表そして裏のストーリーを1つにするものとは何か
ストーリーをよりうまく成り立たせるコツとして、表と裏を用意するというものがある。
これは、内容としてはどのようなテーマであっても事件であっても、登場人物が出てきても構わないものだ。しかし、この表のストーリーでは主要な出来事や、その物語の中で目に見える事件を扱う。そして裏のストーリーでは、そうではない出来事や、精神的な動きを扱うのである。
この、「表裏」はストーリーに厚みを持たせ、面白さをます良い手法であると紹介されるが、一方で、この2つはただ用意されただけでは「交わらない」。偶然にもこの2つがきちんと「ストーリーの全体」として収まることはあるかもしれないが、大抵の場合はそうではなく、ただ、2つのストーリーができてしまうだけとなる。
だから、表のストーリーと裏のストーリーとを1つにするものが必要なのである。
それは何か。どちらのストーリーにもあっておかしくなく、また、ストーリーとしても大切な要素がそこに当てはまる。表と裏を行き来したり、表と裏のどちらにも関わっているべき存在。
それは主人公である。この存在がいることにより、表と裏は1つのストーリーを形作る。どのようなストーリーが語られようとも、主人公という要素がこれをまとめ上げることとなる。
だから、反対に主人公が不在であったり、まとめ上げられないようなストーリーは、表裏の関係にはない。それはたとえば「サイドストーリー」「スピンオフ」などと言われるようなものとなる(これらのストーリーに主人公がかかわらないという意味ではなく、少なくともこれらはストーリーの本筋としての「表裏」とは別物だという意味である)
ストーリーを上手く成り立たせるために言及される「表裏」という概念は、それが主人公という要素をもって1つの物語としてまとまる。だから、そのようなことができない限りは、ストーリーに表裏を作るべきではなく、また、ストーリーに表裏を作ったとしてもそこに共通の主人公が不在であり、そしてきちんとそれぞれにかかわることに説得力がなければ、表裏を作った目的を達成することはできない。
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