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コンクリートの臭いって嗅いだことある?の巻📚

【まえがき】
 
遠い昔の出来事を何かのキーワードで思い起こすことがある。

死ぬ間際に走馬灯のように記憶が蘇ると言われているそれとは違ったものもある。
 
 
 【本 編】
 
この物語は、中学生の頃に遡る。
今この記憶が蘇ると言う事は、記憶の奥底に刻まれるすごいインパクトがあったからであろう。
 
中学では、クラブ活動としてバスケットボールを始めた。
見ての通り高身長で、運動神経バツグンと言うわけではない。

OBのヤン掛かった先輩が毎日やって来る。
玉拾いにランニング。
毎日のシゴキにやつれていった。
当時は、もやしっ子でガリガリであった。
今では、想像もつくまい。
いつかはレギュラーをと頑張るも断念する。
 

そして、一番したい事をと立ち上がったのです。
暇にしている二人の友を誘い帰宅部を設立。
当時、帰宅クラブと称し、
仲良し3人組で野池にブラックバス(BB)をやっつけに向かう日々であった。

そう、私は自称ルアーマンであった。
当時は、漫画の釣りキチ三平に憧れていた。
 
平日はもちろんのこと休日でも時間があれば集合をかけ愛車のブリジストン自転車(ロードマン)の荷台にタックルボックス(釣り道具を入れる箱)を縛り付け、ロッドはシート下に添わせ釣行。
 
詳しくは、こちらから↓
ブリヂストン自転車:ロードマン(27インチのドロップハンドルL字補助レバーのシャリンコ)
http://cyclotourist.web.fc2.com/special_75.html
 
お揃いで色違い。
私の愛車の色は、ブルーであった。
 
愛車での釣行時はいつも当時流行りのウォークマン(カセット式)でお気に入りの音楽を聴きながら野池に向かっていた。

SONYは高かったのでAIWAのだったかな。
もちろんオートリバース機能付き、カセットテープはTDKハイポジメタルがお気に入りであった。
爪は折って、誤消去防止対策済みである。
その時によく聴いていたのは、
ビリージョエル、シンディーローバー、デヴィドボーイ、フットルースのサントラなどでした。
今でも流れているのを耳にすると、懐かしい感じに包まれる。
 
お年玉を貯めては、釣り道具を揃えていく。
当時も結構高額であったように思う。
 
ルアーは消耗品である。
池底や枝に持っていかれる事は数知れず。
一つ当時でも千円前後した。
お気に入りはラパラのバルサで作られたミノータイプのシンキング。
 
私はそれに似せてルアーも自作しロストに備えた。
コストダウンでもあるが、自作ルアーで釣り上げるのは気分も上昇、イエーイである。
自作ルアーで釣り上げるのは、魚との知恵比べに優った証?と誇らしかった。

今でもフライ(鳥の羽で作った擬似餌)を巻いて楽しんでいるが、中学の頃からやっていたのであった。
 
たくさん釣り上げた私の手からは、魚臭がしておりました。
そしてポイントは、お父さん指の腹。
親指のことね。
ただ臭いだけでなく親指の腹にBBの歯が擦れた引っ掻き傷(サンドペーパーで擦った粗目)になっているのです。
これが、釣り上げた証になるのです。
それはルアーマンの勲章でもある。
他人の釣り上げたBBを掴みまくったのではないですよ。
ホンマに!
 
そんなある日、事件は突然に!
牙をむいて襲いかかってきたのである。
 
その日もいつものように?
BBをやっつけ、どや顔での帰り道のことである。
スピードを出す時は愛車のドロップハンドルを握り締めロードレサー風で走行する。

しかし、寛ぎモードではストレートバーにあるL字補助レバーに指をかけ姿勢を起こした状態で走行する。
その時、私の右手には缶コーラー、左手はハンドルを握り締め本日の健闘話に花を咲かせながら愛車を進めていた。

緩やかな下り坂に差し掛かった。
その道はT字路になっており、突き当りとなる場所にはブロックに凸凹の吹き付け塗装された壁であった。
なにやらその壁が私にグイグイ近づいてくる。
L字補助レバーでブレーキを掛けようと力いっぱい握り締める。
っが、ドンドン壁が私に近づいてくる。
 
ガシャ〜ン!

