川勢 七輝

かわせななきと申します。読書、音楽、芸術、猫が好きです。

川勢 七輝

かわせななきと申します。読書、音楽、芸術、猫が好きです。

マガジン

  • メンタルがやばいときは、本をひとかじり

    だめだ、どうしても気力が湧いてこない。 本の中には、救いの言葉がたくさんあるのに、本を読むことすらできない。 そんなときに読む、救われる、笑える、トリッキー、やべえなこいつ、感動する、さまざまな一節をご紹介します。 毎週金曜更新、予定。

  • 「読むためのトゥルーイズム」を読み、『浮遊』を「読む」

    『文學界』にて連載がスタートした「読むためのトゥルーイズム」。この連載は、「文章をどう読んだらよいのか」を課題としている。 そこで、非常に読みやすく、おもしろいのだが、そこに書かれている内容を果たして私は本当に「読めて」いるのだろうか、と疑問がわく遠野遥さんによる『浮遊』に挑んでみようと思う。 このマガジンは、書評なんてとんでもない、とはいえ感想文でもない、そこに何が書かれているかを読むことを目的としたものである。

  • 大人だけど読書感想文

    書評という言葉を使うには、自分ごときの文書では少々憚れる。でも、面白い本が山ほどあるので誰かに伝えたい。 そうだ、読書感想文と言えば幼女を見守るあたたかい気持ちで流してもらえないだろうか?!と、そんな皆様の善意を期待してはじめました。

  • 記憶がぽろぽろ、備忘録。

    ここに書くこと。 よかったと思うこと。美味しかったもの。ネガティブなものは残さない。未来の自分へ少しでも明るい話題を提供。

  • Quote of the day

    本の中に見つけた、素敵な言葉、落ち込んだ時に支えてもらった言葉、ちょっとオモロいから忘れたくない言葉たち。

最近の記事

「メンやば本かじり」それでもあなたはその未来を選択するのか編

 みなさんは、子どものころに読んだ本の「答え」を大人になって出せものはあるだろうか。 「ある!」と心の中で答えたあなた、声に出してええんやで。すごいやん!  もちろん私は──うん、キミのそれ、正解や。  ないない、なんもあらへん。  たとえば、子どものときもやもやが残った「答え」が出なかった本といえば、シートン動物記『オオカミ王ロボ』。  幼い私は、ただロボがかわいそうという感想しかなかった。あの悲しい結末を回避するために、どうしていいのかわからなかった。  大人

    • 「メンやば本かじり」失わないと手に入らない編

       メンタルがやばいとき、自分は何もかも失った気分になる。  この世界から受け入れられていない、価値のない存在に思える。  そんなときは、自分よりももっと、想像もできないほど何もかも失った話を読むといい。  今回は茶番劇もなくさくっと進むよ。まあ、それだけ情緒不安定ってことやね。  というわけで、今日紹介したい書籍は、失うことの大切さを教えてくれる恒川光太郎氏による『夜市』だ。  夜市を知らせるのは、蝙蝠だ。しかも風にのって多くの商人が現れるらしい。  この部分だけで

      • 「メンやば本かじり」ぽんぽこぐーにゃん編

         メンタルがやばいとき、人は癒しを求めるものである。  本を読んだり、心が和む動画を見たり、少し遠出をして自然を眺めたり、サウナで汗を流したり。  癒しとは、人それぞれだ。  私の場合は、たぬき──という名前の愛猫を膝にのせ、顎の辺りを撫でてやるのが一番の癒しだ。たぬちゃんがゴロゴロと喉を鳴らし、気持ちよさそうに目を細めると、私の心も次第に穏やかになっていく。そして「たぬちゃん、ありがとう、お母さんと一緒に暮らしてくれてありがとう」と、ビール片手に涙するのである。  

        • 「読むためのトゥルーイズム」を読み、『浮遊』を読む。第三回

           今回は『文學界』2024・4月号掲載の「読むためのトゥルーイズム」から、遠野遥さん『浮遊』を読み進めていく。  ちなみに、前回までの「読むためのトゥルーイズム」は ■本を読むときは、まず自明のこと(トゥルーイズム)から取りかかり、わかる部分からはじめる ■取り組む課題について述べられている箇所に自分で決めた印をつける ■特に目に留まった箇所に自分が決めた別の印をつける  ということだった。  この「当たり前」というのは、本のタイトル、あとはページ数だったり、各章のタ

