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いちおうフィクションです。

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#ホラー小説

短編小説「父を埋める相談」

短編小説「父を埋める相談」

図書館に行き、川上弘美さんのコーナーの前で、彼女の本をパラパラとめくっていると、母からラインがあった。

「お父さん殺しちゃったの、どうにかして隠したいのだけど、どこに埋めたらいいと思う?」

突然、そんなことをラインされても、息子としては困る。

「本当に?」

ぼくはラインを返した。

すぐさま、母からラインが返ってきた。

「本当よ、お父さん埋めるの手伝ってくれない?」

どうしたものか、ぼ

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死んでもそれは生えて来る

週末は雨が降っていた。
湿気が多いと、途端に私の体の具合は悪くなる。体のどこもかしこもが重くて怠い。
きっと私がイギリスに住んだら、始終雨が降り続くといわれる彼の地で、私は早々に発狂することだろう。

週末に私はなんとか風呂には入ったが、髭を剃る気力はわかなかった。

月曜日になり、仕事に行く為に仕方なく、髭を剃らねばならない。朝起きて、ただでさえ不気味で醜い己の顔を見るのに気が滅入るというのに。

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