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キャラクターに感情を喋らせない。

物語の創作中、あなたはキャラクターたちが動くのを見ている。
動くように場を整え、発言機会を与え、セリフや展開を調整する。

そのような作業を繰り返しているうちに、ついやってしまいがちなのは、キャラクターに感情をそのまま喋らせてしまうことである。

これは実際のところ、よろしくない。

なぜなら、キャラクターがそのような発言をすることで、読み手が物語から離れていってしまうからだ。

「わぁ~! 誕生日プレゼント!? 私に? 嬉しい~!」
「なぁ、○○、少し、寂しいんだ……そばにいてくれないか?」
「てめぇ、もう我慢ならねぇ! 俺の怒りが頂点に達したぜ……!」

……どうだろう。
どれもありに思えるだろうか?
確かに100%悪いとも言い切れないセリフたちだが、やはり、感情を口にしているのはよろしくない。

キャラクターが感情をそのまま喋るとは、感情に変化があった時に、その結果を当人が口に出すことである。
この問題点は、「感情」という論理的に説明しにくいものを、ズバリ発言してしまうところにある。
その瞬間、キャラクターは自分の感情について自覚的、つまり客観視していることになる。
すると、読み手から見れば、そのキャラクターがある種「冷静」であるようにうつるのだ。

そうなると、そのキャラクターのセリフは嘘くさくなる。冷めてしまう。これが、よろしくないと言った理由である。

もし、この「感情を口に出す」ことを避けたいなら、以下のことを意識すると良い。
即ち、実際に人間の心がどのような動きをしているのか、である。

大事なのは3つのフィルターだ。
何かをしたい時に
「そのためにはこういう状況になるべきと思う」
「その状況にするためにはこう言うべきと思う」
「実際に言う」

これらのフィルターを通すことで、必ずしも思った通りの言動にならないのが、そもそも人間なのだ。
感情が高ぶったり、沈んでいたりするときほど、このフィルターに影響され、ストレートに言葉など出てこない。
だから、キャラクターの感情をしっかりと伝えるためには、リアリティを意識して、むしろ「違う言葉で表現する」や「行動に移させる」ことを心がける。

「わぁ~! 誕生日プレゼント!? 私に? えへへ、ありがとう!
「なぁ、○○、なんだか寒くないか? もう少しくっつこう
「てめぇ、もう我慢ならねぇ!」(殴る)

感情をそのまま喋らせないことは、キャラクターに感情移入してもらい、物語を飽きずに読んでもらうためにとても大事なことである。
そのために役立つ「3つのフィルター」は、それぞれのキャラ設定や、それまでの言動なども含めて考える必要があるものの、それがあると意識するだけでも、キャラクターの言動は大分違ったものになる。

キャラクターは、感情をストレートに口に出さない。
そのことを肝に銘じて、よりリアリティのある物語を描いていこう。

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