        「メンやば本かじり」それでもあなたはその未来を選択するのか編

        マガジン

        • メンタルがやばいときは、本をひとかじり
          23本
        • 「読むためのトゥルーイズム」を読み、『浮遊』を「読む」
          3本
        • 大人だけど読書感想文
          29本
        • 記憶がぽろぽろ、備忘録。
          24本
        • Quote of the day
          12本

        記事

          「メンやば本かじり」きさま、惑星を名乗れ編

           おたずねしますが、あなたは地球人ですか?  まあ待て、落ち着け。短慮を起こしてはいかん。  これはなにも、この「メンやば」を読んでくださっている慈悲深い方に対しての言葉ではない。  言われたのは、私や。  しかも、合コンの席やで。  そう、あれはまだ川勢が二十代前半の頃。  知り合いに誘われて行ったのは、おしゃれなバル。  私より先に着いていたのは、知り合いであるAちゃんと、彼女の会社の同僚だった。 「彼女はね、会社の同僚のBちゃん」  とても上品で、かわ

          「メンやば本かじり」きさま、惑星を名乗れ編

          「メンやば本かじり」記憶にございません勝訴編

           あなたは記憶力が良い方だろうか?  言われる前に答えよう。悪い、悪いぞ、私は。  ジョン・ケージの4分33秒(無音の音楽作品)くらい、探しても何も出てこないほど悪い。  悪すぎて、悪いことを忘れるくらい悪い。  うん。  きょ、今日は、ここまでにしようか(涙声)。  と、言いたいところだが、記憶力が悪いだけでなく、どうやら改竄までしてしまっていることに気づいた。こいつあ、大変だ。  というわけで、今回は謝罪の回でもある。  あれは4年前。  私は映画館へ行

          「メンやば本かじり」記憶にございません勝訴編

          「メンやば本かじり」図鑑、それは素晴らしい編

           最近、メンタルがやばいのは年齢のせいでは、と疑っている。  なにせ、少し前に『老人と海』新訳版が角川文庫から出たので読んでみたら、サンティアーゴの孤独に共感し、涙を流してしまったではないか!  昔読んだときは、サンチャゴ(やはりこちらのほうが馴染みがある)を「ちょっと情け無いなあ、おじいちゃん」くらいの目で見ていたくせに。今や「サンチャゴー」と号泣である。  こりゃ、完全に老いでメンタルが脆くなってるわ。  ならば、このメンやば状態継続中なのも仕方あるめえ。  と

          「メンやば本かじり」図鑑、それは素晴らしい編

          「メンやば本かじり」ロバの餓死を回避せよ編

           メンタルがやばいとき……いやあ、ネタが尽きないねえ。  まさか、この連載を続けるために、メンやばキープなのかい、と自分のメンタルに聞きたくなるほどだ。  そもそも、メンタルがやばいときは、良い状況に偶然出くわしても良い選択ができないので、結果メンタルはやばいままなのだ。  あああ、まるで、ビュリダンのロバじゃないか。  そう、あの有名なロバ。  炎天下、喉はからからで、空腹のロバが一匹。  木陰もない道をよたりよたりと、今にも倒れそうだ。すると突如、ロバの右手に

          「メンやば本かじり」ロバの餓死を回避せよ編

          「読むためのトゥルーイズム」を読み、『浮遊』を読む。第二回

          このマガジンは、『文學界』にて連載されている「読むためのトゥルーイズム」を読み、遠野遥さんの『浮遊』を読み進めていこうという試み。  今回は第二回目。『文學界』は2024・3月号を使用する。  前回のことをすっかり忘れている私のために、少しおさらいをさせてほしい。  ジーニアスなみなさん、どうかご辛抱を。  前回の「読むためのトゥルーイズム」をざっくりとまとめると ■トゥルーイズムとは、自明のことである ■自明のことこそ重要であり、わからない(あるいは読めない)本は

          「読むためのトゥルーイズム」を読み、『浮遊』を読む。第二回

          「メンやば本かじり」ちっぽけファイターズ編

           花粉症である。  いきなりの近況報告、失礼。  だが、つらいのだ。  なぜ、花粉ごときにここまで苦しめられなければならない。  私はティッシュのために働いているのか! というレベルのティッシュ消費量である(ちなみに、薬を飲むと眠くなり、眠くならない薬は私には無効である)。  目も鼻もそれどころか耳の中まで痒いし、肌は荒れるし、メンタルまでざらざらである。  そうそう、メンタルがやばいときによく、「自分なんてちっぽけな存在だ」なんて思ってしまうが、それはちっぽけに

