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小さく小さくまとまろうとする人間の失敗

 ああ、失敗しないでよかった。慎重になって正解だった。あの人みたいに考えなしでなんでもするのは良くない。
 成功の秘訣として、「失敗しないこと」はとても魅力的に思える。今も昔も成功の陰には爆発的な才能よりも、コツコツと積み上げた努力が勝るはずだと信じられていて、それは1つの正解だ。
 長い人生、何が起こるかなど誰にも分からないものだ。そのため、ある一時だけの成功ではなく、もっと先を見据えた活躍がほしくなる。だから私達は、失敗を恐れる。ことさらに成功を追い求めて破滅するくらいならば、失敗を恐れて立ち止まる方がずっといい。

 けれど、分からない時代だからこそ、そこには思い切りが必要である。失敗しないというのは立ち止まることでしか得られない。スピードにのっているものを緩め、周りを見渡し、誰にとってもそれなりの価値があるものを目指す。そんなことをしていても、期待通りの結果になるかは未知数である。
 時代そのものがなんのセオリー通りにも動いていない。安定感もなく、ただひたすらに五里霧中だ。そんな中で安定感など求める方がどうかしている。失敗しないことなどありえず、この時代ではますます、何をしたってその頻度は増えている。
 ならば、私達は本能に刻まれた恐れを排して、暗闇の中でも進んでいかなければならない。もう、照らされた道はないのである。誰も、何も分からない今だからこそ、小ささよりも大きさを。確実性より爆発性を。失敗しないことより成功することを。
 それらを求めることが、今や私達の本当の幸福に繋がる。

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