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ロンドン、10年間で交通量10%減少 代わりに自転車が台頭

イギリスの首都ロンドンは、世界で最も渋滞する都市の1つにランクされることがある。人口も増え続け、直近の集計では880万人、2030年には940万人と予想されており、ロンドンの交通システムに対する圧力は高まる一方だ。

しかし、イギリス運輸省が発表したデータは、少し異なる様相を示した。過去10年間で、ロンドンの交通量は10%減少したのだ。

例えば、ウェストミンスターではこの10年間で交通量が28%、カムデンでは21%も減少した。新型コロナウイルス感染症の流行により、過去2年間のデータが歪んではいるが、この交通量の減少が、単なる閉鎖的な傾向ではないことを示す別の兆候がある。

2022年に入り、ロンドンで最も交通量の多い道路でも、パンデミック前と比較して6%減少しているのだ。ロンドンは徐々に変貌を遂げつつある。

ロンドンの渋滞税は「成功」
ウォーキングとサイクリングの慈善団体サストランス(Sustrans)のシニアポリシーオフィサーのオリー・モア(Ollie More)氏は、この最新統計結果を「本当に心強い」と評価する。モア氏によると、ゆっくりと車離れ進んでいる大きな要因の1つと言えるのが、ロンドンでの3つの道路課徴金制度だという。

ロンドンでは、シンガポールに続いて2003年に初めて渋滞税が導入された。これは、電気自動車を除くほとんどの車両は、ピーク時に市街地を走行する際、15ポンドの料金を支払わなければならないというシンプルなものだ。モア氏は、この計画は「成功」しているという。

また2008年には、配送車などの大型商用車に適用される低排出ガスゾーンが登場した。その後2019年、大気汚染対策として超低排出ガスゾーン(「ULEZ」)が導入されると、汚染ガイドラインを満たさない車は、市内の特定地域を走行する際に料金を支払わなければならなくなったのだ。

2023年8月29日からは、この「ULEZ」がグレーターロンドン全域に拡大される。ロンドンが採用したこの「低排出ガスゾーン」のコンセプトは、ヨーロッパ全土にも広がり、現在、欧州大陸には320の低排出ガスゾーンが存在する。

交通改善計画協議会(Campaign for Better Transport)で政策・研究ディレクターを務めるシルヴィア・バレット(Silviya Barrett)氏は、「ULEZ」がロンドン市内での自動車利用を減らす役割を果たした可能性があるという。

「ロンドン交通局の推計では、ロンドン市内に「ULEZ」が拡大してから6カ月後、同区域内を走る車両は平均して2万1000台減少し、交通量の2%削減につながった」と彼女は言う。

運輸省のデータによると、「ULEZ」が導入された2019年以降、ロンドン全域の交通量は11%減少している。ケンジントン&チェルシーでは15%、シティ・オブ・ロンドンでは17%、ハマースミス&フラムでは15%、交通流量の減少が見られる。

ロンドンではサイクリングが盛ん
車が減少しているなら、人々はどのように移動しているのか。ロンドンで過去10年間に急増した交通手段のひとつが自転車だ。

2011年から2021年の間に、ロンドンでの自転車の交通量は66%増加した。新たなサイクリングインフラへの投資により、街でのサイクリングは人々により身近になり、質の高いサイクリングルートから400メートル以内に住む人の数も2019年からほぼ倍増している。

「確かに、人々はより快適かつ安全に感じるようになったと思う」とモア氏は語る。「自転車利用者のための設計されたルートがあると知れば、自転車での移動にも自信が持てる。」

ロンドンで2012年に導入された自転車レンタル制度も、サイクリングを後押ししている。サンタンダー・サイクルは2021年に1094万1264台貸し出され、このレンタル制度の利用率もこの10年間で53%増加した。街中に12,000台の自転車がドッキングしており、欧州最大の自転車レンタルスキームとなっている。

次なるロンドンの交通革命は?
モア氏は、さらなる進展も期待できると考える。「5人に1人は、ロンドンのサイクルネットワークから近い距離に住んでいる」と彼は言う。しかし、「それは裏を返せば、もし5人に1人しか安全な自動車走行道路のすぐ近くに住んでいない、ということだ。そう考えれば、自転車専用道路には膨大な投資が必要だ。」

バレット氏は、ロードプライシングの取り組みにも変化が必要だと言う。「来年は渋滞料金の導入から20周年にあたる。ロンドンが行うべき次なる論理的ステップは、運転に応じた支払い方式を導入することだ。つまり、運転を控える人ほど支払いが少なくなるようにしなければならない。」

バレット氏は、都市における交通手段の変革は、気候変動に取り組む上で重要な要素だと言う。「2030年までにロンドンでネットゼロを達成するには、自動車の走行距離を2018年比で少なくとも27%削減する必要がある」と彼女は言う。

ヨーロッパの都市におけるグリーン交通
他の欧州都市はどのような取り組みをしているのだろうか。バレット氏は、ロンドンでのこうした交通手段の移行の実績が、他の都市にとって参考になると言う。

「アントワープ、ウィーン、ヘルシンキ、ハノーバー、ミラノでは、デジタルを活用して複数の交通手段を使った移動経路プランナーの利用が始まっている。それぞれの旅程に合わせた交通手段をデジタルでリストアップし、時に相互に組み合わせながら、人々に車を使わないドアツードアでの移動を支援している」と、彼女は言う。

「ドイツとオーストリアも、国内のあらゆる公共交通機関で使える年間パス『Klimatiket(気候変動チケット)』がある。」

(引用元)https://www.euronews.com/green/2022/12/17/transport-for-london-how-one-of-the-worlds-most-congested-cities-is-keeping-cars-out

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