          「メンやば本かじり」ちっぽけファイターズ編

          「メンやば本かじり」anti-「The Library of Babel」system編

           「メンタルがやばいときは、本をひとかじり」 「メンやば」と略しすぎて、本当のタイトルを川勢自身が忘れ、自分の公開マガジン一覧で確認してきた。  やばい、バカすぎるだろ、私。メンタルの前に、知性がやばいわ。  そうそう、バカといえば──バカガイと呼ばれる貝の存在は、周知のことかと思われる。  先日、そのバカガイにまつわる、爆笑ネタを「南房総市」のホームページでみつけてしまった。  昔、(おそらく貝類を食べたことがない)村人が、人からバカガイを貰った。「この貝の腹には

          「メンやば本かじり」anti-「The Library of Babel」system編

          「メンやば本かじり」檸檬は爆弾となりうるのか編

           精神値最弱、そんなときは、喜怒哀楽の怒と哀が多分に自身を支配している。  何となくだが、怒りや哀しみは消極的であるべき感情のように感じてしまう。  だが、頭の中の喜怒哀楽を擬人化した映画「インサイド・ヘッド』(PIXAR)にもあるように、哀しみを表現することはとても大切だ。哀しめる心がある、だからこそ、悩み苦しむ人に寄り添うことができるのだ。  では怒りは──。怒りは鎮めるべきや、不平や不満をSNSで吐き出すのは、あまり良い印象を与えない気がしてしまう。しかし、レスト

          「メンやば本かじり」檸檬は爆弾となりうるのか編

          「メンやば本かじり」ねこ愛は人生を豊かにする理論を証明せよ編

           みなさん、ねこはお好きだろうか?  ねこはいいぞお、ねこは。  おひげをしゃもしゃもっと揺らし、ちっちゃな牙を見せ、大あくびをする。 「なでて、なでて」と頭突きをし、顎下にすっとブラシを通してやるとすぐに喉を鳴らし、ご満悦。  ああ、ねこって最高だな。さっきまで、私、何にくよくよしていたんだっけ。   ねこを愛すること≒人生を豊かにすることと  この式は、ほぼ完璧といってよろしい。  とはいえ、私の話だけではあまりにも覚束ないだろう。そこで、このねこによる人生

          「メンやば本かじり」ねこ愛は人生を豊かにする理論を証明せよ編

          「メンやば本かじり」美しい世界編

           メンタルがやばいときは、本をひとかじり、第一二回である。  お前、どうしたんだ。急に数を数えられるようになったのかい? と、川勢を心配してくださる方もいるかもしれない。  安心してください、算数装備、全裸です!  今回も通常蛇行運転だ。そもそも、本当に一二回かどうかもあやしい。  でも、確かめない!  この時点で、「ああ、この人、情緒不安定なんだな」と察していただけただろう。ありがとう。  関係ないが、「その年齢でやばいって言葉を使っている語彙力のなさ、やばいで

          「メンやば本かじり」美しい世界編

          「読むためのトゥルーイズム」を読み、『浮遊』を読む。第一回

           このマガジンは、芥川賞作家である遠野遥さんによる傑作、『浮遊』を読むことを目的としている。  というと、これからはじめて手にするかのようだが、じつはすでに読んでいる本だ。  ただ、私の場合は本に書かれた文字を眺めているだけで、読めているのかどうかあやしい。  難しい哲学書や、学術書はもちろん、読後におもしろかったと思えた小説ですら、疑わしいものがある。  なぜ、そんなに自分の読書体験を訝しむのか。  それは、「非哲学者による非哲学者のための〈哲学入門〉読書会」に参

          「読むためのトゥルーイズム」を読み、『浮遊』を読む。第一回

          「メンやば本かじり」結婚生活ってどんな感じですか編

           先日、近所のスーパーでりっぱな菜の花が売っていた。  思わず、ぐにゃりと曲がった猫背を正したほどに、ぴんと先端まで伸びた葉。  おいしそうな「食べもの」というだけでなく、生命であることを誇示するかのような、青々とした、それは見事なものだった。蕾の先端はほんのり黄色く色づき、まさにまもなく開花するといったところだ。 「失礼しゃーす」  見惚れていると、店員さんがささっと手を伸ばし、半額シールを貼ってきた。 「半額……」  危うく垂涎しそうになる私。 「もうすぐ花

          「メンやば本かじり」結婚生活ってどんな感じですか編