見出し画像

ストーリー上の事件を設定するために必要な、3種3段階のツール③ 影響編

物語を描くことは、主人公たちの遭遇する事件を描くことと同義である。
だが、この事件を考えるというのはいつも簡単とは限らない。作者も人間である以上、想像力には限界がある。

そこで役に立つのが、確率・影響・距離の評価軸3種である。

※参考:ストーリー上の事件を設定するために必要な、3種3段階のツール① 概要編
https://note.com/kawausowright/n/n85f94f2b6a3d

影響とは、すなわち事件の影響度のことである。
これは、それぞれ以下のように考えることが可能だ。

・事件が主人公へ及ぼす影響
・事件が主人公以外のキャラクターへ及ぼす影響
これらについて、小中大、あるいは無の4つ

この評価基準を適応することで、事件の影響力、つまり重要さが明確になるのみならず、影響を受けるキャラクターたちの立ち位置や必要性といったものすら、把握することが可能になる。

例えば、

ある想い人と恋仲になった主人公。今日はその人と初めて一緒に登校する日だが、あと数時間で地球に隕石が落下することが判明するーー

このような事件の場合、隕石落下の影響度は、主人公にとってもちろん大である。そして、一緒に登校する約束をした想い人にとっても、当然大きいものとなる。
それぞれ、生活どころか人生が終わるのだから当然だ。

しかし例えば、破滅主義者にとってはどうだろうか。
その人物は常日頃から、地球が滅亡するものだと思っていて、今回の出来事を当たり前のように受け入れている。
そういったキャラクターがいるのなら、隕石落下の影響度は小と言える。

さらに、はるか彼方の惑星「マズフ」に住む「ボリロンF」という名の異星人はどうだろうか?
彼は来る日も来る日もその惑星の山で燃料を拾い、現生種であるサンドワームを狩猟して生きている。
そんなキャラクターがいたとすれば、地球に隕石が落下することの影響度はゼロに等しい。即ち無だ。

このように、事件による各キャラクターの影響度を見ていくと、そのキャラクターの立場のみならず、物語のどこで登場させるべきなのか、そもそも登場させていいのか、ということがわかってくる。

つまり、上の例で言えば、主人公はマストとしても、その想い人も当然マストである。
そしてこの2人は少なくとも、事件を解決する方向で動かなければならず、つまり事件が起こる前に登場していなければならない。

しかし、破滅主義者はどうだろうか。彼はこの隕石落下という事件において、メリットすら受ける者だ。
ならば、彼は隕石落下を阻止する人々……つまり、主人公たちの前に立ちふさがるかもしれない。
それどころか、隕石が落下してしまい何もかもが壊れた地球において、奇跡的に生き残り、神に嘆くサバイバーとなる可能性もある。
そしてボリロンFなどという謎の異星人は、隕石落下には何ら影響を受けないし、関わりもない。
ならば、この物語に出す必要は全くないのである。
もし登場させたいのなら、実は宇宙の覇者となる運命を持つ主人公を抹殺するために作戦を実行した、惑星「マズフ」の兵士だった……と続編で明かすしかない。

このように、キャラクターたちの立ち位置や、その出現意義や位置というものをはっきりさせるために、事件の影響度というものは必要なのだ。
これは無小中大と4段階あるもので、主人公のみならず出す予定のキャラクター全てについて、考えるべきである。

●②「確率」編
 https://note.com/kawausowright/n/n39b270e3fb3b

●④「距離」編
 近日公開

※このテーマに関する、御意見・ご感想はなんなりとどうぞ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?