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オランダ在住 Edubleの三島さんオランダの教育と国民性を聞いてみた。

世界周遊42日目:アムステルダム

オランダではイエナプラン教育の学校にしか行くことができず、少し消化不良なところもあったのですが、
その分を補い余るほどのお話を実は現地で教育に携わっている日本人の方から聞かせていただきました。

その方というのが、
日本で英語教員をされた後、オランダに移住しオランダの教育を日本についたえたり現地の学校教育に携わったりしているEdubleの三島さんです。

※三島さんはnoteでも多くの記事を出されているので、オランダの教育について詳しく学ばれたい方はぜひ『三島菜央<🇳🇱オランダ在住/元高等学校教諭>』さんの記事を読み漁ってみてください。

今回はオランダ教育とオランダ人の国民性についてたくさん聞いた貴重なお話の中から、僕が特に関心を抱いた内容をまとめていきたいと思います。

🔶初等教育と中等教育の役割の違い


これまでの国(スウェーデン、フィンランド)を見ていても、中等教育(中学・高校相当)の学校で非認知能力、特にソーシャルスキルやエモーショナルスキルを学ぶ学校は少なかったです。
そして、オランダでも非認知能力は初等教育時に学び、中等教育ではより知識やスキルなどコンピテンシーを育んでいるようでした。

もちろん中等教育でもいじめや喧嘩などのハプニングが起きた際は非認知能力を育むチャンスと捉えて対応したり、
普段の授業の中でもディスカッションやグループワークなどでソーシャルスキルやエモーショナルスキルを育むそうです。

しかし、初等教育で自分の行動コントロールや他者とうまく付き合う方法を学んでいることで深刻な問題や複雑化した問題には発展しにくいようです。

🔶Peaceful Schools、ソーシャルスキルとエモーショナルスキルを学ぶ


オランダの初等教育学校の60%が取り入れているプログラムの一つにPeaceful Schoolsというものがあるそうです。
そのプログラム内では、相手と自分を理解しようとすることを学ぶそうです。

例えば「ペンをいきなり友達から奪い取った子どもがいます。その時、両者はどのような心境だったでしょう。また、どのような行動を取ればよかったでしょう。」といったケーススタディを行うそうです。

ペンを取られた子は驚き、悲しさ、悔しさ、恐怖を感じたかもしれません。
奪い取った子は焦り、怒り、優越感を感じたかもしれません。もしかしたら何かむしゃくしゃする理由があったのかもしれません。

借りる前に一言声をかければよかったかもしれません。
どんな言葉が良いか考えたり、どんな受け答えが良いか考えます。

片方の子どもがもし、耳が聞こえなかったらどうでしょう?
言葉を発せない子だったら?目が見えづらい子だったら?
顔の表情やジェスチャー、行動は何が適切でしょう。

様々なシチュエーションで様々な人の気持ちに触れることで相手を理解しようとするスキルを学びます。
またその過程で
自分はどう感じるのか、相手に自分の感情をぶつけたらどうなるのかを学びます。

このようなプログラムを早ければ4,5歳くらいから始めます。
これにより、他者とより良くコミュニケーションを取る方法を授業内で学び
自分の感情に関わらず行動をコントロールする力を身につけるそうです。

🔶相手に自分の思いをできるだけ明確に伝えること、相手の言葉を言葉通りに過不足なく受け取ること


エリン・メイヤーさんの著書「異文化理解力」によると
オランダは他の国と比べるとコンテキストで相手の気持ちや考えを読み取ることをあまりしないという国民性を持っています。

日本人からすると「ストレートすぎる」「冷たい」「怖い」「なんでそんなこと言うの!?」とびっくりすることが多いそうです。

それだけ具体的で明確なコミュニケーション方法を好み、
意見を感情と切り離して考えているんだそうです。

これは別の方の体験談ですが、例え話として
オランダ人の家庭にお邪魔した時
「そろそろ夕飯の支度をするから帰って頂戴。」と言われたそうです。

日本人が言われたら
「え?なんかやらかしたか?嫌われたのか?怒らせたか?」など、色々考えてしまいそうですよね。

ですが、オランダ人の言葉には背景に何も意味がなく
言葉通りの意味しかないんだそうです。

つまり、
「(もう一緒にいるの飽きたな、、帰ってほしいな、、)そろそろ夕飯の支度をするから帰って頂戴。」
ではなく、夕飯の支度をするために帰ってほしいんだそうです。笑

