実は細部に宿るどころか、細部どころが質である
質はどうあっても細部に宿るものだ。しかし「宿る」というのは文字通り宿るのではなく、それそのものが質である。即ち物事というのは細かいところがしっかりと固まっているほど、それが全体を支えるばかりが、そうやって固まった細かなものたちは、やはり美しく質が高いと思わせるものである。
質とは細かさではないが、細かさは質なのだ。
細かいものは問答無用で良いものに見える。何か「凄み」を感じる。それを無下にしてはならないと思う。そういう意味で、質はどうあっても細部に宿る。
だから、質を求めるのなら、細部をどうにかすることではなく、まず細部があるのかどうかを気にしなければならない。充分な細部がなければ作らねばならない。そして作れないのなら、その質の向上は難しいことを、知らねばならない。
まずもって私達の大半が、細かなものにこそ質を感じるという事実を、私達自身がよくよく分かっている必要がある。そしてそれから、質への探求はスタートする。
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