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水曜日のひだまり

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自由を求めて居場所を変えた先は、それまでよりも自由がない場所だった。その時出会った、デッサンを教える非常勤講師のおじいさん先生との陽だまりのような水曜日。
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記事一覧

水曜日のひだまり 強いまなざし

描くためにはよく見ること。そう教わった。抽象画とかって話になるとまた違うけど、絵を描き始…

cheka
2年前
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水曜日のひだまり 着物

何でだったか覚えていないが、先生に絵手紙を送ったことがあった。その頃、墨を使って絵や文字…

cheka
3年前
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水曜日のひだまり 井の中のバー

前回に登場した先生の絵描き友達のKさんとは、個展にお邪魔してから数回ご一緒した。三人での…

cheka
3年前
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水曜日のひだまり 無から教わる自由

水曜日の授業が終わると、テキパキと片付けて先生と大学を後にする。行く先は先生の古い友人の…

cheka
3年前
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水曜日のひだまり 青い怒り

『芸術というものは美しく、心地の良いものではない。』 と、小林秀雄は何かに書いていた。 私…

cheka
3年前
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水曜日のひだまり 昭和のなごり

先生の元には、美術館から次の展覧会のオープニングパーティーの招待状が届く。私が助手に就い…

cheka
3年前
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水曜日のひだまり 侍

夏休みの宿題に先生が出す課題に、奉書巻紙にストーリー性のある絵を描く…というものがあった。私も先生も提出されたその課題を見るのを楽しみしていた。奉書巻紙は、それをクルクルとほどき見る行為が更にワクワクさせた。 先生は若い才能に嫉妬することはもう、とうの昔からないようだった。 「これ、おもしろいわ。」 そう言って差し出したのは、いつも少し斜交いに教室の端にいる学生の作品だった。ちょっと尖ったようにも見えるが真面目だった。 どれどれ…拝見と巻紙を広げていく。 一人の侍が立っている

水曜日のひだまり また一から

水曜日は時間すらゆっくりと進んでいるかのようだった。 デッサンは自分との対話だから、周り…

cheka
4年前
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水曜日のひだまり Vol.3 先生と数字

いつも先生の質問にはドキリとさせられた。素直に答えてその答えをどうとるんだろう…?そう思…

cheka
4年前
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水曜日のひだまり vol.2 見ること

いつもは3階の息が詰まりそうな研究室にいるが、水曜日は朝から5階にいる。空が開けて、それだ…

cheka
4年前
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水曜日のひだまり vol.1

大学で助手…なんてことをしていた時が3年ほどある。父が倒れる数年前の年までだ。私が主につ…

cheka
4年前
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