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励ましてくれた言葉と過去の自分の文

 好きで書いているのだから自由に書けば良い。自分のペースで書けば良い。心の揺れをいちいち書いて大げさにしなくて良い。
 わかってはいても、心は一定ではない。日々書いているとそれをごまかせない。書きたい気持ちがあるのなら、書きたくない気持ちもある。そこを無視して何でもないフリで書くのは私の文ではないし、私は続かなくて。

 10月後半から11月の頭にかけて、ちょっと無理して書いたからきっと反動が来るだろうとわかってはいた。でもこんなにイヤになっちゃうなんて。
 だってテーマの締め切りがギリギリで、それに合わせて、書きたいことの趣旨を少し変えて書いたらそのクオリティが良くなくて……いや、他の人からどう見えようとも自分では好きな文じゃなかった。

 友達のこと書く時って、私はその友達の魅力を存分に伝えたいのに、そんな感じじゃなくなっちゃって。でも締め切りの日になっちゃったし無理矢理書いて無理矢理出して、やっぱりイマイチだったって落ちこむ。
 友達に対しても申し訳なくなる。
 
 こういう時って、昔読みに来てくれた人たちを思い出しちゃう。
 彼らや彼女らとただ読み合っていただけなのに、それだけで心強くて。今以上に下手な文をよくぞ読んでくれたものだなあって。もう言葉交わせないのかなあと寂しくなり直しちゃう。
 ずっとここにいる自分を思う時、その立ち位置もふと考えてしまう。
 若い人たちはSNSとの距離感を割り切っていて、上手につきあっておられる。先に対する不安が、生きること自体より自分自身の可能性に関してなので、まぶしい。
 巣立っていくような、送り出す感覚。
 
 私はここにいるまま。趣味なのだからこれで良いってわかっている。割り切れた気がしても、どうしても時々自分が不甲斐なく感じたり惨めに思ったりしてしまう。
 なんでもない私だけど、それにしてもなんでもなさすぎて。
 
  生活の中でイヤなこともあった。この先が不安になる。ここに書く気持ちもなくなりそうになるくらい気持ちがそれでいっぱいになって、自分が心もとない。この先に希望が持てるような生き方ができるのだろうか。
 

 先日、ヴォーカルレッスンに行った時。
 倦怠感が強くて、久しぶりに座りながらレッスンを受けた。
 
 基本的に私が歌いたい歌をレッスンしてくれるのだけど、とにかく練習していないものだし体調悪いしで、今年再開してから発声練習だけでギリギリ。
 
 次の歌をリクエストはしたけど、今回は先生が「この曲はどうかしら」と楽譜を持ってきてくれた。

 中島みゆきの「糸」。
 あまりに有名でサビの部分だけでも知っている人が多いだろう。

 平歌の部分を知らないと思って歌詞をザッと読むと、アラだいたい知っているじゃないの。早速歌ってみる。
 やっぱり平歌の細かな部分は怪しくて何度か確認しながら。
 でも二番の歌詞を知らなかった。

こんな糸が なんになるの
心許なくて ふるえてた風の中

縦の糸はあなた 横の糸は私
織りなす布は いつか誰かの
傷をかばうかもしれない

中島みゆき「糸」より一部

 もう少し恋愛感情だけの曲だと思い込んでいたから。
 歌いながら泣きそうになって、ぼわっと膨れ上がった感情とツバを飲みこみ、声を立て直し、何でもないように歌い終わった。
 「こんなに良い歌詞なんですね」と先生に言ったら、「だからヒットしたんでしょうね」と笑っていらした。

 noteで皆それぞれに書いている。描いている。才能のある人がいっぱいいる。圧倒されるほど。そしてそんなことどうだって良い、と好きに書いている人。描いている人。その中にも胸を打つ瞬間がいっぱいあって。

 私はなんで書いているの。

 意味なんて要らない。粛々と今を生きていくんだと、少し前に自分の生き方を考えさせられた時に、書くことについてもそれで良いと思ったのに。

 どうしても「何やってんだ私」の思いがこみ上げてきてしまう。

 結局好きだから書いちゃうのだけど。
 そして思わぬところで自分の言葉が誰かの心を動かしているとしたら、それはじゅうぶんなほどの喜び。ただただ私にその実感がない。せっかく誰かが「良かった」と思ってくれたとしてもどこが良いのかわからない。だって評価されていないのだもの。
 と思ってから「評価が大事なんじゃないでしょ」と思い直し、またパソコンに向かう。

 こんなに心が苦しい時ってどうしてたんだっけ。
 そして最近の私ったら、どうして観た映画について真摯に記録しなくなったんだっけ。

 やっぱりわからなくなってきた。
 ふと大好きな映画と大好きな曲を思い出し、それについて書いたなあと読み返した。

 めっちゃ良かった。泣いちゃう。
 「マイガール」大好きな私!

 2年前の方が楽しそうに書いている気がしてしまう。私の映画感想。
 良いな。こんなに好きなんだ。一本の映画でこんなに自分の気持ちを語れるんだ。すごく上手なわけでもなく、しっかりした映画レポートでもなく、ひたすら私だけの個人的な思いを書いているものだ。

 書くのってもう少し思いのまま、気楽でいいはずだよな。

 しばらくはヴォーカルレッスンで「糸」を練習するから、その度にその歌詞をかみしめながら歌おう。
 私はある程度、人の気持ちを受け止めたくて生きているのもまちがいないから。書き続けるだけで「 いつか誰かの傷をかばうかもしれない」。そんなふうに自分を励みにしたい時もある。



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