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物語的都合でキャラクターが動いてはならないとはどういうことか

 物語の都合で動く時、キャラクターはキャラクターでなくなってしまう。なぜなら当然にキャラクターは、その存する世界である物語のことを認識していないことがほとんどだからだ。
 物語の都合とは、その全体的な流れのことだ。それ先に決まっており、それに合わせた言動や、感情をキャラクターが持つことを、都合で動くと言う。しかしキャラクターはあくまでも、本人の欲望や期待や展望などの内在する感情によって動くものであり、物語の流れという知りもしない外側の仕掛けとは無関係である。

 ただし、キャラクター達の感情が物語の流れを形作ることもある。つまり物語からキャラクターへの影響はないと言って良く、反対にキャラクターから物語へ、そしてまたキャラクターへ、という影響の流れはあるというわけだ。
 ともあれ、そういった場合でもない限り、物語そのものはキャラクターに影響を及ぼしてはならないとすら言える。キャラクターはその運命を知らないのだから当然のことであり、それを操作できると思うはずもない。
 そのために、あたかも物語の流れが分かっているかのような動きをキャラクターはしないし、してはならないし、させてはならない。そしてそのような言動が必要になってしまうような物語の流れにしてはならない、というわけである。

 キャラクターは物語の影響を受けないものの、物語はキャラクターやその他の要素を包括する事象である。だからそれは、キャラクターを含む様々なものをきちんと統制しなければならないものであり、そうされた結果がきちんとした面白い物語なのだと言える。
 そういったきちんとした統治を行いながらも、物語は、その都合にキャラクターを従わせようとしてはならない。物語にできるのは、あくまでキャラクターが行動するきっかけを作ることまでである。

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