見た人が真似したくなる創作を

　「模倣」は夢と希望だ。

　創作とは、見た人の心を動かす事物だ。
　だからそれは、見た人に行動を起こさせることができる。
　その最も崇高なものが、「創作の連鎖」だ。

　創作の連鎖とは、創作を見た者が創作を模倣したくなることである。これはとても大切なことだ。創作は、作者の心の内を表現するものと言われるが、そればかりではない。他人の心の内を表現させることもできる。
　このように、創作が創作を呼ぶことは、創作というものの歴史、そして創作という事象の発展において欠かせない現象である。

　模写や二次創作やリスペクトやオマージュやパロディなど、世の中には創作の模倣を元にした創作が溢れかえっている。このことは、私たちの持つクリエイティブに対する能力を物語っている。私たちは、創作的なものを見聞きしたときに、クリエイティビティを刺激されるということだ。

　だから、私たち人間に固有のクリエイティブな作業というのは、他の創作が必要であるということだ。
　それらが形作ってきた歴史や方式などだけではなく、それらを見聞きしたことによる、私たちの心の動き、感動、情緒……そういったもの。
　これらが私たちに創作をさせ、またその歴史が形作られることになる。

　だから、それを見聞きした人々が創作をしたくなるような創作が、この世には必要である。そしてそれを作り出せる創作者がなにより貴重だ。
　世の創作者には、創作という事象の存続のためにも、誰かに真似されたくなるような創作をするという矜持を持つことも求められる。

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