それはスローモーションのように顔面からそのザラついた吹き付け塗装の壁とキスすることとなる。

『 あ``っ~! 』

堪えきれなくなって、漏れる喘ぎ声。
壁とのファーストキッス。
もっと、優しくして欲しかった。
 
何を思ったのか。
『 顔面セーフやろう! 』
って、叫んでいた。
別にセーフでもアウトでもどちらでもいいのだか、意気込んでいた。

なんだか、粉っぽい臭いが鼻にまとわり付いている。
これは、いったい、なんなんだ!
考える間もなく、今度は痛みが身体を包み込む。
痛っ〜い、何すんの〜。
 
愛車のロードマンに縛り付けられていたタックルボックスはもちろんのこと私自身も投げ出され横たわっていた。
 
駆け寄る友2人。

『 大丈夫かっ! 』

この状況で大丈夫なわけがない。
しかし、渾身の力を振り絞り、

『 頼む!このコーラー持っといてくれるか! 』

って、自身の身体よりも大事な釣り道具よりもコーラーを優先していた。
きっと、動揺していたのであろう。
立ち上がった私は、すかさず 

『 コーラーくれるか 』 と一気に飲み干した。
 
真顔になり友に問いかける。
顔面に強い衝撃を受けた際に、

『 なんかコンクリートの臭いすることってないか? 』

と聞くと、皆も頭を強くぶつけた時にそんなことがあったと言った。
お前もそうか。そうなんか。
友と共感し同調することができた瞬間であった。
 
愛車のロードマンに目を向けた。
そこに見たものは!

なっ、なんと。
愛車ロードマンの前脚が内股に曲がっていた!
このままでは、走れない。帰れない。

身体の怪我は時間が経てば治るが、愛車は時間が経っても直らない。
私は友に協力を求め、その前脚を掴み渾身のハンドパワーで引っ張り出す。
何とか車輪が回る程度まで引き出すことに成功。
応急処置を行い、家路へと向かうもいつもよりスピード抑えながら重いペダルをこいでゆく。
 
沈みゆく夕日の向こう側からカラスの鳴き声が聞こえる。
どこかで見たような光景。
 
う~む。
なんだかタイムボカンシリーズ ヤッターマンのエンディングのようである。
これもドクロベェ~様のお仕置きなのか。
ってことは、俺は何役なんだろう。
トンズラ?
ボヤッキー?
まっ、どっちでもええか。
 
豚もおだてりゃ木に登る。
ポチッとな!
 
 
おしまい

by まるまるの虫 カメさん

 
 
【あとがき】
 
皆さんもございませんか。
頭を強くぶつけた際に粉っぽい臭いを感じたこと。
臭いって記憶に残るんですよね。
良い香りだともっと幸せな気分になれただろうに。
 
記憶を呼び起こすキーワードは、人によって異なると思いますが、当時と似た場面に遭遇したり、その時に聞いた音、流れていた音楽、香りだったりするんですよ。
それが引き金になり、遠い昔のことを思い起こす。
覚えているはずもないような幼少期の頃のことが、夢か誠かのように。
何かしら、懐かしさを覚えたことってことないでしょうか。
人によっては、お母さんのお腹の中でのことも覚えてるって。
それはないでしょう。
SF映画の見過ぎとちゃいまっか。
 
人生初のことであったり、記念日、入院する程の大ケガ、家族や大切な人との別れなど、楽しいこと、悲しいことが自分でも気付かないうちに記憶に刻まれている。

思い出したくないような出来事は、記憶の奥底に仕舞い込まれていたりします。
案外覚えておこうとする事は、直ぐに忘れちゃっていることが多いんですけどね。

不思議なことに自身の記憶なのに残す、残さないの操作ができないのですよ。
 
こんな溜め込んだ記憶が死ぬ間際には走馬灯のように再生されるのかもしれない。
そして、この世の去り際で人生を振り返り幸せであったと思えれば最高じゃないですか。

そうでなかった場合は、課金してリセットして下さい。
間に合えば、良いのですが。
 
記憶はその時の良くも悪くも光景や感情が刻まれるのもで、決して良い事ばかりではありませんよね。
しかし良いも悪くも記憶は塗り替えられ、少しずつ良いとこ取りされ美化されるもの。
あまり悪い記憶に執着してしまうと過去にとらわれてしまうことになります。
 
私もいろんな経験をしてきました。
当然、良い事ばかりでなく、どちらかというと良くないことの方が多いですね。
学習できず、同じ失敗を繰り返いているように思える。
失敗は成功のもと。 成功は99パーセントの失敗に支えられる、同じ失敗をするな。
と言われていますが、中々実践できていない。
 
思い出は過ぎ去った過去の話になります。
幸せな記憶を永遠に刻み続けるってことは可能なのかな。
 
これからも色々経験し積み重ねられてゆく記憶。
それが人生の軌跡となるのですね。
なんか最後に大層な話になってますけど。

ええのんかな~。
タイトルとのギャップに萌え~。
って、なんでやねん。

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