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ご存じですか?スポーツと栄養の関係(スポーツとDSM 1)

日本代表選手の活躍に沸いた東京オリパラも終わり、気が付けば街は秋の気配。見るスポーツから、するスポーツへ。もうすぐスポーツの秋ですね。

オリンピックでは、もちろん日本代表の皆さんの大活躍にも感動しましたが、私たちDSM社内では自転車競技(ロード・トラック)でも大盛り上がりでした。というのも、DSMがメインスポンサーを務めるヨーロッパのプロ自転車チーム「Team DSM」の所属選手たちが、各国代表として競技に参加していたからです。

例えば女子団体パシュート(追い抜き)では、Team DSMのMegan Jastrab選手がアメリカ代表として見事銅メダルを獲得しました!まだ19歳のメダリスト。Meganさん、おめでとう!

さて、DSMはメインスポンサーとして、Team DSMに対して「栄養」や「日焼け止め」、「高機能材料を使ったユニフォームやギア」など、自社の持つ最先端のサイエンスを活かしたサポートを行っています。

長くなりそうなので2回に分けて。今回は「栄養」と「日焼け止め」についてご紹介したいと思います。

そもそもスポーツ栄養ってなに?

日本スポーツ栄養協会が運営されているスポーツ栄養Webでは、スポーツ栄養について次のように紹介されています。

パフォーマンスを最大限に上げるために、「何を、いつ、どれだけ、どのように摂取するか」。スポーツ栄養学は、運動やスポーツにより身体活動量が多い人に対して必要な栄養学的理論・知識・スキルを体系化したものです。

スポーツ栄養の世界では、アスリートとしての身体を作り、コンディションをベストに保つために、たんぱく質や脂質、糖質の主要栄養素に加え、ビタミンやミネラルなど多くの微量栄養素についても綿密に計算、コントロールします。

例えば、アスリートは多くのエネルギーを消費しますが、糖質や脂質を分解してエネルギーを産生するためにはビタミンB群が欠かせません。筋肉細胞形成にはビタミンDが、全身の体づくりにはDHA等のオメガ3脂肪酸も重要な役割を担います。また、疲労の蓄積やパフォーマンスの低下につながる活性酸素の増えすぎは、ビタミンCやビタミンE、ルテインなどのカロテノイド類といった抗酸化物質が防いでいます。

また、アスリートは体が丈夫で健康そうなイメージがありますが、実は身体を酷使するために免疫力が低下しやすく、むしろ一般人よりも風邪を引きやすいという報告(*1)もあります。免疫機能を健康に維持するためにはビタミンDやC、オメガ3やプロバイオティクス(善玉菌)などが欠かせません。

そのため「バランスの良い食事」が必要になるわけですが、アスリートが必要とするエネルギー量は常人のそれとは比較になりません。食事からとれる量には限界がありますし、付随する塩分や脂質の摂り過ぎも気になります。また、大会に向けてコンディションを整えるために、栄養素の調整も必要です。そういった部分は食事に加えて、サプリメント(栄養補助食品)で補う必要があります。

スポーツ栄養の世界が先進的である一つの理由は、大会本番に向けてパフォーマンスを最高に持っていくために、「何を、いつ、どれだけ、どのように摂取するか」という点を追求していることだと思います。つまり、個々の選手の状態をきちんと把握して、その時々に必要な栄養をデザインし、摂取する「個別化栄養」を突き詰めているのです。

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Team DSM Twitterより

最先端サイエンスにより「個別化栄養」を提供

私たちDSMは、Team DSMに対して「個別化栄養」の分野でも積極的なサポートをしています。

その1つが、今年5月にイタリアで行われた "Giro d'Italia 2021" から導入したデジタルプラットフォーム。3週間のグランドツアーの間、Team DSMの専属栄養士が選手の血中栄養素濃度をより簡単・迅速に計測、モニターし、必要なときに、必要な栄養素を、必要なだけ摂取することを可能にしました。

この栄養状態のモニタリングと個別化栄養の実現も、もちろんDSMが有するビタミン全13種類(世界でDSMだけです)をはじめとする幅広い微量栄養素の製品群と科学的知見に支えられています。

具体的には、ドーピング防止のために厳しい摂取制限があるプロアスリートに対して、プロテインよりも分子量が少なく吸収スピードが速いオリゴペプチドの「Peptopro ®」、筋肉や血管などに効果的な藻由来のDHA「life's DHA ®」、血流に作用するトマトエキス「Fruitflow ®」、免疫の維持に貢献するプロバイオティクス「BIOCARE」や、屋外での太陽光から目を守るルテイン「FloraGLO ®」とゼアキサンチン「OPTISHARP ®」などをサプリメントとして提供しています。また、SANAS社と共同で自転車競技に最適な栄養補給ゼリーやドリンクも開発しました。

近い将来、私たちにも個別化栄養が

この「個別化栄養」の重要性は、アスリートに限った話ではありません。私たちはそれぞれライフスタイルやライフステージ、心身の状態も異なりますし、その時どのような栄養素が必要なのかも違います。そもそも、私たちの食習慣も人によってさまざま、極めて多様化しています。

これまではなかなか実現できませんでしたが、近年のテクノロジーの進化で、個人の栄養状態を簡単に把握したり、必要な栄養素を示してくれるようなデバイスも登場してきました。こういったヘルステックやフードテックと呼ばれる分野がさらに進化していけば、アスリートにとってのスポーツ栄養士のように、ウェアラブルデバイスが「その時のあなたに最適な栄養」を示してくれるという日常が、そう遠くない未来に待っていそうです。

DSMもこの分野に注力していて、これまでも買収・投資・パートナーシップという形で「個別化栄養」の実現に必要な技術やサービスを持つ企業とのつながりを広げてきました。これをベースに、今年4月に約1億ドルの投資費用を準備、それらの製品や技術、プラットフォームを統合して「個別化栄養」 サービスを提供するスタートアップHologram Science社を設立しました。AIにより、個人の行動や健康状態、食事パターン等を分析し、各人の状況に合わせた栄養指導や製品提案を行うサービスを、アメリカを皮切りに展開していきます。

日焼け止めも(意外に)大切

最後に、アスリートと日焼け止めについてもご紹介します。

DSMでは、以前なでしこ2部の女子サッカーチーム、スフィーダ世田谷FCさんに製品のテストマーケティングにご協力いただいたことがありました。その際、日焼け止めの準備が大変!というお話を伺いました。費用がかかるだけではなく、スポーツをする際の使用感の悪さや、汗で流れてしまう問題など、アスリートならではのご苦労をされているということでした。

そういった経緯もあり、DSMではアスリートの悩みに最適な日焼け止め製剤 "Millenials SPF 30" を2019年に開発しました。スポーツ時の問題を踏まえて、通気性、保護性、耐汗性、皮膚への広がりなどを向上させています。これを更にカスタマイズしたものを、Team DSMにも提供しています。

次回:最先端素材でのスポーツへの貢献


このように、私たちはDSMの最先端技術を、いかにTeam DSMのライダーたちのパフォーマンス向上に役立てられるかということを念頭にサポートを続けています。次回はDSMのもう1つの事業領域、マテリアルサイエンス分野での貢献をご紹介します。

*1 Med Sci Sports Exerc. 2007 ;39:577-86


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