革新的なクリエイティブを整理する① 物事の分類を怠らない、とは。

革新的……
それは、なにかにとらわれないことだ。
あるいは持っていたなにかをうちやって、身軽な身体で、踏み入れたことのない新天地へ駆け出すことだ。
そのような態度は、当たり前のように「創作的」と思われている。
なにせ創作とは古いものを乗り越え、「これまで」を塗り替え、既に打ち立てられた誰かの功績の上を行くことを目指すものだからだ。

けれど、この革新性とは中々に難しい性質である。
なぜならそれには正解がなく、私たち人間はなにかわからないものに恐怖しがちで、日常をルーチン化することで生きている存在だからだ。

つまり、人間はそもそもが凝り固まった考え方をするようにプログラムされているからこそ、この創造的なもの、革新的だと思えるなにかに恋い焦がれるようになっている。

元来の性質を振り切って、その創造力を革新性で満たすのは至難の業なのである。

だから、もしこの「革新性」をいくばくかでも手に入れたいと思うのなら、いかにして革新的な創造を行うかということを、少し整理してみる必要があるだろう。

そこで考えうるのは、以下の3点だ。

・物事の分類を怠らない
・偶然性を借りてくる
・革新性を保守しない


少なくとも、この3点を念頭においておけば、そこに革新的な創造を行う余地が生まれる。

分類を怠らないというのは、物事というものは例えば大項目中項目小項目というふうに、なんらかのまとまりを作っているということに端を発する。
例えば、コーヒーは飲み物であり、飲み物は人間の口から摂取されるものである。人間の口から摂取されるものは、人間の活動エネルギーとなるものである。
また、人間は様々な定義があるところ、生物学としてはヒト属・ヒト族・ヒト科・狭鼻小目・哺乳網・脊索動物門……のように、唯一無二の特徴のみを備えた存在ではない。

このように、現実の世界ではしっかりと決まった「分類」というものがあるから、それを理解した上で、それをあえて崩してみるのだ。
例えば、食べるコーヒーがあってもいいし、人間ではなく、車のエンジンオイルになるコーヒーがあってもいい。
脊椎動物でない人間なるものがいる世界、というのも面白いかもしれないし、反対に、哺乳網となった虫が跋扈する惑星から地球にコンタクトがあり……という物語も興味深そうだ。

実際にある革新的なアイデアとしては、無観客ライブ、工場で育てる野菜、髭剃りのサブスクリプションなど……既存の枠組みを取り払った、斬新なサービスが展開されている。

即ち、なんらかの革新性を持たせるために、現行の仕組みを壊すのだ。その前提として、現行の仕組みや分類を知っておかなければならないというのは、当然のことだろう。

革新的というのは、言うのは簡単だが、クリエイティブ・サービスにおいてそれを発揮するのはかなり大変だ。
単に常識を打破するだけでは、その実現性などの壁にぶち当たることも多い。
けれど、少なくとも着想の段階では、このような取り組みは有用である。
だから、ひとつの方法として、この世の物事の分類を怠らないこと。常識とはなにかについて、常に意識しておくこと、そういったことが求められるのだ。

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※近日公開予定
②「偶然性を借りてくる」
③「革新性を保守しない」

※関連note
保守的なクリエイティブを考える
 https://note.com/kawausowright/n/nd72d8d369b2e


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