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自分がどんなタイプの文を書きたいのかを知る~人と違ってもまあいいか~

 少し前。自分の書いたnoteの記事について、夫と話していた。

 真面目にある人たちについて書いていた中に、過去の自分のちょっと重たいエピソードを載せたのを少し気にしていたのだ。
 「自分の話、削っても良かったんだけど、あえて載せたんだよ。でも文の上手な人は削るかもしれない」
 「削らなくても良いんじゃないの?」

 「上手な人はさ、ピンポイントでそれを取り上げて、それはそれで別の機会にじっくり書くんじゃないだろうか。でも私はそういうのを紛れこませちゃって、さらに最後に全然関係のないこと書いてちょっと笑かしたくなる」
 「どこかで笑わせるのが好きみたいだよね」

 「深刻なだけで終わらせるのがイヤでね。物事によってはそういう時もあるけど、笑うこともその中にあるし、笑う時もイヤなことだって同時にあったりするじゃない? そういうのをしっかり掘り下げてその情感こもったものを書ける人が多いんだけど……」
 「そういうの読むのが好きなの?」

 「時には良いなーって読むけど、それだけじゃない方が好き。訴えたいことがわかり過ぎるのが続くと、‘何が言いたいのか’ を全力で感じて読み疲れちゃう。一つのことで色んな側面を書くのが好きだし、読む側がちょっと戸惑うくらいのが好き。何が言いたいのかわからなくなったら困るけど、そうじゃなければ、どこをクローズアップして読むかは読む側の感じ方っていうのが」
 「じゃあそれで良いじゃない。読みたいのを書けば良いって田中泰延も書いてたでしょ?」

 「でも一般的にはそういうのが読みやすいじゃない?」
 「わかるけど、自分がどういうのを書きたいかが大事だから、一般的じゃなくたって良いんじゃないの? 一般的なものなんて、いくらでも代わりがいるんだよ。ちょっと頑張れば誰でも書けるってことでしょ?」

 「でも人気あって読まれるのは、一つのテーマに沿って書かれたものだよ。読む側にわかりやすいのが当然だし」
 「人気や流行りを追わないで良いよ。他にそういう書き方している人が少ないなら、カセミどんが書けば、自分で読めるわけで。どんなものを読みたいか、それを書くのかでしょ」

  ***

 自分がそういった傾向があるって、今回話していて初めて気が付いた。 どこをクローズアップするかによって解釈が全然違う。印象に残る部分も人による。読んだ時の気分による。

 自分で書く時も一つの文章で、暗い部分と明るい部分をまぜこぜにしてしまう。それは良い文章じゃないのかもしれない。でも私はそれが好きなのだ。良くない例かもしれなくても、読む側をなんだか複雑な気分にしちゃいたい。

 映画も漫画も本も詩もそういう風に、読み手にまかせたものが好き。目の前に情景が思い浮かぶ描写は好きだけど、観終わった後や読み終わった後の感じ方はそれぞれの方が面白い。
 noteの方で言えば、syk999さんの詩。ああとでもこうとでも解釈できる瞬間があって、想像が膨らむのを楽しめる。
 何についてのものかわかる詩も素敵。だけど、syk999さんの詩みたいな、自分なりの受け止め方を楽しめるものもとても良い。詩の風景や言葉そのものを味わえて、自分の中の世界が、深く、豊かな気分に浸る。

 せっかくだから、中でも好きな詩を一つ紹介したい。

 自分なりの情景を思い浮かべ、想像する。その世界はきっと人によって、気分によって、その時抱えているものによって、全然違うんじゃないだろうか。
 私はこの詩を何度も読んでいる。


 こんな風に文学的に書けなくても、自分で文を書く時にどんな物事にも、あらゆる面がある、と楽しみたい。良い側面もイヤな側面もあるって表現したい。「良かった」「イヤだった」で結論付けたくないものが多い。人も「だから良い人」「あの人いやだった」って、簡単には決めたくない。

 結論づける時も、結論ありきの時も、もちろんそれなりにあるし、何かを主張したい時はそれに絞る。

 でもそうでなければ、あまり感情をそれだけに絞りたくない。

 文章については、読む人が、素敵だとか良かったとか悲しかったとか、同じ文の中でも、時によっては真反対の感情を、人によって感じてほしい。自由に感じて、それぞれの印象に残った部分が違うと面白い。

 書く側には技術が必要で、私が書くにはまだまだわかりにくい良くない文章なのかもしれないけど、それが私は好きなのだ。

 夫は仕事で文章を書かなければならないけれど、そういった趣味はない。仕事以外は読む専門で、本や人の文章に客観的だ。今回は話していて私の文章をどのように感じているかがわかって、話してみると面白かった。

 自分が好きな文を、読み手にとっても読みやすく書けるようになると良いな。


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読んでいただいて、ありがとうございます! 心に残る記事をまた書きたいです。