認知症の本質は病識の低下
はじめに
ご覧いただきありがとうございます。
今回は認知症について記載します。
認知症について理解することで、
認知症の方がなぜそのような言動・行動をとるのかが解ります。
特に介護者の方が正しい知識を得て、相手のことを理解できると、
本人も介護者も心理的なストレスが少し軽減するかと思います。
まずは、認知症の本質についてお伝えします。
認知症の本質は病識の低下である
タイトルにもしましたが、
本日お伝えしたい内容はこれにつきます。
アルツハイマー型認知症では
「病識の低下」「内省能力の減退」「病態失認的態度」
と言われる症状が中核にあります。
小沢 勲:地方老人からみた世界.岩崎学術出版社,1998,pp.159-163
記憶障害だけでなく、
記憶障害の自覚が乏しい状態
もの忘れを問題視しない状態
であり、家族が困っていても本人は平然としているのはこのためです。
自覚がないためにメモを取るなどの代償手段を行うこともできません。
自覚がないために家族に指摘されても「おおげさやなあ」となります。
実際に認知症である本人と家族の認識の程度を調べた論文では、
認知症が進行するごとに本人と家族の認識の乖離は大きくなっていたと報告されていました。
引用:Maki, Yohko, Tomoharu Yamaguchi, and Haruyasu Yamaguchi. "Evaluation of anosognosia in Alzheimer's disease using the Symptoms of Early Dementia-11 Questionnaire (SED-11Q)." Dementia and geriatric cognitive disorders extra 3.1 (2013): 351-359.
このように病識の低下があることを理解することで
その他のさまざまな行動や、
こちらの声掛けに対する反応に対しても理解ができるかと思います。
病識がないわけではない
前述のように、認知症の方はご自身の病識が低下しやすいのが特徴です。
しかし、ご存知のように、本人もご自身の病態にうっすら気づいています。
自分の事を一番わかっているのは自分です。
本人は生活障害を過少評価していることは多いですが、
それはその本人から見える、本人が感じている世界でもあります。
「家族や介助者から見える世界と、本人から見える、本人が感じている世界は異なる」という前提を踏まえて、本人の世界を理解し、受け入れることが認知症の方と関わる際の基本的な姿勢だと、教科書に書いてありました。
(山口晴保 編:認知症の正しい理解と包括的医療・ケアのポイント)
読んだとき、まさにそうだなと思いました。
これまで認知症の人の言葉を聞いたときに、自分のものさしや世界感という前提で聞いていたから違和感があったのかと。
この人の世界ではこうなんだと思うことで、
相手の気持ちへの理解が少しできたきがしました。
おわりに
今回は認知症についてという切り口で書きましたが
これは何も認知症の方だけでなく、
老若男女を問わずあてはまるのではないかと思います。
これまで歩んできた人生は人それぞれであり
見えている世界、感じ方も人それぞれです。
ケアやリハビリテーションだけでなく
人と関わるときは
相手がどのように世界が見えているのか、
どのようにものごとを感じているのかを
(完全には解りませんが)理解するように心がけていきたいと思います。
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それでは今日もいい日をお過ごしください。
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