これは、明確で迅速なコミュニケーションを取るためにオランダ人が昔から育んできた国民性なんだそうです。

彼らは学校教育内で
「相手に自分の思いをできるだけ明確に伝えること、相手の言葉を言葉通りに過不足なく受け取ること」を学ぶんだそうです。

日本人の相手の心を慮るコミュニケーション方法はとても素敵だと思いますが、たまに腹の中の読み合いになり泥沼化する時がありますよね。笑
その結果お互いにギクシャクしたり問題が複雑化してしまったり
そういうことがないというのは楽でいいなと感じたりもします。
(特にディスカッションをするときは必要なスキルだと思いました。)

🔶学校一つ一つが持つ個性とビジョン


「オランダの学校はどこもオルタナティブ教育みたいなもの」なんだそうです。
それはそれぞれの学校が各々で特色を持っているからなんです。

各学校には学校独自の授業時間があり、
その授業内で何を学ぶかは学校が決めていいんだそうです。
それはつまり、各学校が子どもたちに何を身につけてほしいのか(つまりビジョン)を明確にしそのための授業を展開しなければいけないということです。

保護者は子どもをどの学校に通わせるか決める際に、
その学校のビジョンや考え方をホームページで調べ、それをもとに子どもと話し合いながら学校を決めます。

子どもたちにとって今の時代に何が必要なのかを学校ごとに考え、
そのビジョンに沿った学校運営を行う
この意識が管理職や先生方により良い教育とは何かを本気で考えるきっかけになるんだと思います。

そして、スタッフ全員が同じ目的(学校のビジョン)に向けてどうすればより効果的な成果を出せるかを議論することで、
より良い教育が生まれていくんだそうです。

🔶子どもの幸福度が高いのは大人が幸せだから


オランダは子どもの幸福度が高いことでも有名です。
確かにオランダの子どもたちはとても活気に溢れていて幸せそうでした。(今回は子どもたちにお話を聞けなかったので主観ですが笑)

そんな子どもたちの幸福度は何に支えられているのかと聞いたところ
それは「大人が自分を幸せにする方法を知っており、まず自分を幸せにしているから」だそうです。

オランダではことあるごとに子どもに選択肢を提示し、選ばせます。
学校の種類も多くカリキュラムも選択肢が多いです。
体育の授業内では「参加するor参加しない」という選択肢があるそうです。

その積み重ねが自分の好みや性格を知るトレーニングになり
自分は何をしている時に幸せを感じるのか、
何が嫌いなのか理解するようになります。
そして自分の幸せをまずは大事にするそうです。

オランダ人の性格として
「6点でいい」というものがあるそうです。
10点満点じゃなくても6点で十分幸せだし、満たされるんだそうです。

より便利に、より多くを、より幸せに、
と無闇に幸せのハードルを高く設定しないのかもしれません。

そんな性格も相まって
オランダの人は大人がまずは幸せなんだそうです。

そして幸せになると心に余裕が生まれます。
大人が幸せそうで、心に余裕があると子どももそれに従って落ち着いてくるんだそうです。

ゆっくりと何が自分にとって幸せなのかを選ぶことができ、
合わないと感じたら人の目を気にせずに辞めて、また次のことを始められる。
そんな環境が子どもたちの幸福につながるのかもしれません。

🔶まとめ 大人(教員や保護者)の働き方を変える


さて、ここまで書くとオランダの社会って最高なの!?
と感じてしまいますが、
もちろん合う合わない、メリットデメリットがあると思います。

日本の教育にもオランダの良いところを取り入れていければと思うのですが、社会が持つ価値観や考え方に影響してくる部分が多いのでそう簡単に変えられるとも思いません。

ただ、今回のオランダ訪問で感じたのは
「日本は高いレベルを基準にしてしまったせいで少し疲れちゃってるかな」ということです。

より便利に、綺麗に、完璧に、お客さま第一で
その精神は素晴らしいですが、反面で強いストレスを伴っているように感じます。

まずは
「8点だっていいじゃないか、人間だもの」
と思うことから始められるといいのかもしれません。


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