる女はいただろうに
わざわざこんな森の奥に来ることもあるまいに、
お前の役目はもう既に果たしただろう?
静かに私を眠らせておくね
お前に口つけてをされてから
ただ一途にお前と共に
お前の希望通

もっとみる
青龍

青龍

青龍は言った
 「私が恐いか?」
 と。
少し考え、
 「恐い。だが、あなたに触りたい。」 
 私は言った。続けて、
 「共に生きたい。」
 と。
 神鳴が唸った。
 「何故?」
 と。
 耳を塞ぎ、目を瞑り、私は叫んだ。
 「あなた無しでは生きられないから。あなたが豊かでないと困る。」
 強い風が吹いていた。
 「お前は私に与える物はあるか?」
鈍く光る眼でこちらを睨む。
 真っ向から風を受けよ

もっとみる