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withコロナ時代のスポーツ観戦idea

生粋の楽観主義者を自負している僕でさえ、連日連夜こんなニュースばかり目にしていたら正直ちょっと気が滅入る。

とは言いつつ、立ち止まっていても仕方がないので、経営者として今やるべきことは粛々とやりつつ、少しだけ先のことを考えてみようと思った。「迷った時ほど遠くを見よ」とは誰の言葉だったか忘れたけれど、スポーツの未来を見渡してみた。

今までのスポーツには戻らないかもしれないし、不確実性が更に増す未来に幾ばくかの畏れもあるけれど、それでも僕はポジティブにこれから起こり得る変化に適応して、進化し続けていきたいと思った。自分自身も、自分が引っ張る組織においても。


withコロナにおけるスポーツ観戦の前提条件

以下はJリーグがまとめた「スタジアム来場者に生じる感染リスクの理解」という内容だが、スポーツが行われるスタジアム・アリーナはいわゆる3密状態が非常に生まれやすい状況にあると言える。

・試合観戦は不特定多数の集団が集まるマスギャザリングにあたります
・人込みにおける不特定多数との遭遇・接触が起こります
・試合観戦中に濃厚接触状態が生じます

上記の理解を踏まえた上でJリーグでは、下記に該当する場合の来場自粛を呼びかけている。

・発熱、咳、倦怠感、咽頭痛などがみられる場合 ※入場時の体温チェックで37.5度を上回った場合、ご入場いただけません
・心臓、肺などに基礎疾患がある場合
・試合日の2週間以内に流行国への渡航歴がある場合。外務省から渡航中止勧告が出ている「レベル3」地域=たとえば中国湖北省=)など。

また、スタジアムにおける観戦予防策として以下を実施するとしている。

・入場時の濃厚接触を減らすための工夫(ゾーニングなど)
・入場時の混雑緩和のため、開場時間の繰り上げと、入場ゲート手前の新たな待機ゾーンの設置
・券種に基づいた規制退場による退場ゲートの混雑解消など
・サーモメーター等を利用したスタジアム入場時の体温チェック(37.5度以上)
・密集、密接の観戦環境を避けるために、通常の観客席とは異なる席割になる可能性があります

要するにwithコロナ時代において、これまでのような満員のスタジアム・アリーナで試合が行われる、という状況を作り出すことは限りなく難しくなりそうだ。

(こんなシーンが戻ってくるまでには残念ながらまだまだ時間が掛かりそう)


スポーツはインフラか?

些かの寂しさを感じる中で、こんなニュースが目に留まった。

プロレスのWWEが、フロリダ州オーランドにある訓練施設を使って試合の実況放送を再開した、と。

記事によると、フロリダ州知事によって定められた「必要不可欠なサービス」として、食料品店や病院、銀行、公共インフラなどとともにWWEの事業が認められたらしい。よく「スポーツをインフラのような存在にしたい」「スポーツは地域・社会のインフラになれる」とスポーツ関係者は口にするが、まさにそれが現実において形になった。

WWEは当局の指針に従って無観客試合を最小限の人員で放送し、選手やスタッフの健康を守る措置をさらに強化する方針だという。


withコロナ時代のスタジアム・アリーナ観戦

WWEのように選手・スタッフの安全を確保した上で無観客試合の実施をするというのは一案と言え、台湾プロ野球も無観客で開幕を迎えた。

新型コロナウイルスによる死者数が世界最多となってしまったアメリカでの調査によると、ワクチンが開発されなければ、これからはスポーツ観戦に行くことをためらうと大半の人が考えていることが明らかになった。あのスポーツ大国アメリカでさえ、だ。

勿論国や地域によって状況は異なるため一概には言えないが、このような世相を鑑みると、しばらくは無観客でのスポーツ開催となり、徐々に(それがウィルスの収束具合によるものか・ワクチンの開発状況か・抗体を持った人の数なのかは分からないが)ソーシャルディスタンスを保つため入場者数規制を行った上でのスタジアム・アリーナ観戦となりそうだ。

となれば必然的に、スタジアム・アリーナのキャパシティは低下し、これまでよりも来場者数は落ち込むこととなる。(もっともこれまで収容率が高かった試合であればだが)

でも、逆説的に考えるとその分1人1人に対してよりきめ細かいサービス提供をするチャンスになるかもしれない。これまでよりもリッチなUXを提供することで客単価向上に繋がる可能性もゼロでないし、スタジアム・アリーナ観戦でのネックとなっていた「トイレ事情」や「コンコースの混雑」といった点が解消され、これまでスタジアム・アリーナでの観戦を敬遠していた人たちを引き寄せられる可能性があるかもしれない。

いずれにせよ、スタジアム・アリーナ観戦はこれまでよりもVIPな体験となりそうだ。


withコロナ時代のリビングルーム観戦

ではVIP体験でない普通のスポーツ観戦の主戦場はどこになるのか。言うまでもなく自宅・リビングルームでの観戦だ。

満員のスタジアム・アリーナに行きづらくなることに寂しさはある一方で、妊婦さんや・高齢者の方・小さい子どもを持つ親・外出することが困難な障がいを持つ方などにとってリビングルームでの観戦体験が向上することはポジティブに働くかもしれない。

たとえば、イスラエルのスタートアップ「TetaVi」が提供するホログラムの技術により、新体操やフィギュアスケートといった競技の観戦が、リビングルームでまるで目の前で演技をしているかのような観戦体験になるかもしれない。

また、そもそも試合に臨むまでのアスリートたちの練習スタイルにも変化が見られれば(例えばオンライン練習・オンラインMTG・分散練習が主流になれば)移動のコストが逓減され、アスリートやスタッフにとっての可処分時間が増えることになる。

すると、オンラインを中心としたコンテンツの幅も増えるだろうし、今までは時間の都合で実現することが難しかった類のコンテンツも作れるようになるかもしれない。

The FA(イングランドサッカー協会)が実施していた #FootballsStayingHome 企画も面白かった。


NASCARが中止になったレースの代替として行った「FOX NASCAR iRACING」では、これまでテレビ中継されたあらゆるeSportsのなかでもっとも高い視聴者数をたたき出した。


アスリートたちはeスポーツのみならず、この期間趣向を凝らしたコンテンツを積極的に発信している。この流れは今後も進んでいくだろう。「時間があるから出来る」だけでなく、「アスリートとしての価値を最大化」していくためにこのようなコンテンツの発信は重要だからだ。

自らが発信するコンテンツだけでなく、ドキュメンタリーのように被写体となったアスリート自身がこの期間どのように毎日と向き合っているのか。特にTOKYO2020に絡むようなアスリートたちのこの期間を追ったドキュメンタリーは物凄く価値が出るだろうし、未来のアスリートたちの助けになるかもしれない。


冒頭に書いたように、正直言って不安もある。スポーツコンテンツの会社とプロサッカークラブの経営をしている身として、コロナショックによる影響をモロに受け始めているのは事実だし、先の見通しも立てづらい。

それでも…未来のことを考えて実行することは楽しいし、ピンチになったからこそ見える景色もある。変化を前向きに捉えて楽しみたいし、スポーツを未来へ繋いでいくための仕事をしたいと思う。

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